WBC開幕まで残り1年。今回の侍ジャパンは、メンバー28人のうち20人が初選出というフレッシュな顔ぶれです。野手陣には松坂大輔さんが注目している選手がいます。
■DeNA・梶原昂希 パワーとスピードを併せ持つ大器
「スケールの大きさを感じますし、力をつければメジャーでもできるんじゃないか」
松坂さんも、そのポテンシャルを高く評価するのが、侍ジャパン初選出のDeNA・梶原昂希選手(25)です。去年、シーズン中盤からレギュラーに定着すると、出場91試合で、放ったヒットは99本。打率は2割9分2厘をマークしました。さらに、日本シリーズでは全試合でヒットを放ち、チームの日本一に大きく貢献しました。
「交流戦から徐々に調子が上がってきて、そこからは気づいたらシーズン終わってましたっていうくらい、あっという間に終わってしまった1年間だった」
「自分が目指している選手像はありますか?」
「もちろんソフトバンクの柳田悠岐さん。なかなかトリプルスリーは獲れないと思うんですけど、“柳田さんクラスの選手”を目指してやっていければなと、ずっと思っています」
トリプルスリーを達成した大先輩・柳田悠岐選手(36)とおととしから自主トレを行う梶原選手。目標とする師匠に引けを取らないのが、その体格。189センチ、90キロの大型外野手です。そのスケールの大きさで生み出す「パワー」に、大柄な体格でありながら、50メートル5秒8を誇る「スピード」。長打力・走力を併せ持つ選手にしか達成できない「トリプルスリー」の可能性を秘めた逸材です。
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■目指すは「何なん?こいつ」 フラフラっと上がってポンッ■目指すは「何なん?こいつ」 フラフラっと上がってポンッ
豪快に見える一方、実は本人の理想は…?
「目指しているのは、バッテリーに『何なん?こいつ』と思わせられる…」
「何なん?こいつ」とは?
「バッテリーにどういうバッターが嫌か聞いたりします。フラフラって上がったフライが切れずにレフト前にポンッと落ちる」
フラフラっと上がってポンッ。この当たりこそ、打撃が開花した要因の一つでした。
「本当は気持ちよく打ちたいけど、試合になったら“ヒットはヒットだし”と思って」
「インコースの厳しいボールを反対方向にヒットを打たれると、バッテリーは攻めるところがなくなってしまう。ピッチャーからすると、すごく嫌だなと思いながら見てました」
梶原選手が打っていたのは、「インコース高め」。一般的にインコース高めは、体の近くを通るため差し込まれやすく、打つのが難しいと言われています。あの大谷翔平選手でさえ、インコース高めの打率は2割台。しかし、梶原選手は4割4分4厘と、高い数字を残しています。一体、なぜこのコースを攻略できたのでしょうか。
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■「力の抜き方」を覚えた梶原■「力の抜き方」を覚えた梶原
「石井琢朗コーチと鈴木尚典コーチにずっとつきっきりで指導してもらいながら、ペッパーを毎日やったり」
「ペッパー」とは、投げた相手の正面にワンバウンドで返す基礎練習のことです。プロ野球ではあまり見かけない、このペッパーの意図とは。
「今の若い選手は、いろいろな情報が入ってきているので、出力には長けているけど力を抜くことが分からない。力を入れる前に、まず力を抜くことから始める。力を入れたら絶対あの距離でワンバウンドでは返せないので、腕の力だけではなく、下半身やひざの柔らかさを使う。いろいろ覚えていったんだと思います」
ペッパーを繰り返すことで覚えたのは「力の抜き方」。それによって「インコース高め」にも、スムーズにバットが出せるようになっていたのです。
「角度がついてフライで内野の頭を越えていく」
「みたいな打球が増えたかなと思います」
「それが梶原選手のバロメーター」
「今までならファールや空振りしていた高めのボールがヒットコースに飛んでくれたり、すごく実感した。自分のイメージにだいぶ近づいたかなと感じました。“嫌なやつ”と気にしてもらえるように、いかにして塁上に生き残るかというところをより追求したい」
(「報道ステーション」2025年3月4日放送分より)







