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報道ステーション

2023年12月13日 18:19

白井空良「人生終われねえ」パリ五輪に全力 世界スケートボード開幕

2023年12月13日 18:19

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13日から日本で初開催される世界スケートボード2023は、パリオリンピック出場へ向けて重要な一戦となります。注目は世界ランキング5位の白井空良さん(22)です。大舞台へ人一倍強い思いを持つ白井さんに、松岡修造さんが迫ります。

■白井「あのままじゃ人生終われねえ」

神奈川県寒川町に並ぶ倉庫の中に広がるのは、スケートパークです。ここを練習拠点にしているのが、白井空良さんです。

松岡さん:「ここは倉庫じゃないんですか?」
白井さん:「スケートパークです」

今年6月に行われたパリオリンピックの予選大会では準優勝。13日現在、世界ランキングは日本人トップの5位につけています。

そんな白井さんの絶対的な大技が、オリジナルトリックの「ソラグラインド」です。世界で白井さんにしかできないこの技の難しさのポイントは、斜面にどう乗るか。

白井さん:「(斜面が)見えない方向にボードをかけて、後ろ向きに乗るのが難しい。大会で出す人は、自分しかいません」

一般的に斜面を前にして乗れば、自分の足元を見ながら滑ることができますが、ソラグラインドは後ろ向きに乗るため、足元が見えないなかでボードを斜面にかけているんです。

他の選手にない技術とオリジナリティが高く評価され、これまでの世界大会で結果を残してきました。ただ、白井さんは他のスケーターとは比べ物にならないほど、闘志を燃やしている舞台があるんです。

白井さん:「俺だけ、あの東京オリンピックが忘れられなくて、悔しすぎて。あのままじゃ人生終われねえ。スケート人生終われねえ」

実は2年前の東京オリンピック。初めてスケートボードが採用された大舞台でした。当時、世界ランキング3位で迎え、メダル候補として注目されていた白井さんでしたが、まさかの予選敗退で幕を閉じました。

その一方で、金メダルに輝いたのが幼い頃から切磋琢磨してきた堀米雄斗さんでした。

松岡さん:「ずっと一緒にやってきた堀米さんが金メダル。ものすごい状況でした」
白井さん:「雄斗、優勝したんだ〜!!みたいな。どれだけ五輪が大きなものか把握してなかった。甘く見ていました五輪を」
松岡さん:「それがじわ〜とくるのは、どうしてですか?」
白井さん:「何百〜何千件とメッセージが届いて。はっ!?予選落ちたよ??と思って。『すごく輝いてました』『雄斗くんもかっこよかったけど、私は空良くんが輝いて見えました』と来て、何を言ってるんだろうな?と思ったけど、五輪は半端じゃないんだと気づいて。落としちゃいけない大会落としたなと」

■プロスケーターの新たなスタイルへの挑戦

負けてから思い知ったオリンピックの「衝撃」「価値」「影響力」。この挫折が、白井さんに火をつけました。

まず取り組んだのが、練習台を取り外して、手すりに交換しました。様々な練習をするためにスケートパークを改造できるようにしたのです。これも東京オリンピックの苦い経験からでした。

白井さん:「スケートボードは毎回、セクション(会場仕様)が変わる。会場に着いて、練習の時に、今まで見たことないくらいの大きさで。練習でやってきたことが通用しなかった。その時点で、自分は負けていた。色んなものが来ても、色んな対応できるようにした」

さらに、プロスケーターとしてのスタイルにも大きな変化がありました。

多くのスケーターが街中で撮影するビデオパートは、自身のプロモーションに活用し、収益にもつながる大事な活動ですが、白井さんは一時休止。アスリートとして競技に専念し、これまでの練習意識や練習内容を見直してきました。

白井さん:「(練習を)前は1カ月をトータルして、『この1カ月よかったな』と振り返っていたが、今は1日(単位)で見られるようになった。練習量ではなく、1日にどういう練習をしたらいいか。『きょうは、もうちょっと学べるものがあったな』と思えるようになったり、すごく強くなれた」
松岡さん:「このパリ五輪がとにかくすべて?」
白井さん:「もちろん、金メダルとりたい。あんな悔しい思いは絶対に二度としたくないので、今はそれしか見えていない」

(「報道ステーション」2023年12月12日放送分より)