“外国人の駆け込み寺”東京・上野にある観光案内所。外国人観光客ならではのトラブルや、少し変わった旅行の楽しみ方まで、花見で大忙し!上野の観光案内所を追跡しました。
■ドイツ人感激…穴場の無料イベント
花見客でにぎわう東京・上野公園。公園のちょうど真下にあるのが京成上野駅。この構内に“外国人観光客の駆け込み寺”「観光案内所」があります。
「スマホを忘れました」
「きょうですか?」
「そう」
英語以外に中国語と韓国語を話せるスタッフが常駐。迅速な対応で、問題を解決に導きます。
「駅のインフォメーションセンターに行って下さい」
この日、1人の外国人女性がやってきました。
「日本は初めてですか?」
「そうです」
「ようこそ」
ドイツ人のマリアさん。1年間仕事を休んで、1人で世界を旅しているといいます。日本は、すでに5カ国目です。
「ここは上野ですけど、どんなことに興味が?」
「何でも興味がある」
聞けば、直前に寄ったインドではヨガを体験したそう。
「その国ならではのことを体験してみたい」
「日本ならではの体験がしたい」というマリアさん。そこで、最適な“穴場スポット”を紹介することにしました。
「場所は銀座線で10分」
「OK。ツアーですか?1人でも大丈夫?」
「1人で大丈夫」
「完璧ね。ありがとう」
上野駅から地下鉄で移動すること10分。やってきたのは京橋です。この商業ビルの中に、お目当ての場所があるといいます。見れば、ここも観光案内所のようです。
「どうされましたか?」
実はここ、無料体験ができる“穴場スポット”でした。
「いいニオイですね」
上野の観光案内所で紹介された日本ならではの体験とは「習字」。でも、ただの習字ではありません。
「リラックス」
スタッフが選んだ漢字で、自分の名前を書きます。
「初めてですよね。すばらしい」
「わたしは、この文字が好き」
実は、スタッフが選んだ漢字には意味がありました。
「これはトゥルー(真実)という意味。これはホームタウン。こっちはラブ。つまり“故郷を愛する人”という意味です」
「それが、私の名前の意味なのね」
「あなたのために良い漢字を選びました」
「なるほど、ありがとう」
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■外国人絶賛 上野公園の名物グルメ?■外国人絶賛 上野公園の名物グルメ?
桜を楽しむ外国人たちでいっぱいの上野公園。シャンパンを片手にお花見です。
「きょうは、お花見日和ね」
もちろん、“花より団子”という外国人もいます。
「とてもおいしい」
この日出会った外国人は、知る人ぞ知る上野公園の“名物グルメ”を探していました。
「その国の“ご当地グルメ”を食べるのがいいんだよね」
アメリカから来たジョセフさん。上野公園の“ご当地グルメ”は、外国人にも評判だといいます。
「あの店だね。いいね、歴史がありそうだ」
そこは、上野公園で70年以上続く売店でした。ジョセフさんは、友人からこのお店を教えてもらったといいます。
「古くて変わった店を探している。そういう店では、おいしいものが食べられる」
昭和の香り漂うメニューが楽しめるこの売店。果たして上野公園の“ご当地グルメ”とは?
「とてもおいしそう」
これぞ、外国人にも評判だというメニュー「カレーそうめん」。
「間違いなくおもしろい料理。こんな麺が入ったカレーは初めて」
ゆで上げたアツアツのそうめんに、豚肉とタマネギが入ったカレーをたっぷりと。上野公園で20年にわたり愛され続ける名物グルメです。
「おいしいね。カレーライスとは食感が全然違う。そうめんにカレーがなじんでいるよ」
もともとは“まかない”だったという「カレーそうめん」。
「お店の中がほとんど外国人の時もある」
“まかない”から生まれたメニューが口コミで広がり、まさか外国人にも評判になろうとは思いもしなかったといいます。
「とてもおいしい。麺の食感が良い」
「おいしい」
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■「アメージング」案内所スタッフが救世主に■「アメージング」案内所スタッフが救世主に
多い日は1日に800人もの人が訪れる“外国人の駆け込み寺”。上野の観光案内所。
この日、助けを求める外国人女性がいました。彼女はアメージングな体験をすることになります。
「これか?違うや」
「おっ」
日本に着いたばかりのギリシャ人女性。スマホが使えず、旅行ができないと困り果てていました。
「アクセスポイントいいよ。アクセスポイント名で…」
もはや、案内所の仕事ではないような気がしますが、何とかしてあげたいとスタッフ2人がかりで奮闘します。
「インターネットがないと大変」
確かに、もはやスマホは旅の必需品ですもんね。
「ホテルを探すのにも必要だから、とても重要」
スタッフが格闘することすでに10分。女性は、ちょっと申し訳なさそうな感じに…。
「もし直らなくても気にしないで。また別のカードを買いますから」
もしかしたら原因は、日本で通信するために購入した「SIMカード」にあるのかも。と、その時…。
「あっ動いた」
「ちょっと待って、ちょっと待って」
「イェーイ」
「アメージング」
どうやら、カードを変更した際の設定が違っていたようです。
「ありがとう。本当に親切。完璧なチーム」
さすが、“外国人の駆け込み寺”です。
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■彼女にナイショ? 意外な人気スポット■彼女にナイショ? 意外な人気スポット
この日やってきた外国人カップル。彼氏だけ、意外な場所に行こうとしていました。
「新宿に行くとすると、JRに乗る?」
「地下鉄でも行けます」
「ありがとうございます」
スイスから来たというカップル。新宿まで何をしに行くのでしょうか?
「2人で行くの?」
「いいえ」
「ボクだけ。日本にしかないものだから、日本にいる間に挑戦したい」
彼女と別行動で、彼氏はどこに行こうというのでしょうか?
「このユーチューバーが紹介していた。500万回も再生されている」
動画のタイトルは「ニッポンの耳かきサロンに行ってみた」。
「店員は男性だよ」
「男性じゃなきゃ私も一緒に行く」
驚いたことに、目指す「耳かきサロン」は、お客の3割ほどが外国人だといいます。
「ついて行ってもいい?」
「ア〜」
無理言って、すみません。
「1人で楽しみたい」
彼女は街の風景を撮影しながら待つそうです。
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■ナゼ買った? 外国人の謎みやげ■ナゼ買った? 外国人の謎みやげ
観光案内所を訪れる外国人の中には、不思議なお土産を購入する人がいます。
「上野公園はどこ?」
「上野公園は、この上」
インドから来た家族。着いたばかりで、真上にある上野公園が分からなかったみたいです。初めて日本に来たといいます。
「桜はどう?」
「キレイね」
インド人家族が目を留めたのは骨董(こっとう)市。多くの外国人がお土産を探していました。すると父親が、何か気になるものを見つけたようです。
「まけてくれないかな」
「ノーディスカウント」
「難しいか。OK、400円ね」
「サンキュー」
何を買ったのかと思ったら…。
「カギに付けるんだ」
なぜか、阪神タイガースのキーホルダー。
「それは大阪の球団です」
「大阪へ行くつもりだったので、ちょうど良かったよ」
この日、観光案内所で出会ったルーマニア人女性。彼女たちも骨董市でお土産を買ったといいます。それがこちら…ん?漢字のようですが…。
「デザインが気に入ったので、店の人に文字の意味を聞いてみた」
何て読むの?
「“心の華”だと教えてくれました」
なるほど、“心の華”でしたか。
「このメッセージが気に入って買いました。まさに日本のお土産」
上野公園の桜は満開。観光案内所は、きょうも大忙しです。