NBAグリズリーズ渡邊雄太選手 突然のトレードも…「ゆるぎない自信」
報道ステーション
[2024/03/05 15:10]
アメリカ南部の街・テネシー州メンフィスで先月24日、松岡修造さんがNBA・グリズリーズの渡邊雄太選手(29)にみんなが驚いたトレードの裏側を聞いてきました。
■寝耳に水のトレード「情はない世界」
「どストレートに言っちゃいますよ。元々、僕はフェニックスで話を聞く予定だった。(トレードが)急に来た。だからもうショックで。“来るかな、来るかな”という感じはあった?」
「いや、全く」
「なかったんですか!」
「全くなかったです。グリズリーズとネッツとサンズで三角トレードが成立したニュースだけが出ていて。『サンズトレードしたんだ。連絡来てないから、俺じゃなかったんだ』と思って。僕はそろそろご飯食べようかなって時にエージェントから電話がかかってきて、出たら『トレードされた』とすぐ言われて」
渡邊選手にとっても寝耳に水のトレード。しかも、“優勝を目指している”サンズから、“プレーオフ進出の可能性が薄い”グリズリーズへの移籍でした。
「ショックはショックでしたね。サンズで優勝目指してやりたかった。もうビジネスの世界なんだなと。それこそ、サンズは(昨年のオフに)向こうから来てくれという感じだった。数カ月でコロッと変わる。サンズはいらないから僕を出したわけではない。より良い選手を獲るために、出さなきゃいけなかったのは、もちろんある。情はない世界だと思いいています、NBAは」
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■突然のトレードも…“プレーの中身が変化”■突然のトレードも…“プレーの中身が変化”
渡邊選手はサンズで今シーズンをスタート。序盤はコンスタントに活躍し、順調な滑り出しを見せていました。
しかし、怪我人の復帰もあり、12月以降、出場機会が大きく減っていく苦しい状況。突然のトレードは、そこに追い打ちをかけるものでした。
ところが、迎えたペリカンズとの移籍初戦。松岡さんは渡邊選手のプレーに驚かされました。出場時間も大幅に増えて25分、11得点の活躍。突然のトレードから、一体、何があったのでしょうか。
「アメリカに来て強くなった部分。環境にすぐ適応できる。すぐグリズリーズにもなじめて、実際試合にも出て、サンズの時と試合中の指示も全く違う。やっている動きも全然違う。ディフェンスも全然違うなかで、すぐ対応してやれたので。アメリカに来て十何年培ってきた力」
「“自分はこれを掴んだ”みたいなものは?」
「分からないところはすぐ聞く。分からないままで終わらせない。どんなに簡単なことだろうと、“聞かなくても分かるでしょ”みたいなことでも、もしかしたらサンズとやってたことと全然違うかもしれない。とりあえず聞く」
求められるものが違うなかでも、スムーズにチームに溶け込み、柔軟に対応できたという渡邊選手。プレーの中身は、明らかに変わっていました。
サンズ時代に渡邊選手に求められていたのは、3ポイントシュート。チームの中心選手に相手のマークが集中したところで、外でもらって3ポイント。主力選手をカバーする役割でした。
一方、グリズリーズでのプレーを見ると、味方がボールを持って、渡邊選手は外で3ポイントのチャンスかと思いきや…中に入ってダンク。サンズの時とは、プレーが違っています。
ボールを持ったら、1対1で自分から仕掛ける。明らかにリングに向かうプレーが増えたのです。
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■「すごく良いトレード」経験と自信■「すごく良いトレード」経験と自信
初めはショックを受けたトレードも、短期間で切り替え、チームに適応した渡邊選手。支えとなっているのは、NBAでつかんだ“ゆるぎないもの”です。
「NBAという世界に入って、何が一番成長した?」
「自信だと思います。トレードも含めて、そうですよね。“このチームのために自分はプレーするんだ”という切り替え。NBA6シーズンで得たこと、大学時代も含めてそうですよね。いろんな環境でもまれて、もまれてやったなかで得られた自信が切り替えをやりやすくしてくれている」
そしてその経験と自信は、パリオリンピックへ向かう日本代表にも繋がっていきます。
「すごく良いトレードだった。(グリズリーズでの)プレースタイルとしては、日本代表でのプレースタイルに少し近づいた。グリズリーズで結果を出していければ、自信を持って次の五輪を迎えることができる。このトレードを経て、人としても選手としても、もっと成長できる。いろんな意味で大きくなった自分を日本代表に持ち帰って、経験を伝えていくのは自分の仕事」
(「報道ステーション」2024年3月4日放送分より)