【池上解説】イジメ加害者は逮捕!?犬を飼うにも要免許!?

[2024/03/16 21:00]

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日本では残業すると「まじめに働く人だ」なんて言われますが、これがドイツに行くと「仕事が遅くて出来ないヤツ」なんて思われたりします。
それぞれのお国柄によって社会のルールや政策も大きく違います。世界と日本を比べていくことで、日本が抱える様々な問題、どう解決していくのがいいのか、考えるきっかけにしてください。

■犬を飼う…国によってルールが全然違う!


日本では犬を飼いたい時、ブリーダーから買う人もいますが、ペットショップに行って買う人がたくさんいますよね。そもそも日本では犬や猫を家族として迎え入れることは自由です。でも国によっては全然違います。

フランスでは今年から、犬や猫をペットショップの店頭で展示販売することが禁止となりました。
結果ブリーダーから買ったり、保護施設から引き取るケースが一般的となったようです。
ヨーロッパは動物愛護のイメージが強いのでそのためか、と思いますよね。でも実はそれだけではないんです。なんと、バカンスに犬や猫を連れていけないため、捨てる人が続出したことが大きな理由なんです。

スイスでは州によって異なりますが、犬を飼うためには免許が必要です。
こちらは家族の一員としての自覚を促す目的で導入されました。

ドイツでは犬税があります。州によって異なりますが、1匹あたり年間2万円程支払います。
さらに犬規則、という飼うための細かいルールも存在します。

規律を明確にし、重んじる国民性が表れていますね。
そしてイタリア・トリノ市はもっと厳しいルールがあるんです。

室内犬の場合、1日3回以上散歩させないと、500ユーロ、およそ8万円の罰金が科せられるんです。心身ともに健康でいられる環境を常に犬に提供するために始まったんですが、これだけ厳しければ無責任に飼う人もいなくなりますね。

さらに、ヨーロッパなど今犬のDNA登録の義務化を進める国が増えています。
何のためかというと、フン対策です。フンを分析すれば飼い主までわかる、とういことです。
日本でもフンの放置は問題になっていますが、果たしてここまでできるかというと、ギモンですよね。
国民性の違いがこういうところにもでてきます。


■こんなに違う!世界のいじめ対策

いじめ対策も日本と世界では大きく違います。
つい最近もいじめを長期間放置していたり、学校や教育委員会がいじめとなかなか認めなかったり、などいじめに関するニュースはなかなかなくなりません。

日本の場合、いじめというと、まずは先生に相談するなど学校内で対応することが多いのが現状です。では世界ではどうでしょうか。

アメリカでは学校ではなく専門機関に相談、が一般的です。専門の訓練を受けたトレーナーがいじめ予防の方法、対処法を指導して、学校の雰囲気を変えていったり、なにより教師の相談にも乗ってくれるというシステムです。

加害者に厳しい罰則があるのがフランスです。SNSでの嫌がらせなどが増えて自殺者が増加したため、2年前に法律が制定されました。いじめの被害者が9日以上通学不能など学業に支障が出た場合、5年以下の拘禁刑および最高で約1200万円の罰金、自殺または自殺未遂の場合は10年以下の拘禁刑および最高で約2400万円の罰金など大変厳しい罰則です。つまりはいじめを犯罪と位置付けた、ということです。

対象となるのは13歳以上で、保護者の了承なしに、加害者を強制転校させることも可能です。国としていじめには容赦しないぞ、という取り組みなんです。

スタジオゲストからも「いじめを完全になくすことは難しい。いじめはなくならない、を前提に徹底的に罰するというのは効果的だと思う」との意見がありました。

同じく加害者に罰則が用意されているのが韓国です


韓国は大変な学歴社会です。その大事な大学入学の8割近くが推薦で決まるのですが、
そこで重視されるのが日本でいう内申書や調査書にあたる、「学生生活記録簿」。
いじめの加害者となった場合、ここに記録が残ってしまうんです。そうなると入学に大変に不利ですから、いじめの抑止になる、というわけです。

日本にもいじめに関する法律はありますが、処罰規定や罰則がなく、なかなかいじめ抑止にはつながっていないと言われています。厳罰化することも対策としてアリ、という意見がある一方で、厳罰化すれば解決するわけでもない、という意見もあって、どのようないじめ対策をするかというのは意見がなかなかまとまらない、手探りや試行錯誤で対策が進んでいるけどまだまだ足りない、というのが今の日本です。ただ、いじめの認知件数が増えている、というのは必ずしも悪いことではありません。見つけている、ということは対策もできる。そもそもいじめに気が付いていないというのが一番の問題です。数が多いから恥ずかしい、だから隠したいということではダメだ、というのは覚えておいて欲しいですね。

(池上彰のニュースそうだったのか!! 3月16日放送より)

池上さんのさらに詳しい解説はTVerで!(3月23日まで)

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