満島真之介が情熱解説! バスケ日本代表・W杯最終戦“魔の7分間”コートに何が…[2023/09/05 15:27]

日本がカーボベルデ戦で苦しんだ“魔の7分間”、そして歴史的勝利のキーマンについて見ていきます。

バスケットボール日本代表をこよなく愛する、俳優の満島真之介さんに話を聞きます。

■沖縄とバスケ「サトウキビみたいな感じ」

2日、48年ぶりに自力でのオリンピック出場決定。東京オリンピックは自国開催枠で出たため、つかみ取ったのは48年ぶり、1976年以来でした。

海外メディアはこのような反応をしています。

ヨーロッパのメディア:「日本はホームである沖縄の観客の前で、試合をコントロールし、2024年パリオリンピックへの出場権を獲得した」

満島さん:「僕は沖縄市というまさにアリーナがあるところで生まれ育ったんです。アリーナが建てられる前の広場だった時から知っているので。東京に来てからアリーナができるよって話になって、すごく楽しみにしていました。歴史を変える瞬間になったところに立ち会えたのは、すごくうれしくて」

「沖縄はバスケットボールがすごく盛んなんですよ。Bリーグでも、琉球ゴールデンキングスという昨シーズンに優勝したチームがありまして。ファンも素晴らしいし、アメリカ文化が入ってきたことで、小さな公園に滑り台はないのに、バスケットリングはあるんです。だから、あらゆる公園にリングが常に設置されていて、ハーフコートがあって、そこに外国人の方々だったりとか、老若男女みんながバスケをしに来るというのが当たり前にあって」

「そこで出会った方々と1on1しようと。190センチぐらいある外国の方々と、小学生とか中学生の時から練習をしていて。少しストリート文化が入ったバスケットボールをやっていて。その1on1で強くなることが世界で通用するようになるというのがありまして」

「『SLAM DUNK』を描いた井上雄彦さんは、沖縄のバスケットボールにほれ込んで、ポイントガードの宮城リョータを沖縄出身という設定にしています。映画も冒頭に公園でドリブルして、小さい子たちがやっているのも、沖縄の風景を描いていると言われているくらい、色んなところに影響を及ぼしていたのが、沖縄のバスケなんですよ」

「沖縄のバスケというのは、子どもからじいちゃん、ばあちゃんまで浸透していて、サトウキビとバスケットボールみたいな感じです」

■新しいチーム作り ホーバスHC「全員がMVP」

満島さんは中学生の時に沖縄市選抜に選ばれています。

満島さん:「今のBリーグで活躍している選手や、僕の1歳下が比江島慎選手。彼は九州でもすごい、中学生の時から神と言われていた。九州大会とか選抜でやる時は、一緒にやらせてもらいましたが、止められませんでした」

満島さん:「弟さんが元Bリーグの選手です。両親もバスケの指導者で、日本一にさせたりとか」「(Q.お姉さんである満島ひかりさんもバスケやってたんですか?)お姉さんは全くできませんでした。だから、ちょっと違う方向に行きまして」

3日に行われた会見で、トム・ホーバスヘッドコーチはチームのMVPについて、「僕のバスケは1人じゃない。チームバスケット。NBA選手がいても、チームプレーが必要だった。このバスケは全員が迷わず、自分の力を使っている。だから、全員がMVPなんだと」と話しました。

満島さん:「バスケ女子が銀メダルを取った時にも、うちにはスーパースターはいないけど、スーパーチームだと。これがホーバスヘッドコーチのチーム作りなんですよ。今回、12人いる中で、海外組が3人いて、あと9人は日本リーグのBリーグというところから選出されてるんですが。そのBリーグで、オールスターに選ばれた選手が30%くらいしかいないんです。3人だったかな、あと6人はチームの中でも職人気質な特化型。ディフェンスに特化してる選手だったり、リバウンドに特化している選手だったり。今までの日本代表って、オールスターに選ばれた人たちを選んでいく流れがあって。でも、エースばかりいてもチームって勝てないんです。どのスポーツもそうですけど」

「ホーバスヘッドコーチのチーム作り。新しい日本代表の作り方をした。オールスターに選ばれないと大体、日本代表に選ばれないと思っていた選手たちが1つ自分の強みを生かして特化すれば、目を掛けてくれるかもしれないと思っている。実は、もうパリへの戦いはきょうから始まってるんですよ、選手たちは」

