ボクシング4団体統一王者・井上尚弥選手。24日の防衛戦に向け前日計量に臨むと、すべての無駄をそぎ落とした鋼のような肉体でスーパーバンタム級のリミットをパスしました。2025年初めての試合は、同時にモンスターの未来を占う大切な一戦となります。
■サウジ政府との大型契約に密着
「井上選手にとって2025年は特別な年になりそうなんです。ここ数年は日本での試合が続いていましたが、世界戦で勝利しますと、今後はボクシングの本場ラスベガス、さらにサウジアラビアでの破格のビッグマッチに挑むと伝えられています。ここからより大きな舞台へ向かっていくモンスターの決意の瞬間を独占密着しました」
きっかけは去年11月。サウジアラビアの深夜の空港に姿を見せたモンスター・井上選手。砂漠に生まれた高層ビル群を抜け、たどり着いた先に井上選手を出迎えた人物は、サウジアラビアの王子です。
ムハンマド・ビン・ファイサル・アル・サワード王子
「サウジアラビアへようこそ」
「みんなで写真撮りましょう」
この旅の目的は、サウジアラビア政府との破格の契約にありました。
「私は井上選手が取り組んでいるスポーツに興味があります。サウジアラビアは常に連勝し続ける人が存在することを重視しており、この国のボクシングファンに大きな熱意を与えています」
「サウジアラビアで試合ができたら、後半のキャリアとしていい一歩が踏み出せると思うので、自分も楽しみにしている」
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■30億円の大型契約を獲得■30億円の大型契約を獲得
実は近年ボクシングは、アメリカ・ラスベガスと並びサウジアラビアが世界最高峰の舞台として台頭。その中心にあるのが「リヤド・シーズン」というイベント。ボクシングをはじめ、さまざまなスポーツでビッグマッチを実現してきました。
サッカーでは、去年にクリスティアーノ・ロナウド選手が所属する、サウジアラビアリーグのクラブとメッシのいるクラブが対戦。ボクシングではヘビー級の王座統一戦が行われ、そのファイトマネーはなんと295億円にも上りました。
軽量級ながらKOの山を築き上げ、地上最強の称号・パウンドフォーパウンド1位にも輝いた井上選手。34年ぶりの東京ドーム決戦など、数々のビッグマッチを実現。次なる世界戦略こそが、サウジアラビアにあったのです。
自らが参加し、行われた政府との最終交渉。
トゥルキ・アラルシク長官
「2025年にサウジアラビアと日本の外交関係70周年を迎えます。両国の関係はより強固なものになるでしょう。リヤド・シーズンのアンバサダーに迎え入れられて光栄です」
リヤド・シーズンのアンバサダーに日本人で初めて選ばれ、30億円に上る大型契約をつかみ取りました。さらに飛び出したのが。
「サウジアラビアで試合を行ってもらいます。ビッグファイトです」
「こういう契約によって、自分のボクシングの世界観だったり考え方も少しずつ変わっていくと思うので、日本のリングでも海外のリングでも違ったものを見せていきたい」
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■予期せぬ事態も「自分にとってすごくプラス」■予期せぬ事態も「自分にとってすごくプラス」
サウジアラビアでのビッグマッチへとつながる今回の試合。世界にインパクトを与える勝ち方が求められていました。
しかし試合は、挑戦者グッドマンの怪我により1カ月の延期。さらに2週間前には急きょ対戦相手が変わるアクシデントにも見舞われました。
それでも、無敗の王者として11年。予期せぬ事態に陥った時にこそ発揮される、井上尚弥の真の強さ。
「長期かけて体を仕上げるというのは、自分にとってすごくプラスだったなと。僕にとって1カ月の延期は参考になった。今年はアメリカそしてサウジアラビアと、海外進出の年になってくるので、対戦相手が変わろうとも自分がやることは変わらない。しっかりと結果を出せたらと思います」
「井上選手はここから強い相手を求めて、世界に打って出ていくわけですよね」
「逆に世界が、井上選手を放っておかないということですよね。アメリカとかサウジアラビアでのマッチを通じて、世界中に井上選手の強さというものを、この際見せつけてほしいですよね」
「会見ではここからキャリアをさらに加速させたいと話していましたし、そのビッグマッチへとつながる防衛戦を番組でもしっかりと伝えてまいります。モンスターのキャリアアップ、楽しみです!」
(「報道ステーション」2025年1月23日放送分より)