銀メダルから12年…衰え知らずの33歳 “史上最年長”パリ五輪代表 競泳・鈴木聡美
報道ステーション
[2024/05/30 16:16]
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パリ五輪の競泳日本代表…現役高校生などフレッシュなメンバーが初代表をつかむなか、競泳史上最年長の鈴木聡美選手(33)が2大会ぶりに代表入りしました。一体何が起きたのでしょうか?
■ロンドン五輪で銅メダルも苦悩
今年3月、パリオリンピックをかけた代表選考会。女子100メートル平泳ぎで、その座を勝ち取ったのは鈴木選手。2大会ぶりにオリンピック代表へ返り咲きました。
内田篤人さん
「改めて心境いかがですか?」
「改めて心境いかがですか?」
鈴木選手
「自分の力に驚かされているところは結構ありますかね。年齢のことを言うとキリがないですけども、ここまでやるとは正直思っていなかったので、あ、私まだいけるんだ!って」
「自分の力に驚かされているところは結構ありますかね。年齢のことを言うとキリがないですけども、ここまでやるとは正直思っていなかったので、あ、私まだいけるんだ!って」
33歳での代表入りは競泳史上最年長。そんな鈴木選手のオリンピックデビューは12年前の2012年、ロンドンオリンピックの100メートル平泳ぎ決勝でした。この種目で日本女子初となるメダルを獲得しました。ただ、本人は…。
鈴木選手
「もちろんタッチして銅メダル取った!やったー!って思って、うれしさはあったんですけど、自己ベストじゃなかったので。その複雑感というか、やっぱりメダルもうれしいけど、一番は記録だなってそこで思いましたね」
「もちろんタッチして銅メダル取った!やったー!って思って、うれしさはあったんですけど、自己ベストじゃなかったので。その複雑感というか、やっぱりメダルもうれしいけど、一番は記録だなってそこで思いましたね」
内田さん
「順位じゃないんですね、記録なんですね」
「順位じゃないんですね、記録なんですね」
鈴木選手
「私の場合は記録ですね。記録を出したことで結果がついてくるっていう概念の方なので」
「私の場合は記録ですね。記録を出したことで結果がついてくるっていう概念の方なので」
満足できないタイムに加え、この銅メダルという結果が、鈴木選手を苦しめることになるのです。
鈴木選手
「メダリストになってロンドンから帰ってきて、普段のスーパーに買い物に行くだけでも声掛けられたりだとか、周りの目が気になりすぎていて、普段の生活が窮屈になったりだとか。普通にしていたいのに、人の目を気にしなきゃいけないっていう息苦しさが当時はありましたね」
「メダリストになってロンドンから帰ってきて、普段のスーパーに買い物に行くだけでも声掛けられたりだとか、周りの目が気になりすぎていて、普段の生活が窮屈になったりだとか。普通にしていたいのに、人の目を気にしなきゃいけないっていう息苦しさが当時はありましたね」
内田さん
「戸惑いました?」
「戸惑いました?」
鈴木選手
「だいぶ戸惑いましたね。立ち振る舞い方ももっと大人らしくしなきゃいけないとか、強くなきゃいけない、態度もしっかりしてなきゃいけない、泣き言を言っちゃいけないとか色々考えていたんですね」
「だいぶ戸惑いましたね。立ち振る舞い方ももっと大人らしくしなきゃいけないとか、強くなきゃいけない、態度もしっかりしてなきゃいけない、泣き言を言っちゃいけないとか色々考えていたんですね」
メダリストとして、周りの目を気にするようになった鈴木選手。4年後のリオオリンピックでは、準決勝敗退。さらに、東京オリンピックは代表にすら入ることができませんでした。
鈴木選手
「東京オリンピック前後は特にコロナ禍もありましたし、周りが大変ななか、自分は普通通りにしていていいのかとか、他にできることがあるんじゃないかとか、水泳に打ち込めなくなってしまっていて。そこで引退したほうがいいのかなとか」