■「すべてが備わっているのがバスケ選手」

ここからのバスケット界の意識改革にもなったかもしれません。ホーバスヘッドコーチは小柄な選手2人を起用しました。ポイントガードという役割とはいえ、そういった選手を2人チームの代表に入れるところがすごいと。

満島さん:「今までは小さい選手というよりは、世界と戦えるように大きい選手をそろえてゆっくり攻めていく。あまり相手の攻撃の回数を増やさない。回数が増えるということは、得点が入る可能性が高くなっちゃうので。ゆっくりゆっくり攻めていってという基本的なバスケットボールスタイルを貫いてきたんですけど、ホーバスヘッドコーチは真逆です。スピード、スピード、スピード。動き続ける、走り続ける。止まらない、止まらない、止まらないっていうチームを作って。一番きつい練習をしていたのが、彼らだというところがあります」

バスケ女子が銀メダル取った後も、「もうこんなきつい練習しなくて済むんだ」と言っていました。

満島さん:「6月くらいから強化合宿が始まって、本当に最初で候補だと50〜60人いたとホーバスヘッドコーチは言ってましたけど、そこから12人に絞るまで戦いがずっと続いてたんです」

満島さん:「セレクトしながら、合宿も本当にきつい。体力測定みたいなの、シャトルランって覚えてます?あれの100回超え、あれを40分間ずっとやってるのが、バスケットボールです。あれよりも切り替えが速いぐらい。だから、本当にスポーツの中でも体力がないとできないところです」

満島さん:「ダンクもしなきゃいけない。走らなきゃいけない。縦の動きもありますけど、ディフェンスは横の動き出し、だまし合いなので、フェイントかけられた時の瞬発力も必要だし、見える視野の広さも必要だし、すべてが備わっているのが、バスケットボール選手だと思います」

満島さん:「マイケル・ジョーダンはNBA選手でスーパースターになっているのに、途中で大リーグに行ったんです。ホワイトソックスに入って。野球選手にもなりたいと言って、夢をかなえたいと言って。ジョシュ・ホーキンソン選手も元々野球やっていて、150キロぐらい投げると言っていました」

■“初体験”リードして後半へ 勝ちを急ぎ…

ホーキンソン選手はすごかった。もちろん、実力が根本的にあるのでしょうが、神がかってる感じでした。

満島さん:「実況の方も言ってましたけど、彼が日本に来てくれて良かったと。センターは一番大きくて、ゴール下を守る選手の育成が一番大変だと言われているんです、日本は。世界にフィジカル面で勝てないので。ホーキンソン選手が来てくれたことによって、周りの川真田選手だったり、吉井選手だったり、みんなが切磋琢磨して。彼の今回の活躍はアメリカのシアトルの同級生たちすごいびっくりしていると思います。彼は本当にすごかったです」

試合は第4クオーター。なかなか点が入らなかった。結果は80対71ですけども、前半リードして終わるというのが今までありませんでした。これまでは、ずっと後半に逆転していたんですが、リードして迎えたという。

満島さん:「初体験です。色んな初体験を思い出してください。分からないです、この先どうなるか。その感覚です。レギュラーシーズンのチームでは勝って、盤石で勝ち進んでいくチームにいる選手が、みんな強いチームにいる人たちなので分かっているんですけど。代表で前半勝って、後半に入ったのって。初めての体験なので。それを知っているのは、ホーバスヘッドコーチだけなんです。女子の時にそれができてたりとかしてたのは。ヘッドコーチは見守るしかないじゃないですか。だから、河村選手も言ってましたが、ちょっと勝ち急いでしまった。勝ちを意識して、ちょっと後ろ向きな守りに入ろうとしてしまった」

「ホーバスヘッドコーチは、どんどん動くチームを作る。だけど、少し動きのリズムが狂うだけで、バスケットボールというのは1ミリの世界でシュートが入るか入らないか、0.1秒、0コンマ1秒でパスをカットされるか通るかという世界なので。それがちょっとずれるだけで、ああいうふうになるというのは、バスケの試合ではよくあります」

