大越健介キャスター(63)の挑戦です。人生100年時代、健康で生き生きと年齢を重ねたいという思いから、大越キャスターはかつて東京大学野球部のエースとして躍動した姿をもう一度追いかけています。しかし、球速もなかなかそう簡単に上がるものでもありません。そんななか、今回大越キャスターが足を踏み入れたのは、多くのプロ選手も利用する最先端の野球科学でした。
プロ22年で日米通算165勝 和田毅が協力
「(Q.今回は野球と科学がテーマ)筋肉の伝達とか動きを分析しながらやるっていうことですよね。数字が上がっていないっていうのも事実。改善点とか分析すればあると思う。不可能を可能にできるんじゃないか」
東京大学のエースとしてリーグ戦通算8勝。大学日本代表にも選ばれた63歳。40年の時を経て、あのころの球速を目指す挑戦、「大越健介、球速130キロへの道」第3弾です。
今回協力していただくのは、プロ22年で日米通算165勝の和田毅さん(44)です。
「第1回は106キロ、第2回は103キロと計測が逆方向にいっているので、打開策を見出したい」
「上がるように」
まずはキャッチボールです。
「手元でヒュッときますね」
「本当ですか?和田さんは40歳超えて149キロ出てたでしょ?」
「はい。41歳の時に」
「私も60歳を超えてもう壊れてもいいので、きょうは思い切りやります」
「野球科学」で投球動作を分析 課題は…
そして、いよいよ科学の世界へ。始めに体の48カ所にマーカーを貼り付けていきます。
「不思議な感じだ」
これらを14台のカメラで捕捉し、つなぎ合わせると3Dのデータが作り出されます。
このデータをもとに、投球動作で生まれたエネルギーを効率よくボールに伝えられているか分析。今、多くのメジャーリーガーやプロ野球選手も取り入れる最新技術です。
「これで私の動作がすべて解析できる」
10球程度、全力で投げ込み、測定終了です。
「いろんなところでロスしてるんだろうなと感じながら、投げていたんですけど」
投球動作を研究する専門家・神事努さんに解析結果を聞きます。
「これが私ですか?」
「今回の最速100.1キロ。大越さんの良いところでいうと上腕から前腕、前腕から手、手からボールというところのエネルギーの流れの効率。ここは非常に良い流れをしています。一方で問題のあるところでいうと、骨盤から胸郭にエネルギーをどうやって流していくのかというところが、少し不良やエラー動作があるということが分かりました」
解析で判明した最も大きな課題、それは投球動作のこの瞬間。骨盤から胸郭。すなわち下半身から上半身へのエネルギー伝達がうまくいっていないというもの。この時、ポイントになるというのが…。
「後ろ足の使い方になります。ここで注目したいのが、一番力が大きくなった局面です。力の方向が上を向いてしまうと、いわゆるジャンプをするようになってしまう。本来ならば進行方向に50〜55度が理想、上を向いた状態を少し傾けると、より大きなエネルギーを生んでくれる」
下半身から上半身へのエネルギー伝達で、大事なのは「後ろ足」。大越キャスターの場合、後ろ足がジャンプをするようになることで、エネルギーが投球方向ではなく、上に向かっています。
ここで生じるエネルギーのロスが、球速に影響しているということが今回分かりました。
「おなかの中に小さい自分を作る」イメージ
「数値化して可視化もできるので、課題をしっかりトレーニングして、エネルギーの効率をうまく使っていけば130キロは夢ではない」
ただ、投球フォームの改善は簡単なことでありません。トレーニングによって、まずは体の使い方の改善が必要です。
「もう速度的には限界かなと本当は思っていた。ちょっと未来が明るくなったというか、いけるとこまでいってみたい」
次回の挑戦に向け、和田さんからもアドバイスがありました。
「体幹が一番中心になるので、おなかの中に小さい自分を作る。小さい大越さんがマリオネットのように、動かしているイメージ」
イメージは「おなかの中に小さい自分を作る」です。
「この人が伸び伸びと自分のように」
「伸び伸びと動いているようなイメージで、もう1人の小さい自分がおなかにいるようなイメージで」
「あ、いた。ここにっていう。いるな、いるなっていう感じですか?」
「小さい自分が動いてくれるから自分の体も動くイメージ」
「今の意見を参考にしながら新記録を出したい」
「もう10キロ、15キロはいくかと…」
「まずは、和田さんはじめご協力いただいたスタッフの皆さん本当に心から感謝を申し上げます。それとともに、この自分の中の小さな自分っていうのは、すごくしっくりくるのがあって。まだ全然意識できていないです。難しいです。ただ、理論的に少し後ろ足でジャンプして力が上に逃げてるのは少し感覚的に分かるので、ちょっと前に少し突っ込む形で投げるともう10キロ、15キロはいくんじゃないかと。和田さんもおっしゃってくれたので、あとはスタッフのためにも頑張りたいと思います」
(「報道ステーション」2025年7月9日放送分より)