兵庫県の斎藤元彦知事を告発した元県民局長の私的な情報が漏洩(ろうえい)した問題。兵庫県の第三者委員会が当時の総務部長が秘密を漏洩したと認定したうえで、知事らが指示した可能性が高いと指摘した。
■漏洩の目的 第三者委「告発の信用性を弾劾」
「知事からの指示及びこれと同調する元副知事の指示により、元県民局長の私的情報について、情報を開示・漏洩を行った可能性が高い」
27日、兵庫県の第三者委員会が指摘した情報漏洩に対する斎藤知事らの関与。ことの発端は去年3月、元県民局長が斎藤知事のパワハラ疑惑などを告発する文書を報道機関などに送ったことだ。
県は内部調査で知事への誹謗(ひぼう)中傷と判断し、停職3カ月の懲戒処分に。元局長は去年7月に死亡している。
斎藤知事をはじめとする県の幹部が告発文書への対応にあたるなか、元県民局長のプライバシーに関する情報を、知事の側近とされる当時の総務部長・井ノ本知明氏が、県議会議員に漏洩した問題が浮上。第三者委員会が設置されていた。
「3名の県会議員に対し、元県民局長の私的情報の紙に印刷された資料を提示ないし、その1部を口頭で伝えるなどして漏洩した」
第三者委員会は、井ノ本氏が去年4月ごろ、県議3人に対し私的情報を漏洩したと認定。当初、井ノ本氏は漏洩を否定していたが、今年2月に第三者委員会に対し漏洩を認める弁明書を提出。新たに、斎藤知事と片山安孝元副事の指示に基づき、私的情報を漏洩したと説明したという。
「上司(知事及び元副知事)の指示に基づき、総務部長の職責として正当業務を行ったに過ぎない」
「元県民局長の私的情報の件を含めて知事に報告した際、『いろいろな案件があるなかで、その私的情報があったということを含めて根回しというか、議会の執行部に知らせておいたらいんじゃないか』という趣旨と理解できる知事からの発言があった。またその後、知事からそのような指示があったことを副知事に報告した際には、副知事が『そらそうやな、必要やな』そういう発言があったと思っているとも供述しています」
議会への「根回し」の趣旨で漏洩を行った可能性が高いとした第三者委員会。目的については…。
「元県民局長の私的情報を暴露することにより、その人格ないし人間性に疑問を抱かせ、ひいては告発文書の信用性を弾劾(だんがい)する点にあった」
次のページは
■漏洩指示の指摘 斎藤知事「全くしていない」■漏洩指示の指摘 斎藤知事「全くしていない」
第三者委員会に対し「総務部長として独自の判断で情報共有したものと思う」などと答え、指示について否定した斎藤知事。しかし、第三者委員会は居合わせた別の幹部職員や片山元副知事の供述から、指示があった可能性が高いと結論付けたという。
「時期及び内容においてE氏(井ノ本前総務部長)のこの点に関する新主張とほぼ一致しているというところからすれば、これらの供述の信用性を否定することができないと評価するのが相当である。これと整合しない知事の前記供述は、採用することが困難というべきである」
情報漏洩の指示をしたと指摘された斎藤知事はこう述べた。
改めて、自身の関与を否定。兵庫県は27日、井ノ本前総務部長を停職3カ月の懲戒処分にしている。
「この度の処分につきましては、私の業務行為が情報漏洩と評価されたものであり、誠に残念です。審査請求及び執行停止の申し立てを行い、正当性を主張したいと思います」
第三者委員会の報告を受け、斎藤知事は自身の処分についても検討すると話した。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年5月28日放送分より)