■“魔の7分間” 残り1分12秒で3点差まで…

これが“魔の7分間”でした。

満島さん:「魔の7分間でしたね。みんなヒヤヒヤしたと思いますよ。今回分かりやすかったのは、見てる人にとっても勉強になったと思うんです。サッカーでもそうですが、ずっとボールを回してる時間、ちょっと停滞している時間って1試合の中にあったりするじゃないですか。野球も5点取ってリードして、5対0で勝っていたのに、中盤の5、6、7回があっけなく三者凡退で終わっちゃって、さっきまでのリズムがどこ行ったっけ…。そしたら、相手には1点ずつ返されて、気づいた時には8回には5対3ぐらいになってて、ちょっと焦り始めてくるという。どのスポーツにもある停滞感という1つ、バスケットボールの形でしたね」

73対55で最後の第4クオーターをスタートしたんですが、7分間も得点がなくて、みんながドキドキしました。河村選手は「リードがあったので、少し守りに入ってしまったなというのが一番強い」「うまく時間を使いながら、ゲームコントロールをしたほうがいいのかなというところがあったが、それによって自分たちのオフェンスのリズムが少し変わってしまったのは反省点」だと話しています。

満島さん:「まさに河村選手はゲームをこの試合のリズムを作るポジションにいて、攻めることもできますし、ゆっくり攻める戦術を使うこともできる。彼はペースを握っている。だから、河村選手がこの言葉を使ったというのは、この河村選手にとってもすごい成長につながると思います。次のパリ五輪に向けて」

満島さん:「自分がちょっと守りに入ることで、相手との連係だったりとか、すべてのリズムが少し狂うと前半まで入っていた富永選手のスリーポイントだったりとか、通っていたパスも通らなくなったりとか。急になんです」

残り3分38秒でタイムアウトを取り、ホーバスヘッドコーチが「自信を持って打って、自信を持ってトライだ」と選手に声を掛けました。そして残り1分12秒で、3点差まで来ました。

満島さん:「もう全然、余裕で1回スリーポイントを決められれば同点ですし。そして、また次、自分たちが失敗して、またスリーポイント決められたら相手に3点差になるという。一気にひっくり返るところまで来ちゃったので、ひやひやしてましたね」

■「ドッカン ドッカン」“救世主”ホーキンソン選手 外へ外への意識

そして、49秒。ホーキンソン選手がファウルをもらいながら、シュートが決まりました。残り20秒にまたスリーポイント。ホーキンソン選手が決めた。これは大きかったです。

満島さん:「バスケファンは分かると思うんですけど、ホーキンソン選手がフリースローを決めた時に、ドッカン、ドッカンするんですけど、まさにこれは日本中がドッカン、ドッカンなった瞬間だと思います。実は、ホーキンソン選手の戦い方今までとちょっと違ったんですよ。今まで4戦やっている選手たちの攻め方と。今回のカーボベルデ戦で、ホーキンソン選手の試合の戦術が少し違ったんです」

満島さん:「フィンランド戦では、ホーキンソン選手は中に入ってます。中にどんどん切り込んで、中でシュートを打ってます。2点のポイントを取っています。カーボベルデ戦では、外にいます。前半です。外からシュートを打っています。スリーポイント打っています。ディフェンスに来た選手を見てください。カーボベルデの一番大きい選手、2メートル21センチの選手がいます。これで例えば、外れたとします。そうすると、一番大きい選手が外に出ているのでリバウンドができるんです、他の選手で」

「これまでドイツ戦、フィンランド戦、オーストラリア戦、。ベネズエラ戦すべて、ホーキンソン選手は河村選手とかガードの選手に対して、最初に壁を作って空間を作るスクリーンというものをやるんですけど。その後に内側を向いて、ここにパスをもらって近くでシュートするだったんですけど、今回は壁を作った後に外に下がりました。河村選手が中に入って、パスを出して、シュートを打つ。そうすると、一番大きな選手がホーキンソン選手のディフェンスに付いているので、外に出すことができるんです。そうすると、中のスペースで4対4で同格の勝負、互角の勝負ができる。この2メートル21センチのタバレス選手が中にいると、本当にすごくてリバウンドも取れないんです」

これまでの4戦と違う戦術にしたのは、試合前にそう行こうとみんなで話し合って決めたのではないかと?

満島さん:「僕は前半の第1クオーターを見た時に、ここが変わったぞと思いました。でも、後半それが使えなくなってきた。スリーポイントは水ものというように、少しギャンブル的なところがあったりとか。40%入ると最高のシューターだって、言われているところなので。そこで富永選手が6本中6本とか、ホーキンソン選手も決めたりしてたので、前半は良すぎたんですよ」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2023年9月4日放送分より)

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