日本の避難所は劣悪?台湾の避難所テントに注目 福島は数時間で整備 能登、東京都は…

[2024/04/05 19:24]

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3日に台湾東部で震度6強の地震が起きた。被害が集中している花蓮市内の小学校には300人近くが避難し、グラウンドと体育館に仮設のテントが置かれた。

この避難所テントについて、SNSでは、「プライバシーが守られている」「いざという時に備えているのがわかる」などの反響があった。

能登半島地震の避難所と比較して、「日本の避難所の方が圧倒的に劣悪」という意見も目立つ。

(テレビ朝日都庁担当 島田直樹)

■日本の避難所は劣っている?

実はコロナ禍の感染症対策を機に日本でも一部の自治体でテントの配備は進んでいる。

2021年2月の福島県沖地震では、発災から数時間以内に福島県相馬市の体育館にテントが設置され、避難してきた人たちが寒さをしのいだ。全国的にも避難所にテントを配備する動きは加速している。

「テントの使用はできません」

東京・世田谷区は、ホームページで避難所での生活のルールを公開し、個人が避難所にテントを持ち込まないよう呼びかけている。

区の担当者によると、世田谷区は95カ所の指定避難所に設置するためのテントを備蓄していて、個人のテントが避難所の区画を専有すると計画通りに区のテントが置けなくなるため、個人のテントの持ち込みは認めていない。

災害で混乱した状況だからこそ、避難者にも区のテント設置を手伝うように求める訓練も行っている。

■避難所はただ避難すればいいだけではない

避難所ではプライバシー対策、健康管理も重要視される。

ただ、すべての避難所でテントが設置できるかというと、そう簡単にはいかない。スペースの問題もあり、指定避難所の収容人数は、畳1枚分のスペースに1人という基準で計算されている。

東京都の担当者は

「地域によってテントが張れる避難所があるかもしれないし、人が多い場合はテントが張れないかもしれない」

と話す。

小池都知事も5日の会見で、

「避難所の設営をどうするかは重要な課題」「テントの活用も一つの考え」

としたうえで、

「(発災後に)マンションに留まった場合のサポート、マンション防災の準備もしている」

と述べた。

■避難しなくてもいい準備を

都は、災害があっても自宅が安全であれば、自宅に留まることを求めている。

台湾・花蓮市の小学校での避難者は約300人、福島・相馬市の収容人数270人の避難所では92人だった。

一方、能登半島地震では珠洲市の蛸島町で、全校児童32人の小学校に800人もの避難者が集まった。避難所にテントを置けるようなスペースがないことは容易に想像できる。

東京都の地域防災計画によると、首都直下地震の都内の避難者は339万人、避難所に避難する人が最大で約220万人となっている。都内の各自治体が220万人分のテントとテントを置くスペースを確保できるかは疑問だ。

地震があっても自宅に安全に留まることができるよう、自宅の耐震化や食料などの備蓄を個人で進めることが重要になる。

  • 震度6強の地震から9時間後の避難所 福島・相馬市 2021年2月14日
  • テントが並ぶ台湾・花蓮市の小学校 4日

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