2カ月後に迫った世界水泳。その世界水泳・福岡大会の注目といえば、池江璃花子選手(22)。白血病を乗り越え、6年ぶりの世界水泳に挑みます。不安を乗り越えつかんだ代表の座。その思いを聞いてきました。
■最後は自分を信じ…1年越しの代表権
先月、日本選手権に臨んだ池江選手。100メートルバタフライで優勝すると…さらに50メートルバタフライでも、見事4種目を制し、6年ぶりの世界水泳代表に返り咲きました。
寺川綾さん:「4冠おめでとうございます」
池江選手:「ありがとうございます。同じ過ちは二度と繰り返さないと、今年は決めていた」
池江選手にとって、今年はリベンジをかけたレースでした。
今から4年前、白血病を発症した池江選手は、賢明な治療とリハビリを乗り越え、競技に戻ってきました。
そして去年、世界水泳出場をかけて挑んだ選考会。わずか0.06秒。タッチの差で派遣標準タイムに届きませんでした。
池江選手:「もう自分が情けなくて…この1年間頑張ってきたのになんでだろうっていう」
代表を逃し、すっかり自信を失った池江選手。それ以降、優勝どころか表彰台すらのぼれないレースも続きました。
寺川さん:「とある大会の更衣室で会った時、声を掛けられないくらい自信がないのか…このまま日本選手権に向かって大丈夫かなって正直思っていたんですけど」
池江選手:「3番以内に入れればいいな、4番だったらどうしようみたいな感じで。自信はとにかくなかった。ただ日本一になる練習はしてきたとは思っていて、そこだけは気持ちも曲げずに」
不安も抱えながら迎えた日本選手権初日。種目は一番、力を入れてきたバタフライでした。
池江選手:「レース直前のスタート台の前に立って集中してる時に、最後の最後くらいは自分がやってきたことを信じてあげよう」
最後は自分を信じた池江選手。前半の50メートルは出遅れ、4位で折り返し、トップの選手とは体ひとつ差をつけられます。それでも、ここから追い上げる池江選手が優勝!6年ぶりの世界水泳代表内定となりました。
池江選手:「最後はもう自分を信じて、泳ぎ切ろうと思って。しっかり優勝することができて本当にうれしいです」
■“執念が生んだ最後のタッチ”で代表へ
雪辱を果たし、1年越しにつかんだ代表権。勝因はもう一つありました。
池江選手:「最後のタッチが、今までとはレベルの違う高難度の技を披露していた。あの日のバタフライは最後の最後の一掻きで、ひじが曲がっていた」
去年の池江選手は最後の一かき、腕を大きく回していたのに対し、今年の池江選手はひじを曲げながら、最短距離でタッチをしていたのです。
池江選手:「最後の最後のきつくなったラストの一かきのタッチ差の時に、この泳ぎができたのが勝因だと思っていて。今回の100メートルバタフライの強かったところだと思います」
タッチの差で涙をのんだレースから1年。執念が生んだ最後のタッチで念願の代表へ。帰ってきた強い池江選手が世界に挑みます。
池江選手:「自分は日本で試合をするより、海外で試合するほうがワクワクしています。やっぱり海外に行くと、まだ海外の選手に比べたら足元にも及ばない。追い掛けるほうが燃えるので、すごく楽しみだなって思います」
(「報道ステーション」2023年5月22日放送分より)
広告
広告