【解説】台湾総統選 熱狂のワケ グッズにドラマ“仁義なき戦い”[2024/01/12 18:25]

 13日に投票日を迎える台湾総統選。なぜここまでの盛り上がりを見せるのか、現地で取材にあたる高橋大作記者の解説です。

■まるで音楽フェス 台湾総統選前夜祭とは

 (与党・民進党の前夜祭の会場にいるということなんですけれども、日本では前夜祭あまりなじみがないんですが、一体どういうことを行うのでしょうか)

 今、私の後ろで行われているのがまさに、いわゆる「候補者の演説」ではなくてバンドのリハーサルなんですよね。日本でも選挙戦の最終日にマイク収め、大規模な演説会が行われることがありますが、その超拡大版ですね。ここまでの音楽フェスのような大きなセットを組んで、そしてバンドも出る、ダンサーも出る、色んな人が出てくるというような大スクリーンの下で行われるのが前夜祭です。

 ステージの前方の方もうすでに結構な人が集まっています、200人程度でしょうか。まだ、前夜祭の開始まで3時間近くあるんですが、すでにもう前の方を陣取っている。これが民進党の支持者なんですね。

 こちらどんな会場かというと、この足元は陸上トラックになっていて、大きなスタジアム。まさに陸上競技場を1つ借り切った仕様になってるんですね。

 先ほどからちらちらと見えていますが、椅子の数ご覧下さい。本当にずらっと並んでいまして、後ろの方まで本当にあります。

 11日の民進党の集会は主催者発表なんですが、20万人来たといわれていました。さすがにそれは言い過ぎかもしれないですが5、6万人は来ていたのではないかと、そのように見られました。

■グッズにドラマ“仁義なき戦い”

 周りでは屋台なんかも出ています。選挙グッズなんかもたくさん売っていて、どんなものが売っているかというと、例えば民進党の支持者たちは野球チームをイメージしたグッズが多いですが、野球のホームベースをイメージした箱に中にはこういったタオルが入っているというようなところで、これ2枚セットで2024元、1万円近くするんですけれども、これが飛ぶように売れているということで、本当にお金も使っているし、投票もしたいという熱い支持者がそろう、前夜祭があと3時間後に始まるという状況です。

■台湾総統選 熱狂のワケ

 (台湾の4年前の投票率というのが、75%近くで日本の投票率と単純比較はできないかもしれませんけれども、かなり違いがあるんですけれども、そのあたりは、どうしてここまでの盛り上がりを見せるんですか)

 半年ほど前からずっと取材をしているんですが、テレビも新聞も本当に政治のニュースっていうのをたくさん報じるんですね。コマーシャルなんかも封じられるですが、いわゆる私たちの党はこうですっていう、きれいなコマーシャルだけではなくて、相手に対して非難するような結構どぎついコマーシャルまでも流れると、非常に仁義なき戦いなんですが、そこも含めてある種のゲームのように楽しんでいるという部分があります。

 あと1つの何て言っても危機感ですね。私の1票入れなければ台湾が変わってしまうかもしれない、あるいは変わらないかもしれないそういった危機感を持ってる人も大勢いらっしゃいまして、そういったことから投票率が高いんだと思います。

 (なぜそこまでの危機感といいますか、そういうふうに思えるんでしょうか)

 実は台湾の人たち、現状維持してほしいという思いと、変わってほしいというそういった思いで揺れ動いているんですね。

 例えば中国との関係というのはほとんどの人が現状維持をしてほしいと思っている。ただ、今の与党・民進党政権がこれ以上続くと、経済だったりあるいは就職難だったりこういったものが変わらないんじゃないかという思いもあると、そういったなかで色んな候補を見て政策を見たうえで、自分が信じる人に1票を投じたうえで自分の未来を信じたいと、そういったことのようです。

 いよいよ13日の投開票が迫ってきました。注目です。

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