小野伸二に内田篤人が質問「天才」と呼ばれるのは嬉しい?「一番つらい」言葉も明かす

報道ステーション

[2023/12/06 16:20]

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3日、26年のプロ生活にピリオドをうった、小野伸二(44)さん。

日本サッカー史上最も「天才」という言葉が似合う小野さんに、内田篤人さんが話を聞きました。

■小野さん「プロ生活が終わったという感じではない」

3日、札幌ドーム。日本が誇る天才のラストゲームに3万人を超えるサポーターが詰めかけました。

小野さんの出場時間はわずか22分でしたが、ワンタッチで決定機を作り出すなど、そのテクニックは健在。古巣・浦和レッズの選手も含め全員が花道をつくり、小野さんはピッチに別れを告げました。

写真:アフロスポーツ

小野さん:「10月17日に旅立ちました、お母さんにひと言。僕を産んでくれて、そしてこの素晴らしいサッカーというものに出会わせてくれてありがとうございました」

その試合後、内田さんが小野さんにインタビューしました。

内田さん:「お疲れさまでした。すみません、疲れているのに」

小野さん:「20分しか出てないんで…(笑)」

内田さん:「プロ26年。お疲れ様です」

小野さん:「ありがとうございます」

内田さん:「どうですか今は、どんな気持ちですか?」

小野さん:「シーズンが終わったなという感じでしかなくて。自分のプロ生活が終わったという感じではないですね」

写真:アフロ

小野さんは高校卒業時、Jリーグ13クラブが獲得に動き、鳴り物入りで浦和レッズに入団。開幕からスタメンの座をつかみ、1年目で新人王とベストイレブンに輝きます。

その年、フランスワールドカップに日本代表史上最年少の18歳で出場。2001年、21歳でオランダの名門・フェイエノールトに移籍すると、日本人として初めてヨーロッパのタイトル、UEFAカップを獲得。その華麗なテクニックは、目の肥えたオランダのサッカーファンをも魅了しました。

■「天才」と呼ばれるのは、うれしい?それとも…

写真:アフロ

内田さん:「何が思い出に残ってますか?フェイエノールト時代」

小野さん:「ループシュートですかね。ひらめきでしょうね、きっと。相手が想像つかない、見てる人たちが『すげえ』って思うゴールが、僕の中でもすごく気持ち良い」

内田さん:「(2006年の浦和対)鹿島戦でもやられてるんですよ。右のアウトで」

小野さん:「やりましたね、確かに」

内田さん:「何回も見てるんですよ。ループシュート」

小野さん:「ドカーンって打つ強いシュートって、すごく気持ちよくていいと思うんです。ただ僕は、自分が狙っていないゴールはゴールと認めていないので、自分の中では」

内田さん:「僕、ずっと聞きたいことがあったんですよ。『天才』と言われるじゃないですか。うれしいですか?プレッシャーですか?」

小野さん:「うれしくないことはないけど、『天才なのかな?』とか、よく分からないです。プロキャリアを退くことを伝えてから、札幌で広告だとか、寄せ書きを集めてくれたとか、そういうの目の当たりにすると『自分って本当にすごい選手なのかな』と、実感させられる」

内田さん:「見てる側は、小野伸二さん=サッカーを楽しんでプレーされているという印象のプロ生活なんですけど」

小野さん:「自分がサッカーを始めてからマラドーナ選手を見て、人をワクワクさせる存在になりたいなって思って、ここまで来れたので。それが現実として、みんながそういうことを感じてくれていれば、僕は本当にうれしいですね」

そんな「天才」だからこその苦悩もありました。

■小野さん「あの言葉が一番つらい」

写真:アフロスポーツ

相手の厳しいディフェンスにあい、けがとは常に隣り合わせ。なかでも1999年のシドニーオリンピック予選のフィリピン戦では、相手の悪質なタックルで左ひざ靭帯(じんたい)を断裂し長期離脱。19歳にして、サッカー人生に影響を及ばす重傷を負いました。

小野さん:「どの方も『あのけががなかったら』って言葉が出るじゃないですか。あの言葉が一番つらいです。」

内田さん:「なんでですか?」

小野さん:「そう言われると、心が傷つくんですよ。『なんで今を見てくれてないの』みたいな感じに思えちゃうから。人生って、あのけががなくても自分の立ち位置は変わってないと思っているタイプなので。どの状況もどの時代も、楽しんで生きている」

■内田さんの記憶に残る…小野さんのプレー

写真:アフロ

どんな状況でも、その瞬間、瞬間「サッカーを楽しむ」。それは日の丸を背負ったときも変わりませんでした。

内田さん:「僕が記憶に残っているの言います。(2001年の)パラグアイ戦かな、柳沢(敦)さんに出したアシスト」

小野さん:「2本ね」

当時中学生だった内田さんの心に焼き付いたプレー。受け手の柳沢さんにピタリと合わせる、実に小野らしい気の利いたラストパスです。

内田さん:「あれが僕の心の中で一番。伸二さんはプレーしているなかでは?」

写真:JFA/アフロ

小野さん:「やっぱり、あれじゃないですか。18歳でW杯に出た数分間が、自分の中でも今思えばすごいことをしていたんだなっていう。緊張はしてない、早く試合に出してくれって思っていたから、自信はあったので」

内田さん:「そこが伸二さんらしい。緊張もしないし、サッカーをすごいしたいって」

小野さん:「したくてたまらないね。きょう(引退試合)もそうですよ。やっぱサッカーっていいなって思ったし、もう一回、一からやり直すかな」

(「報道ステーション」2023年12月5日放送分より)

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