サッカー日本代表・森保一監督 “チームの変化”語る “好循環”が歴史的強さに

報道ステーション

[2024/01/09 15:32]

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史上最強の強さといわれる森保ジャパン。その秘密は何なのでしょうか。松岡修造さんが森保一監督(55)に話を聞いてきました。

■プレーに変化…「余裕」と「落ち着き」

先週、日本代表史上最長の9連勝を飾った森保ジャパン。森保一監督はこの歴史的強さの中で、ある変化を感じているといいます。

森保監督
「データでなかなか示せないところではありますけど。主観的に言うと、プレーが落ち着いている、余裕がある、というところ」
「9月のドイツ戦の時にあったプレーで、久保建英が中盤から抜け出して浅野拓磨にパスして、難なくゴールしたシーンがあったんですけど」

森保監督が挙げたのが、去年9月のドイツ戦。1点リードで迎えた試合終了間際、久保選手がボールを奪って一気に抜け出ると、キーパーと1対1に。久保選手の技術なら、容易にゴールできるシチュエーションですが、あえてシュートではなく、浅野選手へパスを出してゴールのお膳立てをしました。

森保監督
「あの時も久保建英が途中出場で『自分が何か見せなければいけない』って気持ちになってたと思うんですけど。より確実に味方にパスしてゴールを奪う選択ができるっていうのは、普段やってることに自信がないと」
「やはり1年間レアル・ソシエダという素晴らしいチームで試合に出続けて、優勝争いをする、チャンピオンズリーグも出る経験をして。自分のためにがチームのためになる、チームのためにが自分のためにもなる。プレーの選択に変わったのかなと思います」

■快進撃につながる“好循環”

久保選手の選択から垣間見えた、余裕と落ち着き。それは久保選手だけでなく、チーム全体から感じるといいます。

森保監督
「カタールのワールドカップが終わって選手たちが所属チームに帰って、よりチームの中心的な選手として存在感を発揮しながら頼られる存在としてプレーしていることが多くなったというところは経験値が上がったと思います。日常のやっているレベルの高さが日本代表に還元されて結果につながっていくのかなって思いますね」

強豪を次々と撃破したあのワールドカップで得た自信。その自信は大会後、海外で活躍することで深まり、ひと回り大きくなって日本代表へと還元。この好循環こそ、現在の快進撃につながっています。

松岡さん
「僕もテニスの強化育成を約20年やっていて。世界の真似をしても日本人は活躍できないと思ってるんですよ。日本の良さと欧米の良さを足したものを伝えることが僕は絶対だと思っていて」
森保監督
「おっしゃる通りですね。世界の激しさ厳しさの中でプレーできるようになったうえで、日本人の持ってる俊敏性であったり選手の持ってる能力であったり、連携連動するお互い結び付き合う“和の力”を上乗せすることで勝っていくことかなと思ってます」
「チームとしてつながりは持ってるけど、個々の個性は尊重してなれ合いにならず、しのぎを削りながらも戦う時はつながってる。『和を以て貴しとなす(相手を尊重し合い、協調すること)』は基本にありながらも『和して同ぜず(協調するが、むやみに同調しないこと)』ってところは好きな言葉ですね」

■森保監督ならではのコミュニケーション

そして、強さの理由はもう一つあります。

松岡さん
「どのようにコミュニケーション取って選手から理解、信頼されるかだと思うんです。どのように接していくんですか?」
森保監督
「そこをポイントとして話したかったなと思います。選手にとって都合の良いことだけではなくて、成果と課題と立ち位置を明確に伝えることはやっています」

成長する選手たちとのコミュニケーション。実はここに、森保監督ならではの考えがあるんです。

森保監督
「信頼を得ようと思ってぶつかってるわけでも、向き合ってるわけでもなくて。一方通行でも良いと思ってるんですよね。自分に返してもらうために(相手に)してあげるっていうのはおかしいんじゃないのかな。返してもらうことは考えないようにしようとは思います」
松岡さん
「ありがとうございます」

■森保監督「黒子監督で良い」

松岡さん
「質問変えていきますね。『カリスマ性がないかもしれない』『地味かもしれない』とか、そういう声って聞こえてきていると思うんですよ」
森保監督
「はい、自分自身が自覚してますし、本来黒子である人間だと思ってますので」
松岡さん
「黒子監督で良いんですか?」
森保監督
「良いです」
松岡さん
「監督っていったら目立って伝えなきゃいけないポジションじゃないですか」
森保監督
「そうなんですかね?選手をどうやって成長してもらえるように働きかけることができるかが大切かなと思います。それはチームの成長であり日本のサッカーの成長であり、サッカーが国際舞台で成功すれば日本のためにもなるということを考えています」

(「報道ステーション」2024年1月8日放送分より)

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