藤井聡太八冠がタイトル戦「20連覇」の新記録達成 羽生会長「途方もなく難しい記録」

[2024/02/08 17:55]

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将棋の藤井聡太八冠が第73期王将戦七番勝負第4局で菅井竜也八段に勝利し、4連勝で王将のタイトルを防衛した。

藤井八冠は王将戦3連覇。八大タイトルの独占状態を維持するとともに、タイトル戦20連覇の新記録を達成した。去年11月に竜王のタイトルを防衛して、過去最多だった大山康晴十五世名人のタイトル戦19連覇に並んでいた。

■ 難敵寄せつけず…異次元の強さ再び

菅井竜也八段(左)に4連勝した藤井八冠

藤井八冠の3連勝で迎えた第4局は東京・立川市の「オーベルジュときと」で行われた。
1日目の昨日(2月7日)は、先手の藤井八冠が早々に大駒の「角」を交換し、乱戦模様の序盤になった。夕方になって菅井八段が1時間35分という長考の末、40手目を封じ手とする。

2日目。菅井八段の封じ手はもう一つの大駒「飛車」を交換する一手だった。
ここから藤井八冠が巧みな手順で少しずつ優勢を築いていく。
無理に敵陣に攻め込まずにチャンスをうかがい、100手を超えたところで一気にギアを上げて攻撃を仕掛ける。
菅井八段も懸命の抵抗を見せるが、藤井八冠は的確な攻めで相手玉に迫っていく。

そして121手目、「竜」による王手をかけられたところで菅井八段が投了。藤井八冠の完勝だった。
王将戦七番勝負は藤井八冠が4連勝で防衛に成功、タイトル戦20連覇を達成した。

伊藤匠七段を破った去年の竜王戦に続き4連勝でのタイトル防衛。
トップ棋士との戦いを勝ち抜いてきた“最強の”挑戦者たちを相手に異次元の強さを見せ続けている。

■ 4年間 すべてのタイトル戦を制し続けて…

2023年3月、王将戦で防衛を果たしタイトル戦12連覇

前人未到の「20連覇」は、4年前の棋聖戦で渡辺明九段からタイトルを奪取し、史上最年少の17歳11カ月でタイトル保持者になったところから始まった。

直後に王位戦も制して2つ目のタイトルを獲得。
翌2021年には棋聖・王位のタイトルを防衛したうえで、叡王と竜王のタイトルを新たに獲得した。
2022年には王将のタイトルを獲って五冠になると、防衛戦もすべて制し、これでタイトル戦11連覇。
そして2023年、新たに棋王と名人のタイトルを獲得し、史上2人目の七冠に。10月には、永瀬拓矢九段から王座のタイトルを奪取して、史上初の八大タイトル独占を果たした。
防衛にもすべて成功して、タイトル戦の連覇記録を19にまで伸ばしていたのである。

初めてのタイトル挑戦から獲得・防衛に一度も失敗することなく20連覇という快挙を達成した藤井八冠。現在、並行して行われている棋王戦(挑戦者は伊藤匠七段)で、さらに記録が伸ばせるのか、注目される。

■ 羽生善治会長「大棋士への道のり更に」

日本将棋連盟会長 羽生善治九段

藤井八冠の快挙に日本将棋連盟会長の羽生善治九段がコメントした。
「藤井竜王・名人、タイトル戦20連勝誠におめでとうございます。
これは塗り替えるのが途方もなく難しい記録ですが、見事に達成されました。これを礎に、大棋士への道のりを更に歩まれて行くことを期待しています」

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