深睡眠不足で認知症リスク上昇 睡眠の質上げるには?

モーニングショー

[2024/03/18 13:31]

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3月15日は、世界睡眠学会が制定した『世界睡眠デー』です。 寒暖差が激しいこの時期は、睡眠の質が下がりやすいと言われています。 深い眠り『深睡眠』が不足すると、認知症のリスクが上昇するという研究結果もあります。

■3月15日は「世界睡眠デー」春の睡眠 ポイントは“質”

『世界睡眠デー』に合わせて、厚労省のスマート・ライフ・プロジェクトは、“あなたの睡眠の質は大丈夫ですか?”という特設Webサイトを公開し、睡眠は『時間』だけでなく『質』が大事だと伝えています。

東京疲労・睡眠クリニックの梶本院長によると、「春は、生活習慣の変化や寒暖差で、睡眠の質が低下しやすいので、一層気を付ける必要がある」ということです。

睡眠のサイクルです。グラフの縦軸は、眠りの深さです。一般的に、眠りにつくと深い睡眠に入っていき、その後浅くなったり深くなったりを繰り返していきます。この浅い眠りの部分を『レム睡眠』、それ以外を『ノンレム睡眠』といいます。

『レム睡眠』は、脳は活動中で、体は休んでいる状態です。このときに、記憶の整理が行われます。
『ノンレム睡眠』は、脳も体も休んでいる状態です。特に深い眠りの時を『深睡眠』といって、この時に成長ホルモンが分泌されて、心身の疲れを取ったり、老化の進行を抑制したりします。

家庭で睡眠の質を知る方法です。スマートウォッチや睡眠アプリという方法があります。 スマートウォッチで、心拍数や体の動きから睡眠のサイクルや深さを測定できます。 睡眠アプリで、呼吸音や体の動きから睡眠のサイクルや深さを測定できます。

梶本院長によると、「上記はあくまでも大まかな目安としての使用を。睡眠の質は『睡眠休養感』(目覚めの際に体が休まった感覚)で把握する」のがいいということです。

■年齢とともに増える“睡眠の悩み”鍵は「深睡眠」

年齢とともに、眠りの質が低下しやすくなると言われています。街の声です。

80代男性
「夜中に5回ほどトイレで目が覚めてしまう」
70代女性
「夜中の2時、3時に起きてしまう。2時間ほど寝られず、ベッドの上で考え事をしてしまい、余計に寝られなくなる」
80代男性
「寝るのは12時ごろだけど、朝3時、4時には起きてしまう。若い頃はいくらでも寝られたのに」

高齢者の睡眠サイクルです。縦軸が眠りの深さです。就寝から覚醒までの間に、何度も目が覚めてしまいます。『中途覚醒』『早朝覚醒』の悩みは、60歳以上で増加するということです。ポイントは『深睡眠』の減少です。

加齢による睡眠の変化です。『深睡眠』の時間が年齢が上がるにつれて減っています。
東京疲労・睡眠クリニックの梶本院長によると、「『深睡眠』が少ないと、少しの物音で目が覚めやすく、『睡眠休養感』が乏しくなる」といいます。

『深睡眠』が認知症に関係があるという、アメリカ・ボストン大学の研究です。 脳に老廃物が蓄積すると、アルツハイマ―型認知症の原因になりますが、深睡眠の時に脳に急速に水分が流れ込み、水分が脳の老廃物を洗い流すことがわかりました。

さらに、オーストラリアのモナシュ大学の最新研究では、『深睡眠』の割合が1年間に1%減少すると、認知症リスクが27%上昇しました。
梶本院長によると「『深睡眠』をしっかりとることが、認知症のリスク低下につながる可能性が考えられる」ということです。

■ピンクノイズで入眠度&深睡眠アップも

深い睡眠を取るにはどうすればいいのでしょうか。ピンクノイズを聞くと良いといいます。 ピンクノイズとは、小川のせせらぎ、小鳥のさえずり、自然の風、心拍の間隔などの音です。

東京疲労・睡眠クリニックの梶本院長です。 「ピンクノイズにより、リラックスして入眠しやすい、というのが研究で知られているので、眠るまでは聴くことをオススメする」

どんな楽曲がピンクノイズを持つのでしょうか。 ピンクノイズに詳しい大阪音楽大学の佐治客員教授によると、 モーツァルトの『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』や ドボルザークの『交響曲第9番「新世界より」』などに、ピンクノイズが入っているということです。

日本の楽曲だと、童謡の『ふるさと』や美空ひばりさんの『リンゴ追分』にピンクノイズが含まれているそうです。
佐治客員教授によると、注意点として「同じ曲であっても、演奏者や曲を聴く人の人生体験も影響するので、人によって効果は異なる」ということです。

ピンクノイズで『深睡眠』が増加したというアメリカの大学の研究もあります。
健康な高齢者13人(60〜84歳)に対して、 ひと晩はノンレム睡眠中にピンクノイズを流す 、もうひと晩はピンクノイズなしで睡眠 してもらった時に、ピンクノイズを流した場合、ピンクノイズがない時に比べて、『深睡眠』の割合が8%増加したということです。

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■睡眠に関する疑問

■睡眠に関する疑問

街の人から上がった睡眠に関する疑問です。

60代女性
「寝る前に水分を補給した方が良いというので飲むが、結果トイレで起きてしまう。でも、飲まないと良くないし、水分補給はどうしたらいい?」
東京疲労・睡眠クリニックの梶本院長
「寝る前に200ccほどの水を補給しておくことで、結果的にトイレに行く回数が増えることはない」
40代女性
「広い部屋より、狭い部屋の方が落ち着いてより眠れるのは、どうして?」
梶本院長
「理由は、狭い部屋の方が『安心』『安全』が確保できるから」
70代女性
「昔から変わらず8〜9時間寝てしまう。寝ようと思えば12〜13時間寝られる。二度寝も平気で出来る。なぜでしょうか?」
梶本院長
「睡眠の質が悪い可能性がある」
睡眠の質が高ければ、9時間も寝れば二度寝などできないのが普通で、睡眠の質の工夫が必要ということです。

(「羽鳥慎一モーニングショー」2024年3月15日放送分より)

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