中小スーパーにも売り渡すことになった政府の「備蓄米」。これで一気に広がると思いきや、スーパーは怒っていました。
■小泉大臣 備蓄米“対象変更”
28日朝、自民党で行われた農業推進委員会。小泉農水大臣は、備蓄米の随意契約の対象について新たな発表をしました。
ところが、日々、目まぐるしく変わる小泉大臣の発言に町のスーパーマーケットや米店からは、怒りの声が続々とあがっています。
27日の夜遅く、急きょ会見した小泉大臣の発言です。
今回、随意契約で放出する備蓄米30万トンのうち、2022年産の“古古米”は20万トン。27日の夜の時点で大手小売業者など、およそ70社から申し込みがあり、その多くが、2022年産米を希望したため、20万トンに到達する見込みだといいます。
そのため、大手小売業者の申し込みを休止して、残った2021年産のいわゆる“古古古米”については、売り渡す対象を変更すると明かしました。
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■中小スーパーから“怒りの声”■中小スーパーから“怒りの声”
2021年産の“古古古米”は随意契約の対象を、今後、中小のスーパーや町の精米店に変更するとしています。 ただ、これまで随意契約の対象になっていなかった町のスーパーを取材すると、疑問の声が。
「中小スーパーに対しては、大手に配るコメよりも古いコメを対象として配るということでその違いは何なのかと、非常に疑問に感じる。(大手小売りと)1年、古さが違うものを取り扱わなければいけない、もしくは販売しなくてはいけない状況になってしまうと、非常に店としても、その評判を気にせざるを得ない。平等性に欠けていたのではないかと」
仙台市のコメ店は随意契約の対象を当初、大手小売業者に絞ったことについて憤ります。
「今回は 卸売店も通さないで直接 一発で大手に行ってしまって、それはとんでもないやり方で我々は最高の怒りを感じる」
今後、“古古古米”の備蓄米が町のコメ店にも売り渡される方針については。
今後、スーパーなどの店頭に並ぶ備蓄米は、主に3種類です。
1つは、これまでの競争入札で落札された備蓄米。2023年産の“古米”がメインのものでは、店頭価格は5キロ3500円前後で売られています。
そして、今回の随意契約によって来週にも大手小売業者などの店頭に並ぶのが、2022年産の“古古米”です。2000円ほどで売られるとされています。
さらに、今後、新たな随意契約では、2021年産の“古古古米”が中小のスーパーや町の精米店に売り渡される方針です。価格は税抜き1800円ほどになるといいます。
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■“古いコメの備蓄米”買いますか?■“古いコメの備蓄米”買いますか?
古いコメの備蓄米を買うのかどうか、町の人に聞くと。
「私たちは年金生活だからそんなに裕福ではないが、古米がでたというのはちょっとわからない」
「古米はちょっと悪いイメージがあってあまり食べたくない。でも仕方なかったら買っちゃうかも」
「(Q.1800円前後の備蓄米は)それは買わない」
「心配。味が…」
■備蓄米の味は? 食べ比べ
備蓄米の普及が今後、加速していくなか、 気になるのは古いコメの味です。
広島県の卸売り業者で行われた、備蓄米の試食会です。
食べ比べするのは6種類。2023年産の備蓄米100%に2024年産の銘柄米100%、その他は銘柄米と“古米”の備蓄米を比率を変えてブレンドしています。
参加したのは「米飯食味評価精度試験」に合格したエキスパートたちや、「五つ星お米マイスター」など、総勢20人ほどです。
どのコメかは明かさずに、食べ比べした結果は。
「(試食Dが)一番悪い。美味しくなかったが7人集中。古米(備蓄米)100%は食味的に力がないかな」
最下位は2023年産の“古米”100%の備蓄米でした。
■“古古米”備蓄米に “新価格”5kgで1000円台も
随意契約に申し込みをした大手小売業者を取材しました。九州を中心に57店舗を展開するディスカウントストア 「ミスターマックス」です。
今回、申し入れた備蓄米は2022年産の“古古米”のみで、数量は5000トンです。精米の過程で1割ほど量が減るとした場合、5キロ袋では、およそ90万袋にも及びます。小泉大臣のいう2000円を下回る価格で売る方針です。