ブレイキン・AYUMI選手 年齢の壁を越えて評価される理由 松岡修造が取材

報道ステーション

[2024/06/19 17:54]

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パリオリンピック唯一の新競技「ブレイキン」。10代・20代の若い選手たちが活躍するなか、世界のトップに立つのは、なんと「21歳からダンスを始めた」というBガール・AYUMI選手(40)です。世界から評価されるのはなぜでしょうか。

■「ダンスはおそうじスタイル」貫きたい信念

AYUMI選手
「あゆみダンスは、多分私にしかできないダンスですね。パーソナリティとか、自分を表現するダンスが私のダンスだと思います」
松岡さん
「すごいブレイキンしてるね」

ブレイキンは1対1のバトル形式。DJの流す音楽に合わせて、オリジナルのダンスを披露します。跳ねたり、腕や頭で回転したり、迫力のある動きが魅力です。「独創性」「技術力」など5つの項目で審査されます。

そのなかで、AYUMI選手は「独創性」が世界から評価を得ているのです。ダンスは「おそうじスタイル」。「そうじき」「ぞうきん」など、ちょっとコミカルな動きが持ち味です。

AYUMI選手
「昔は、結構『かっこよく踊りたい!』と思っていたんですけど、こんな私でもあったんですよ」
松岡さん
「なんでそんな言い方するんですか」
AYUMI選手
「だって、私のキャラに合ってないです」

「『性格もせかせかしてる』と言われたり、そのおちゃらけている部分がちょっと面白い部分に反映されたり。何年か前くらいから、年齢も重ねて、『いやいや、もういいっしょ』となってきて。もう自分ぽくて、なんかダサかったらダサいでいいと思えてきた」

しかし、体全体に大きく負荷がかかるのがブレイキン。年齢も相まって、常にけがと隣り合わせです。4年前には首にヘルニアを患いました。今も定期的な治療なしでは競技を続けられません。

AYUMI選手には、体にムチを打ってまでも貫きたい信念があります。

AYUMI選手
「なんか私、最近よく『経験値があるっていいですよね』とか言われる。『経験値もアップデートした方がいい』というか。例えば色んなこと今まで経験してきたけど、今の自分は今だから」
松岡さん
「普通、経験っていうと『今まで積み重ねたものを出そう』とするわけですよ。そうじゃないって、『新しいものを掴むのが経験だろう』と」
AYUMI選手
「そうですね。でも経験もめちゃくちゃ大事だし、自分もダンスも、それがあるから今があるというのもすごく分かるんですけど。さらに新しい経験を掴んで、どんどん変わっていく」

「今が大事」という想いが、AYUMI選手を新たな舞台へと導きます。34歳の時、当時は男子しか出場していなかった世界最高峰の大会「Red Bull BC One World Final 2017」に女子で初めて出場。38歳で初めて女子の世界一になりました。

松岡さん
「若い子を見て『私もこういう時代があったな』『ケガしなくていいな』とかの感覚は出てこないですか?」
AYUMI選手
「楽しそうだなとか、体が自由自在に動くとか、いつも思いますよ。『いいなとか、ケガとかなくて』とか思いますけど。でも、その時の良さと今の良さは絶対違うと自分でも思うので。その時の良さを出していることが大事なことと思います」 「本当に20秒先のことは分からないと思っているんです。その時に出来ることは、その時に出していきたいと思っているし。ちょっとでも違うものをやってみたいなとなって、楽しくなってくるので。それに年齢は関係ないのかなと思う」

■悔しさを晴らす!五輪代表選考会で新技披露

「その時できることを全力でやる」。その重みを痛感したのは、昨年9月の世界選手権。あと一歩及ばず準優勝に終わりましたが、今の自分を出し切れなかったことが一番悔しかったといいます。

AYUMI選手
「終わった後に『もっとやればよかった』と思ったから、絶対負けたなと思いました。もう少し自分で失敗した部分があったとしても、『ムーブをもっと詰めればよかった』『もっと出せばよかった』という意識が大きかったですね」

そんな悔しさを晴らすため、先月の五輪代表選考会・上海大会で、AYUMI選手は新たな技に挑戦しました。

AYUMI選手
「決勝の1ムーブ目にやったのが新しい動きです。初出しで」
松岡さん
「初出し!?それはなんていう技?」
AYUMI選手
「ウィンドエルボーです」

頭から肘に軸を移しながら回転する技で、首にも大きく負担がかかる大技です。

AYUMI選手
「『ケガをするならやめた方がいい』『やりたくない』という人もいると思うんですけど。やらないで終わるより、やらないで諦めるんだったら、やった方がいいと私は思うんです」
松岡さん
「ちょっと危険すぎませんか?大事な決勝戦で!」
AYUMI選手
「それがブレイキンの良さですよ!自分がわくわくしたいなら、自分から挑戦しないと難しいです。やっぱりやらないと新しいことみたいな」

最初の技は、クルっと回って成功。フニャフニャ回って、AYUMI選手しかできない動き。今の自分を最後まで出し切りました。三本勝負をストレート勝ちで収め優勝。40歳でも歩みを止めることはありません。

AYUMI選手
「自分が一番いい状態で、その場に行けるかどうかが勝負だから。『自分に勝つ』ということですね。自分と戦っていくしかないですね。自分を超えていこうと」
松岡さん
「自分の成長、言ってみれば『自分の壁』『心』とか。ずっとブレイクしていくことが、ブレイキンなのかなと」

(「報道ステーション」2024年6月18日放送分より)

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