デトロイト・タイガースは日本時間2日、前田健太投手(37)を事実上の戦力外となる「DFA」としたと発表した。
メジャー10年目を迎えた前田投手は、
「ローテーションが約束されている立場ではない。その中で勝負するんだという気持ちをメジャー1年目より強く持って練習することができています」と先発ローテーション入りをかけてキャンプに臨んだ。
しかし、防御率4.91と結果を残せず中継ぎとしてメジャー開幕を迎えた。
ここまで7試合に登板し、計8イニングを投げて0勝0敗、防御率7.88を記録。
直近2試合ではともに1回無安打無失点の投球を見せていた。
「辛いことだ、彼が調子が良かったとき本当にチームを助けてくれた。
しかし、彼が苦しんでいるとき、私たちは彼を軌道に戻すことができなかった。
彼の在籍期間がこのような形で終わるのは非常に悔しい」
前田投手は2016年にポスティングシステムで広島カープからロサンゼルス・ドジャースに入団。
メジャー1年目にチームトップの16勝を記録。
ミネソタ・ツインズやデトロイト・タイガースでもプレーし、通算226試合に登板し、68勝56敗、防御率4.20で1055奪三振。
ミネソタ・ツインズに移籍した2020年は、新型コロナの影響による短縮シーズンではあったが11試合に登板し6勝1敗、防御率2.70の好投を見せ、ア・リーグのサイ・ヤング賞投票で2位に入った。
2021年に右肘のトミー・ジョン手術を受け、2022年はシーズンを全休。
2023年に復帰し、オフにFAとなりタイガースと2年2400万ドル(約34億8700万円)で契約していた。
今回、前田投手が通告を受けた「DFA」とその後の契約の流れについて紹介。
■前田投手が通告を受けた「DFA」とは?
DFA(Designated For Assignment)とはメジャー契約40人ロースター枠から外され、事実上の戦力外通告のことだ。
ロースター枠から外された選手はMLB労使協定によってすぐに解雇されず、7日間他球団に移籍(「トレード」、「ウェーバー公示」)の可能性を模索する期間が与えられる。
公示期間内に他球団が獲得意思を示した場合、今シーズンの年俸や契約内容をそのまま引き継ぐ形で保有権が譲渡され、移籍球団のロースター枠に加わる。
他球団との交渉が成立した場合、移籍が可能になる。
期間内に移籍が成立しなかった場合、「FA」か「マイナーへ降格し再契約」となる。
今回、前田投手は以下のいずれかを選択できる。
タイガースと改めてマイナー契約し、傘下マイナーリーグ組織にてプレーしメジャー昇格を目指す。
※前田投手はメジャー経験が5年以上あるため、マイナー降格を拒否することができる。
タイガースからマイナー契約のオファーがなかった場合、または前田投手がマイナー契約を拒否した場合、自由契約となりFA選択選手となる。
マイナー契約、また自由契約になり、他球団へ移籍したとしてもタイガースは前田投手に今シーズンの契約年俸を支払う義務がある。
ウェーバー公示期間後に前田投手と契約した球団は、メジャー最低年俸額のみを負担(残り契約期間分に対して日割りで計算)して支払う。
■日米通算200勝まで残り35勝 MLB選手年金基金の満額受給まであと一歩
前田投手は日米通算200勝まで残り35勝と達成に期待せずにはいられないが、MLB選手年金基金にも目を向けたい。
メジャー10年目の前田投手は、メジャー実働10年で資格を得る満額支給まであと一歩なのだ。
今まで多くの日本人選手がメジャーでプレーしたが、満額支給を受けられるのはほんの一握りの選手で、長年メジャーで活躍した証、栄誉のあることだ。
前田投手の今後の決断に注目したい。