歴史的快挙続々…18歳レーサーJuju、国内最高峰レース“最年少”“女性初”挑戦

報道ステーション

[2024/03/26 19:40]

4

日本人女性初、スーパーフォーミュラに参戦する野田樹潤/Juju選手(18)。フォーミュラカーレースはF1を頂点にF2、F3などのカテゴリーに分かれていて、Juju選手が参戦しているスーパーフォーミュラはF1の1つ下相当に位置するカテゴリーです。彼女は高校を卒業したばかりの18歳。Juju選手は時代を変える!

■父の背中追いかけ…女性で初!F3相当シリーズチャンピオンに

三重県にある鈴鹿サーキットにて。

時速260キロで駆け抜けるのは、なんと18歳の野田樹潤/Juju選手です。

Juju選手
「こういうスピード感・非日常的なことを感じるのってモータースポーツならではのことだと思うんですよね。それがすごい好きです」

彼女は去年、主にイタリアで行われたF3相当のシリーズでなんと5勝!女性ドライバーとして初めての年間チャンピオンに輝きました。

参加した37選手のうち、女性ドライバーはJuju選手ただ一人。男性と比べ筋力などに差がありながら、17歳(当時)で制したことは、とんでもない快挙でした。

そのすごさには理由があります。

Juju選手の父・英樹さんは元F1ドライバー。レース姿に憧れ3歳からカートに乗り始めると、なんと、5歳の時には20歳も年上の大人をおさえて勝ちました。

Juju選手(当時10歳)
「お父さんを超えるF1レーサーになりたいなって」

■差別も…「夢を上から潰そうとしている」

しかし、そんな華々しい才能を持ちながらも、14歳から挑んだヨーロッパでの戦いは過酷なものでした。

Juju選手
「今の時代あるのかって言われるかもしれないですけど、日本人として世界に行って戦うと、人種差別的なところもすごく強くて」

ヨーロッパの白人社会が発祥のモータースポーツ界。日本人の活躍は歓迎されませんでした。大会側から与えられたJuju選手の車だけ、他のドライバーよりひどい状態だったこともありました。

Juju選手
「(用意された)車がまともに走らない、ステアリング(ハンドル装置)も曲がっていて、ブレーキ踏んだら車が右に引っ張られる。安全に走れるような車じゃない。こっちは、このチームに命預けて走っている。一歩間違えると死ぬ世界で走っているので。そこに夢を持って入ってきているのに、その夢を上から潰そうとしているところに、すごく腹が立って」
松岡さん
「許せないですよ」
Juju選手
「許せないですね。自分が好きで楽しくて走っているのに、楽しくないならなんのためにレースをやっているのか分からなかったです」

■去年、レース人生変えるチャンスが…

2023年 ユーロフォーミュラ・オープンのJuju選手 写真:Alamy/アフロ

大会側へ抗議するも受け入れられず。それでも、Juju選手は逃げませんでした。

Juju選手
「それだけ不条理なことをされるというのは、むしろすごく脅威に思ってくれてるからこそなんだなって」
松岡さん
「(周囲が)怖がっていると。『強いぞ、Jujuは』と?」
Juju選手
「諦めたらただの負けになりますけど、諦めなかったらすごく大きなチャンスになる」

すると去年、レース人生を変えるチャンスが訪れます。

各国からF1を目指す若手が集うユーロフォーミュラ・オープンに出場。序盤は5番手につけると、トップの車がクラッシュしました。

その間にJuju選手が、一気にトップに躍り出ました。みるみるうちに後続を引き離し、見事1位でチェッカーフラッグ。25年の歴史のなかで、女性ドライバーの優勝は史上初めてでした。

イタリアでの年間チャンピオンと合わせ、飛躍の1年となったJuju選手。このヨーロッパでの奮闘で、今までにない手応えをつかみました。

Juju選手
「もちろんプレッシャーは感じたりするんですけど、プレッシャーを感じられる環境にいるってことが、すごく恵まれてるなと思って。ちゃんと戦えているから感じることで。それを感じられることが、まずうれしかった。すごく自分の自信につながりましたね」

■女性初・史上最年少の“国内最高峰”

そして今年、活躍が認められ、さらに上のカテゴリーへの参戦が決まりました。

それは、国内最高峰・スーパーフォーミュラ。日本女性初・史上最年少での挑戦です。もちろんハンデはありません。総重量を均等にするルールがあるため、Juju選手は他のドライバーより体重が軽い分、車におよそ25キロの重りを積んで走ります。

厳しい条件のなか、果たしてどこまで通用するのか。

迎えた開幕戦。チームの皆に送り出され、後方グリッドからJuju選手、いいスタートダッシュ!

チームピット
「グッドスタート!」
チーム無線
「ナイストライ!いいスタートだった!」

サーキットや新しい車への経験値がないなかでも、徐々にペースを上げていくJuju選手。初挑戦となったロングラン、31周を無事完走しました。

チーム無線
「全然戦えてたよ!よく頑張った!」
Juju選手
「楽しかったです!ありがとうございます!」

モータースポーツの歴史に新たな1ページを刻みました。

■道を開く…「みんなでモータースポーツを盛り上げる」

松岡さん
「これからのJujuさんの夢は?」
Juju選手
「F1に行って活躍できるドライバーになるのが夢です。女性が誰か一人が活躍してスター選手になる。女性でも活躍できることを証明していかないと。それを誰かがすることによって、その下の道は開かれる。ルールも見直されていくと思うんですね。みんなでモータースポーツをもっと日本で盛り上げていこうよって思います」

(「報道ステーション」2024年3月25日放送分より)

  • 父・英樹さんは元F1ドライバー 写真:REX/アフロ
  • 2023年 ユーロフォーミュラ・オープンのJuju選手 写真:Alamy/アフロ

こちらも読まれています