【あなたを守る防災】「大雪」 急激な積雪増加に“瞬時”の対応【予報士のつぶやき】[2023/03/08 19:30]

日本では国土の半分以上が豪雪地帯となっています。
雪を生業にしている地域もある一方で、大雪は時に命にも関わります。
今回は大雪に関する情報や備えについて考えます。

■知っておくべき情報「積雪エリアをいち早くキャッチ」
・予想の段階〈大雪に関する早期天候情報〉
その時期としては10年に1度程度しか起きないような著しい降雪量となる可能性が高まった場合に6日前までに発表されます。対象地域は日本海側中心で、この時点で事前の対策が必要です。

・現在の雪の状況〈解析積雪深・解析降雪量〉
解析積雪深は積雪の実況を1時間ごとに約5km格子単位で面的に推定したものです。アメダスでは観測地点ピンポイントの積雪がわかるのに対し、こちらは面的な分布で表現されています。そのため、アメダスがないところでもどれぐらいの雪が積もっているかがエリアで把握できます。同様に、解析降雪量は1時間前から現在までに増加した量が面的にわかります。

・大雪時〈顕著な大雪に関する気象情報〉
短時間の大雪に対して、一層の警戒を呼びかける情報です。JPCZ(日本海側で発達する雪雲)によって起こりやすいため、対象地域は東北から山陰にかけての日本海側中心です。この情報が出されたら、大規模な交通の乱れなど重大な災害が発生してもおかしくありません。現在の気象や交通など自分がいる周りの状況を確認するようにしましょう。

これから起こることに対して出されている情報なのか
すでに起きていることに対して出されている情報なのかを見極めて
自らが適切な行動をとれるようにすることが大切です。


■想定される被害「影響は長時間続くことも」
・大規模な交通の乱れ
ホワイトアウトやスタックなどで車が動けなくなると1台の車からでも数千台にのぼる立往生が発生する可能性があります。そのほか、鉄道や航空といった公共交通機関においても長時間にわたる遅延が発生する恐れがあります。

・なだれ
全国のなだれ危険個所は2万以上にも及びます。気温が上がり融雪が進む春先だけではなく、気温が低く降雪が多い厳冬期、特に2月にリスクが高まります。

・停電
湿った大雪の時は、倒木や電線への着雪による停電が想定されます。懐中電灯やラジオ、暖の取れるものなども用意しておくことが必要です。

■避難、対処法「最新の情報が被害を最小に」
特にここでは影響が大きくなりやすい立往生の対策をお伝えします。
・車の備え
冬用タイヤの装着はもちろん、立往生に巻き込まれてしまった時を想定して、車に除雪用具(スコップ、長靴、軍手)や防寒グッズ(ブランケット、厚手の上着、カイロなど)を用意しましょう。車の周りが雪で埋まり、車体の隙間などから排気ガスが車内に入ると一酸化炭素中毒の危険が伴うため、排気口部分を中心に除雪することは欠かせません。

・冬の道路情報 おしえて!雪道ナビ
最新の気象情報とともに最新の交通情報を確認しましょう。立往生が発生すると、不要不急の外出が求められている中でも、運送などやむをえずトラックを運転しなければならない方々を多く取材する機会がありました。雪道の情報に活用してほしいのが「教えて!雪ナビ」という国土交通省のサイトです。通行止めの区間があればトップページに表示されるほか、ライブカメラで道路状況をみたり、国道事務所などからのリアルタイムの情報が提供されたりしています。

情報を待つだけではなく、一人一人が情報を集めて活用すること、
自分がどう行動すればよいかが瞬時にわかることが防災に繋がると考えています。

テレビ朝日気象デスク 久能木百香

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