■土砂災害から逃れるために

大雨災害のなかには、山や斜面が崩れ、石や土などが流れる土砂災害があります。特に、急傾斜地や渓流付近ではこの土砂災害のリスクが高まります。
2025年は、37の都道県で578件の土砂災害が発生しました。(国土交通省HPより)
一瞬のうちに人の命を奪ったり、建物に被害をもたらしたりする土砂災害は、発生を確認してからでは避難が間に合わないため、防災情報や自治体から出される避難情報を活用することが大切です。
ここでは土砂災害に特化して、防災情報がどう変わるのかをみていきます。
■危険度がより分かりやすく
現状の土砂災害に関する防災情報には、名称に土砂災害がついているものといないものがあり統一されておらず、どの情報がどのレベルに相当するのかが分かりにくいと感じた方もいるかもしれません。
新しい情報は、これらが改善され危険度が分かりやすくなるというのがポイントです。
レベル2土砂災害注意報、レベル3土砂災害警報、レベル4土砂災害危険警報、レベル5土砂災害特別警報と名称から土砂災害の危険度の高まりがわかります。
■基準改善 より災害に直結する情報へ
変わるのは名称だけではありません。発表基準も改善されます。これまで大雨警報(土砂災害)は、土壌雨量指数のみを基準としていて警戒レベル4相当の土砂災害警戒情報の基準に至らない事例も目立ちました。
これを改善するために、今回レベル3土砂災害警報の基準が引き上げられます。今後は土壌雨量指数の基準に加えて、3時間後(予想が可能な場合には最大6時間後)にレベル4の基準に到達すると予想された場合に発表されます。また60分雨量のデータも判断材料に加わります。これによってレベル3相当の「警報」の発表回数はこれまでより大幅に減るとみられています。例えば2023年6月から9月のデータでは、警戒レベル4相当に至らないレベル3相当どまりの警報の発表回数は、現行方式では1616回なのに対し、新方式だと280回の見込みで、8割以上も減ると気象庁は算出しています。
情報の乱発を防ぎ、発表を適切な回数にすることで、住民の危機感が鈍らずに、アラートが機能することが期待されます。
■今までのレベル3よりも危機感が高まる
情報の確度が高まる分、私たち情報の受け手としてはレベル3相当の危機感を今まで以上に高めなければなりません。レベル3土砂災害警報が出た時は、この情報はこれで終わらず、まもなくレベル4土砂災害危険警報が出される可能性が高いと考え、周囲の状況をよく確認するようにしましょう。
レベル3は状況が悪化することを見越した情報であることをこれまで以上に意識し、私たちの心構えもアップデートしたいですね。
また発表基準が変わることで、レベル3からレベル4発表までの時間が短くなったり、レベル3を経ず、レベル4が出たりする場合もあります。土砂災害の危険度を示す土砂キキクルでも、警戒の赤は、現行より絞り込まれ、注意の黄色から紫の危険になるケースが多くなる点にも注意が必要です。局地的な大雨では一気に急変するリスクをおさえておきましょう。
新たな防災情報に変わっても、その情報を読み解き、私たち一人一人自らが命を守る行動をとることが重要な点はこれからも変わりません。
第5回は「線状降水帯の予測が進化!命を守る3時間」として、新たな線状降水帯の情報を解説します。
テレビ朝日ウェザーセンター
気象予報士 久能木 百香