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世界最大級のアメリカの音楽フェス「コーチェラ」のステージに10代にして立った、今大注目のタイの国民的ラッパー“MILLI”。東京都内で開催された「タイフェスティバル」に合わせて来日し、5月9日、日本で初単独公演を実現した彼女に、タイの音楽の特徴や自身の曲へのこだわりを聞いた。
■ラップを始めたきっかけはあのアーティスト

ー音楽のルーツは
もともと音楽を聴くことが大好きでした。実は最初はEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)から始めたんです。ニッキー・ミナージュの「Starships」に出会ってラップに夢中になりました。ニッキーの音楽にのめり込んだのが本格的にヒップホップを始めたきっかけです。
ーラップや歌詞の作り方は
いつもは伝えたいメッセージなどテーマを選ぶことから始めます。次に、テーマと歌詞に合う雰囲気や音楽スタイルを探ります。その後は、プロデューサーと一緒に意見を出し合います。通常はメロディーを作るところから始めますが、並行して歌詞も書いています。
■日本人アーティストとの“特別なコラボ” ヒントは…
ー特に印象に残っているコラボは
これまでたくさんのアーティストとコラボしてきました。誰とコラボしたのか忘れてしまって、自分自身をネットで検索することもあります。私はアーティストにはそれぞれ独自のスタイルがあることに気付きました。コラボを通じて多くのことを学びました。お気に入りを選ぶなら…本当に難しい。難しいです。みんな特別です。
ーこれからしたいコラボは
新アルバム「HEAVY WEIGHT」ではたくさんのコラボが予定されています。1人目が日本の女性ラッパーで、2人目が日本のガールズグループです。特別なコラボもあります。ヒントは…ボブの髪型のダンスグループ!

■日本でも音楽フェスに出演 「ただただ幸せ!」
ー日本での思い出は
たくさんの思い出があります。一番は…前回の日本では、たくさん食べて体重が2〜3kg増えました。今回は少し調整しています。今朝は5km走りました。2日前は大阪で10km走りました。またたくさん食べられるように。日本の食べ物は本当においしいです。
ー日本での経験が自身の曲につながることは
以前、曲の中で日本語を使ったことがあります。あまり深い意味はないのですが…。でも一度、日本語だけで1曲歌ったこともあります。「BOY PABLO」という曲です。
ータイ語・英語・日本語の曲を歌う時、それぞれ心境の変化は
私はタイ語と英語を話せるので慣れています。日本語で歌うのは「sh」と「ch」の発音が他の言語と少し違います。「し」と「ち」ですね。上手に発音できるように練習しました。上手に発音したくて!
ー日本の音楽フェス「サマーソニック」について
(参加できて)とてもうれしかったです!「サマーソニック」にはずっと行きたかったので、そこで演奏できるなんて…。私はバンド仲間と参加したのですが、ただただ幸せでした。私の曲が強烈で過激なラップだったとしても、観客は楽しんで応援してくれました。かわいい〜!

ーアメリカの音楽フェス「コーチェラ」について
「コーチェラ」は想像をはるかに超えるものでした。私は「88rising(米拠点のメディアプラットフォーム)」の一員としてパフォーマンスさせていただきました。ステージでは「Mango Sticky Rice」を歌いました。ただただすごくて、言葉では言い表せません。最初は、自分はふさわしくないと思って行きたくなかったんです。少しずつステップアップしていきたいとも思っていました。ただチャンスがまた訪れるかは分かりません。ベーシストが私にこんなことを言ったんです。「いつかお母さんになった時に、子どもに『コーチェラに行ってパフォーマンスした』と言えるよ」って。それで「最高!」って思って参加したんです。
ーこれから出演したい海外のフェスは
正直どこにでも行きたいです。
■自然に表れる「タイらしさ」が魅力!おすすめのフェスも紹介
ータイの音楽の特徴は
難しい質問ですね。大きな特徴は、言語と伝え方だと思います。私の曲だけでなくT-POP全般にはタイらしさが込められています。様々なアーティストの歌詞や物語の中にタイらしさが表れています。私たちはタイ人なので、それが音楽にも自然に表れるんです。
ータイ語の歌詞の言葉選びについて
メッセージ、伝え方、テーマ決めなどで課題があります。ラップだとさらに難しくなります。タイ語はラップをするには難しい言語で、英語や日本語も混ぜています。正直、みなさんにすべての歌詞を理解してほしいとは思っていません。もっと深く知りたい人は、私が公開している歌詞を見てください。歌いたい人はぜひ一緒に歌ってください!

ータイのおすすめのフェスは
タイでは、私は主に涼しい季節に出演します。11月と12月はステージに立つことが多かったですね。4月のソンクラーン(タイの旧正月)期間中は、立て続けに出演します。私にとっては今(5月上旬)が、フェスのピークの季節です。一番のおすすめは…「Maho Rasop Festival」!(毎年11月ごろ開催)最高!「Maho Rasop Festival」おすすめです!
■“常に全力”今後のMILLIにも期待!
ー心掛けていることは
常に守っていることが一つあります。日本語でどう表現できるか分かりませんが、後悔しないことです。「ああしていれば…」「こうしておけばよかった」とか…。だから私はいつでもベストを尽くすようにしています。そうすれば「なぜしなかったのだろう」と振り返って考えることがなくなります。何をするにも全力を尽くしましょう。これまでやったことのないことに全力を尽くしましょう!

ー最後にメッセージをお願いします
MILLIちゃんを応援してくれてありがとうございます!私がどんな曲をリリースしても応援してくれて、本当にありがとうございます。私はボクシングもするし、音楽以外にも様々なことをしています。それでもみなさんは私を応援してくれて、一緒にいてくれます。ずっと私のファンでいてください。みなさんからの愛と応援に感謝します。2ndアルバム「HEAVY WEIGHT」が6月にリリースされるのでお楽しみに!