「東京オリンピック前後は特にコロナ禍もありましたし、周りが大変ななか、自分は普通通りにしていていいのかとか、他にできることがあるんじゃないかとか、水泳に打ち込めなくなってしまっていて。そこで引退したほうがいいのかなとか」
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■“衰え知らず”鈴木が再び挑むパリ五輪■“衰え知らず”鈴木が再び挑むパリ五輪
周囲に惑わされ、競技引退も考えた鈴木選手に手を差し伸べた人がいました。トレーナーを務める永井裕樹さんです。
永井さん
「水泳というのは、自分といかに向き合えるかっていう。結局タイムが出れば、他の人関係なく一番になれるわけで。シンプルに自分と向き合えばいいんじゃないの?」
「水泳というのは、自分といかに向き合えるかっていう。結局タイムが出れば、他の人関係なく一番になれるわけで。シンプルに自分と向き合えばいいんじゃないの?」
鈴木選手
「(永井トレーナーに)『自分は何がしたいの?』って聞かれて、水泳がしたいです、記録を出したいです。じゃあ、そうすればいいじゃないか!っていう。ここで退いてしまったら、目標としていたタイム達成できてないしな。逃げるの嫌だなって思って踏みとどまりましたね」
「(永井トレーナーに)『自分は何がしたいの?』って聞かれて、水泳がしたいです、記録を出したいです。じゃあ、そうすればいいじゃないか!っていう。ここで退いてしまったら、目標としていたタイム達成できてないしな。逃げるの嫌だなって思って踏みとどまりましたね」
思い出させてくれたのは、自分自身と向き合うこと。周りに左右される順位ではなく、自己ベスト更新へ、再び立ち向かいました。
鈴木選手を大学時代から15年もの間指導する、山梨学院大学水泳部・神田忠彦監督はこう話します。
神田監督
「まず先天的なもので、本人も言っていたけど、一番はけがをしない。病気をしない」
「まず先天的なもので、本人も言っていたけど、一番はけがをしない。病気をしない」
内田さん
「タフなんですか?」
「タフなんですか?」
神田監督
「タフ。身体が強い。次がやっぱり自分の記録にどう立ち向かっていくかということだけで、毎日早朝から起きて夜も練習して積み重ねるわけですよ。そういうことに向いている。泥臭くてもいいから、コツコツコツコツやる選手は大好きですね」
「タフ。身体が強い。次がやっぱり自分の記録にどう立ち向かっていくかということだけで、毎日早朝から起きて夜も練習して積み重ねるわけですよ。そういうことに向いている。泥臭くてもいいから、コツコツコツコツやる選手は大好きですね」
そして迎えたオリンピックイヤーの今年、鈴木選手は自己ベストを更新する1分5秒91を記録しました。12年前のロンドンオリンピックで獲得した銅メダルのタイム1分6秒46を上回ったのです。
内田さん
「ガッツポーズもトビキリでしたもんね」
「ガッツポーズもトビキリでしたもんね」
鈴木選手
「あれは本当にうれしかったので、あ〜やっと(自身初の)5秒台出せたっていう」
「あれは本当にうれしかったので、あ〜やっと(自身初の)5秒台出せたっていう」
衰え知らずの33歳が、勢いそのままにパリに乗り込みます。
鈴木選手
「これはまだ記録期待できるのかなっていう実感はちょっとあります。日本記録が1分05秒19なので。そこを狙っていけば、自ずと表彰台も狙えるんじゃないかなとも思うので。目指していけたらなって思っています」
「これはまだ記録期待できるのかなっていう実感はちょっとあります。日本記録が1分05秒19なので。そこを狙っていけば、自ずと表彰台も狙えるんじゃないかなとも思うので。目指していけたらなって思っています」
(「報道ステーション」2024年5月29日放送分より)