バス運転手不足…各地で減便、修学旅行にも影響 各社は続々給料&待遇UP 移住支援も
モーニングショー
[2024/05/29 15:55]
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運転手の時間外労働が規制される2024年問題で、人手不足が今、深刻化しています。運転手がいないために中学校の修学旅行で予約した貸切バスが急きょキャンセルされるなどの影響も出てきています。
■バスに座れず…利用者困惑
25日から全体の7%ほどにあたる路線の廃止や減便に踏み切った京成バス。その理由は「2024年問題」。
今年4月から、ドライバーの時間外労働の規制が強化されたための措置だといいます。
「バスがなくなったら本当に困っちゃいますよ。座るところがなくなっちゃったんですよね。そうすると困るんですよ、だから次の待ってるの」
本数が少なくなり、今までだと座れていたバスに座れなくなってしまったといいます。
減便した路線では病院へ向かうルートも含まれていて、こんな声も聞かれました。
「(今までは)本八幡駅でいつも総合病院行きのバスに乗るんです。ところがあそこなくなっちゃったって言われて」
「(Q.減便後、乗るのは初めて?)初めてなんです。だからだいぶ…もたもたしましたよ」
「大変だね」
千葉県によると、県内の路線バスはこの半年でおよそ1900便が減便。県は今後、運転手不足の解消に向けバス会社と話し合い、支援策を検討していくといいます。
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■給料・待遇アップ、女性活躍も…■給料・待遇アップ、女性活躍も…
各地でバスの減便が相次ぐなか、バス会社も手をこまねいているだけではありません。
今月、東京で開催されたバス会社専門の就職説明会には全国から96社が参加。バスドライバーの賃金は、すべての職業の平均年収と比べおよそ100万円低い状況。一方で月の労働時間は、平均より16時間も長くなっています。この現状を打開しようと、各社では待遇面の改善を進めています。
横浜交通開発 担当者
「給料面での大幅アップということで、毎月の給料を大幅に3万円アップとかですね」
横浜交通開発では、給料の大幅アップとともに、入社の際の就職支援金を30万円から50万円に引き上げるなど、待遇の良さをアピール。法改正もあり長時間労働も改善が進んでいるといいます。
参加者もこのように話します。
「ちゃんと福利厚生とか休みの制度とかしっかりしていて、安心感がありました」
女性を積極的に採用しようとしている会社も目立ちます。参加者にも女性の姿がみられました。
鎌倉から来たこちらの女性は、子育ても落ち着き、念願だったバスのドライバーへの就職を目指しているといいます。就職のうえで最も気になるのは…。
「女性の働きやすさに力を入れているかどうかというのは、とても私の中では判断基準になっています」
「女性ドライバーにやさしい」と掲げている京浜急行バスのブースへ。説明会ブースで志望動機を聞かれ、このように話しました。
「案内がとても丁寧な方がいらっしゃいまして、降りる時に『雨なので気をつけてください。お疲れ様でした』って。そんなすてきな方に出会ったことがあって、それがバスの運転手が気になるきっかけではありました」
会社側は女性の働きやすさをアピール。
「女性の事務員がいますので、2人の(女性ドライバーの)先輩もいますから、十分活躍いただける場所があると思います」
この日、5社以上のブースを回った感想は…。
「会社ごとに特徴を持っているなということがよく分かりました。あと女性の設備でしたり、更衣室とかシャワーのあるない、仮眠できるスペースが確保されているか。(そういう会社が)これから増えていってもらえたら、うれしいなと思います」
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■最大40万円の支度金も…移住者にアピール■最大40万円の支度金も…移住者にアピール
こちらのバス会社は、ある方法で採用強化を図っています。
北海道の東部、北見市を中心に走る北見バス。ドライバーが定員よりも常時10人ほど少ない状況が続き、去年7月、一部路線の減便に踏み切りました。
福村泰司社長
「過去、我が社の歴史の中でも初めてといってもいいかもしれません。大幅な減便を実施しました。人のやりくりが、非常に厳しい状況」
そんななか、人手不足解消のため積極的に取り組んでいるのが、移住手当を大幅に拡充し、移住を伴う転職を考えている道外の人に積極的にアピール。
「移住者に焦点を当てて採用活動を強化しております」
道外からの転居が必要な人に最大40万円の支度金を入社日に支給。さらに、転居してから最初の3カ月は家賃を補助。その結果、以前は道外から入社する人は数年に一人だったにもかかわらず、この1年で6人が道外から入社しました。
北見バス 吉野恵斗さん(28)
「地元に貢献したいという思いもありましたね」
今年1月からドライバーとして働いている吉野さんは、北見出身で、以前は東京で運送の仕事をしていたUターン組です。
採用担当者はこのように話します。
笠井雄太総務主任
「20代のうちに北見にまた戻ってきたいと言ってくれるのは、すごく珍しく感じて。私もテンションが上がっていました。地元に対してこういう気持ちをもっていただいているというのは、非常にうれしく思います」
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■憧れの北の地に…■憧れの北の地に…
今月から北見バスで働いている延安紘幸さん(28)。以前は、広島のバス会社でドライバーをしていたといいます。なぜ北見に来たのでしょうか?
「高校時代の修学旅行から北海道に憧れていて、やっぱり夢があったので。それを捨てるよりかは挑戦したいなって自分の中で気持ちがあったので、移住を決断した」
北海道の大自然にみせられて移住をしてきたという延安さん。休みの日は道を覚えるのも兼ね、ドライブに出て北海道の大自然を満喫しに行くといます。
「給料が出るまでの家賃とか出していただいているので、それがだいぶ大きいなと」
金銭面での支援の手厚さが移住のハードルを下げたといいます。この日はドライバー歴40年以上のベテラン指導員とマンツーマンで研修。
「道がデコボコしているからスピード出していくとお客さんが跳ねるので、ここ注意しながら」
休憩中には先輩ドライバーからアドバイスも。
「苦手なところとかあります?どっか」
「信号のタイミングとかがまだ全く分からなくて、ちょっと普通に速度がのっている時にあれ?って」
「心の中でカウントダウンするんです」
バスの速度と信号のタイミングをどう合わせるかというドライバーならではの会話も。
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■今後の生活は…「北海道を楽しむ」■今後の生活は…「北海道を楽しむ」
続いては、実際の路線でお客さんを乗せての研修。緊張した様子の延安さんに、先輩ドライバーは「がんばれ!俺と行った時のようにやったらいいから、なんとかなるよ」と声を掛けます。
「ありがとうございます」
「ありがとうございました」
この日は辺りが薄暗くなった午後7時に一日の運行を終えました。
広島から北海道への移住を果たした延安さん。今後してみたいことは…。
「今はとりあえず仕事と生活を安定させたいなと思っています。北海道好きで来たので、地元の人しか知らないとか、いろんなところに行って楽しんでいきたいなって思っています」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年5月29日放送分より)