エホバの証人の鞭打ち・輸血拒否などの教義は宗教虐待 弁護団が調査まとめ国に通告[2023/11/20 14:32]
キリスト教系の宗教団体エホバの証人の元2世らを支援する弁護団が、教義による子どもへのむち打ちや輸血拒否などが国が示した宗教虐待にあたるとの報告をまとめ、こども家庭庁に虐待通告しました。
元2世らを支援するエホバの証人問題支援弁護団は20日、宗教虐待の疑いがあるとしてこども家庭庁に調査報告書を提出しました。
弁護団の調査はアンケートや聞き取りで実施され、現役の信者のほか元2世ら581人が回答しました。
その結果、むち打ちをされたことが「ある」と答えたのは514人に上りました。多くは生まれて間もなく始まり10代まで続いたとしています。
さらに、教団の幹部からむち打ちをするよう指導されたとの回答も大半を占めました。
弁護団は「1972年以来、40年以上にわたって身体的虐待が確認された」としています。
次に、輸血拒否の意思を示すカードを持っていたことが「ある」と答えたのは全体の8割以上で451人に上りました。
教団は5月、国からの求めに応じて、信者に対して「児童虐待を容認していません」と周知しています。
しかし、調査の中ではその3カ月後に信者の妊婦に向けた内部文書「Sー401」を改訂していたことが明らかになりました。
赤ちゃんが早産で生まれた場合は、医師に対して「輸血以外のあらゆる方法を駆使して治療を受けられるようお願いして下さい」との記載が加わりました。
深刻な黄疸(おうだん)がある場合も同様の記載があります。
弁護団は、「Sー401」では「自分で考えて決定して下さい」と記されてはいるが、「故意に輸血を受け入れた場合には、その後の態度次第で破門扱いの対象となることなどを考慮すれば、教団の児童虐待への基本姿勢に変化・改善がないと評価できる」としています。
さらに、排斥された人を無視する、忌避とされる行為を受けた経験があると答えたのは、洗礼=バプテスマを受けた115人のうち95%にあたる109人でした。このうち18歳未満の未成年に限れば35人いました。
「目も合わせない。口も聞いてもらえない」といった対応を受けた人や、家族と絶縁状態になった人もいたということです。
こうした経験からか、7割以上が「孤独感・疎外感」などを感じていて、3割ほどが「PTSD・うつなどの診断を受けた」と回答しています。
弁護団は教団に対し、被害に遭った2世らに「謝罪をしてほしい」と訴えています。
このほか、利害関係がない第三者を入れた調査委員会を作り過去の虐待行為について実態や原因を調査して、虐待行為の防止態勢の構築に向けた措置を公表することなどを求めています。
教団の日本支部はANNの取材に対して、むち打ちに関しては「エホバの証人はいかなる形の児童虐待も容認していません」「エホバの証人の出版物はこれまで一貫して、聖書の教えに調和して子どもを愛情深く教え、しつけるよう勧めてきました」「聖書中の『懲らしめ』という語は、主に教え諭すことや正すことに関連しており、虐待や残酷さとは全く関係がありません」としています。
輸血拒否に関しては「輸血やその他の治療法を受け入れるかどうかは、各人の個人的な決定であると教えており、強制されたり圧力を受けたりして決めることではないと考えています」としたうえで、改訂された「Sー401」については「文書の目的は、妊婦が同種血(供血)輸血を回避して出産を扱う経験を積んだ医療チームのケアを受けられるように助けることです」などとコメントしています。
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