井上尚弥、独占インタビュー「ファンと一緒に最高の景色を」 34年ぶり東京ドーム開催

報道ステーション

[2024/05/02 16:15]

3

 モンスター、井上尚弥選手(31)。来週東京ドームでの試合を控えていますが、東京ドームでボクシングの試合が行われるのは、あのマイク・タイソン選手以来34年ぶりです。そんな歴史的一線を前に独占インタビューに応えてくれました。

■深い傷跡…日本ボクシング会の“敵討ち”

ボクシング史上2人目。2階級で4団体統一を成し遂げたモンスター、井上選手。

去年転向したスーパーバンタム級では、わずか2試合で4本のベルトを統一しました。

そんなモンスターの次なるステージ。ボクシングでは、34年ぶりとなる東京ドームでのビッグマッチ。

その挑戦を前に、独占インタビューに応じてくれました!

井上選手
「今回ネリと戦うというのと、東京ドームで試合をするっていう。やっぱり(期待が)日に日に大きくなっていってるなっていうのは感じますし、それにしっかりと応えないといけないなっていうのも自分の中ではありますね」

この試合は日本ボクシング界にとって、2つの大きな意味を持ちます。

相手は、スーパーバンタム級1位、ルイス・ネリ選手(29)。悪童と呼ばれるこの男は、日本ボクシング界に深い傷跡を残しました。

7年前、当時人気実力ともに絶頂にあった山中慎介選手(当時34)との世界戦に勝利。しかし、その後のドーピング検査で薬物使用が発覚します。

その翌年、今度は計量オーバー。王座を剥奪されながら試合に臨み、山中選手を引退へと追い込みました。

一度は日本ボクシング界を追放されたネリでしたが、井上との一戦を前に、試合資格が回復されたのです。

井上選手
「今29歳かな、ネリは。だからすごい今が全盛期なんだと思うんですよね。日本に来て、山中さんとやった時よりもキャリアを積んできた良さがあると思うので、そこには警戒をしたいですね」

山中戦以降のネリは、アメリカを主戦場に勝利を重ね、ベルトを奪取。去年の試合がアメリカ誌「The Ring」の年間ベストバウト(最優秀試合)を受賞するなど、キャリアの全盛期を迎えています。

井上選手
「昔は勢いだけで戦っていた。そこに駆け引きが入ってくるっていうところで、より頭を使って戦わないといけない試合になってくると思うので。ネリの距離間での戦いになると、乱打戦は怖いものはありますし、本当に侮れない相手っていう感じですね」

警戒を強める井上に対し、ネリ選手はこのように話します。

ネリ選手
「井上は過大評価され過ぎている。試合を見たが、弱点はいくつもある」

■「34年かかった」 悲願の“史上最大の舞台”

そして、もう一つ。日本ボクシング界にとっての大きな意味。

井上選手
「東京ドームで日本人がボクシングでメインを張るっていうのは特別なことだと思うので」

日本ボクシング界“史上最大の舞台”。井上の言う“東京ドームで日本人ボクサーがメインを張る”。それはまだ誰も成し遂げたことのない、日本ボクシング界の悲願でした。

大橋秀行さん 写真:山口フィニート裕朗/アフロ

カギを握るのは東京ドーム決戦の仕掛け人、大橋秀行さん。井上選手のジムの会長であり、伝説のチャンピオンです。

実は、大橋さんが現役だった1980年代後半は、冬の時代と言われていました。

大橋さん
「この何十年のなかで一番の冬の時代じゃないですかね、あれは。僕がチャンピオンになる前に21連敗してたんですよ、世界挑戦。もうひどい状況でしたね」

大橋さんは、日本人ボクサーとして1年3カ月ぶりの世界王者に。その偉業はニュースでも大きく取り上げられます。それでも、この時の観客数は2000人ほどでした。

その4日後。東京ドームを熱気の渦に巻き込んだのは、ヘビー級王者、マイク・タイソン選手。

大橋さん
「2月7日に世界チャンピオンになって、11日にタイソンの試合を見に行って。でもやっぱり自分は最軽量級じゃないですか。だから後楽園ホール、ヘビー級は東京ドームで。いつか俺も防衛重ねてここでやってやると思ったけど、34年かかりました」

■ファンと一緒に「最高の景色を見たい」

入場シーンはモチベーション「爆上がり」

いつか日本人ボクサーが東京ドームのメインを張れるように。その夢を託したのが、井上選手でした。プロデビューから圧倒的な強さで「モンスター」と言われた井上選手。日本人最速で世界タイトルを獲得。しかし、世間の注目は…。

井上選手
「自分の中でもチャンピオンになったら、有明コロシアムぐらい埋まるだろって思ってたのが、全然埋まらなくて。それがスーパーフライ級時代ずっと続いて、ようやくバンタムに上げて、お客さんが入りだすっていう状況だったんで。自分としてはすごい長くモヤモヤする時期はすごくありましたけど」

試合以外での派手なパフォーマンスを行わない井上のスタイルは、デビュー以来、ボクサーとして貫いてきたもの。それは…。

井上選手
「強い相手と戦うこと、周りの期待。それがなくなったら多分頑張る意味もなくなると思うんで」

世界王者としての10年間、階級の壁に挑み、その階級で最強と呼ばれるボクサーと死闘を繰り広げてきました。

井上選手
「ファンが『こういう試合を見たい』っていう試合を自分も見せたいと思ってるから。ファンと一緒に、東京ドームでの最高の景色を見たいなと思うんで、5月6日の試合を期待して応援していただけたら、うれしいです」
「(Q.入場シーンが一番モチベーション上がる?)そこが一番、爆上がりですよね」

(「報道ステーション」2024年5月1日放送分より)

  • 2017年WBC世界バンタム級タイトルマッチ ネリ選手と山中選手 写真:山口裕朗/アフロ
  • 大橋秀行さん 写真:山口フィニート裕朗/アフロ
  • 入場シーンはモチベーション「爆上がり」

こちらも読まれています