安倍派議員の逮捕・起訴はある? ミスで不記載も…カギは「金額の壁」 元検事に聞く

スーパーJチャンネル

[2023/12/14 19:22]

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 自民党・安倍派の政治資金パーティーを巡る裏金問題で、もし本当に裏金を受け取っていたとすれば、疑惑の議員は逮捕・起訴されることになるのでしょうか。そこには「金額の壁」があるといいます。元大阪地検検事・亀井正貴弁護士に聞きました。

■議員の起訴は…「会計責任者」との共犯が成立するか


 まず、今回何が大きな問題になっているのかといいますと、「キックバックされた金を収支報告書に記載していなかったとみられる」ことが問題となっています。

 政治資金規正法で責任を問われるのは、収支報告書を作成する会計責任者です。国会議員本人を起訴する場合、会計責任者から具体的な報告を受けたか、例えば「このお金については、ちょっと書きませんでした」と報告を受けたか、逆に議員側から「この金については、ちょっと書かないで」となどといった指示をしていて、共犯と認められた場合です。この場合、国会議員本人に対して責任を問うことができるわけですが、共犯と認めるためにはメールや文書のやり取りなど、「物的証拠」が必要になってきます。

■起訴される可能性が“ある人”“ない人”がいる?

薗浦健太郎氏


 実際、国会議員が起訴された例をみてみます。2022年、当時、衆議院議員だった薗浦健太郎氏が元秘書ら2人と共謀して、関係団体の収支報告書に政治資金パーティーなどに関する収入や支出を実際より4600万円ほど少なく記載したとして、東京地検特捜部に略式起訴されました。

 当初、薗浦氏は「この件については知らない」としていましたが、その後、秘書とのやり取りが記されたメモや音声データが出てきたことから有罪となり、罰金100万円・公民権停止3年の略式命令を受けました。

起訴される可能性がある人・ない人がいる?


 今回、安倍派の議員に裏金疑惑が浮上していますが、薗浦氏と同じように不記載の事実を知っていたとすればどうなるのでしょうか。「起訴される可能性がある人と、そうでない人がいる」ということなんです。この分かれ目は、「金額」ということなんです。

 例えば、谷川衆院議員や大野参院議員のように、直近5年間で不記載とみられる金額が4000万円を超えている議員については、仮に事実を知っていたとすれば、薗浦氏のように起訴される可能性が高まると亀井弁護士は指摘しています。

 一方、松野官房長官など、不記載とみられる金額がおよそ1000万円とされる議員については、「起訴されずに、収支報告書を書き直して終わり」となる可能性が高いのではということでした。

■“起訴されるかどうか”線引きは「金額」?

亀井弁護士の見解

 亀井弁護士によりますと、「額が少ない場合、政治の世界では『何らかのミスによって報告書に書いていない』というケースも非常に多い」ということです。意図的に収支報告書に書かなかったのか、ミスなのか、区別がつきづらいそうです。

 また数も膨大になるため、「現実的に全てを捜査することはできない」と、「数百万円から千万円ほどであれば起訴しない」という前例ができているということです。

「線引き明確に?」


 亀井弁護士に“線引き”について聞いてみると、明確な金額の基準はないそうです。ただ、今回の場合は疑惑の対象が多いので、「起訴されるのは一人や二人では済まない」とみているそうです。

 また、亀井弁護士は「誰が起訴されて、誰が起訴されなかったか、その人たちが受け取った金額を見ることによって、“線引き”が浮かび上がってくるかもしれない」と話していました。

(スーパーJチャンネル「newsのハテナ」2023年12月14日放送)

  • メールや文書などの物的証拠が必要
  • 薗浦健太郎氏
  • 起訴される可能性がある人・ない人がいる?
  • 亀井弁護士の見解
  • 「線引き明確に?」

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