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2024年10月29日 13:54

俳優・山口祥行【2】腕の手術を受けた翌日、前日に脚を骨折したばかりの小沢仁志さんとバトルシーンを撮影!

2024年10月29日 13:54

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中野英雄さん、的場浩司さん、本宮泰風さんと共に“ネオVシネマ四天王”と称され、絶大な人気を誇っている山口祥行さん。本宮泰風さんとW主演を務め、2013年に始まったオリジナルビデオ「日本統一」シリーズを始め、映画「覇王」シリーズ(小沢和義監督)、映画「大激突」シリーズ(港雄二監督)など主演作品も多い。ジャパンアクションクラブ出身ならではのダイナミックなアクションシーンも話題に。

■本当は武闘派ではなく一番の知性派?

現在大人気の「日本統一」シリーズは2013年に始まり、現在64話までDVDリリース中。これは不良少年・氷室蓮司(本宮泰風)と田村悠人(山口祥行)が日本から抗争をなくすため、日本極道会の頂点を目指す様を描く大人気任侠シリーズ。女性ファンも多く「任侠女子」と称されている。

――「日本統一」シリーズが大人気になっていますが、予想されていました?

「いや、10本ぐらいで終わるんじゃないかと思っていましたね。初め5本撮りでやるとか言っていたのが3本撮りになったりしたから、やっぱり10本もいかないんじゃねえかなって。でも、まだ配信がない時代にもビデオの人気コンテンツの一つだったから、多少はシリーズとしていけるのかなとは思いましたよね、その時は」

――始まった頃は、レンタルビデオ屋さんがたくさんあったので、小沢(仁志)さんも自らかなり営業されたと聞きました。今はもうないですけど「TSUTAYA中野新橋店」の品揃いがすごくてよく行っていました

「そうそう、あそこは小沢さんの縄張りですからかなりあったと思います。それで、配信でも人気が出てどんどん広がっていったという感じですね」

――配信だと本編は現在62話まであり、メインの方々の外伝シリーズもありますが、撮影はどんな感じですか

「スタッフもみんなベテランだし、キャストもみんなもう慣れたもんですよ。もともと予算がないので、キャストもスタッフもどれだけ速く撮って成立させるかというのに長けてきちゃって(笑)。きっと普通のドラマとか映画とかを撮っている人たちはビックリすると思いますよ。低予算の作品もいろいろありますけど、いいのか悪いのか、その人たちからしたら異常なくらい撮影が速いですから」

――皆さんお互い呼吸も殴り合いなどのアクションシーンのタイミングもわかるのでしょうね

「そうですね。もうやりたくないですけどね、殴り合いとかは。きついですよ(笑)」

――でも、「日本統一」のメンバーの中では一番の武闘派になるわけじゃないですか

「そうですね。そういう風に作られちゃっていますね。本当は一番の知性派なんですけどね(笑)。殴り合いよりガンアクションのほうがやりたいですよ」

――クールな氷室蓮司と熱い田村悠人、本宮泰風さんととてもいいコンビですね

「本当は俺より泰風の方が武闘派ですけどね。高校時代からの知り合いなんですよ。今は家族よりも一緒にいる時間が長い。1年の大半一緒にいますからね。俺が死んだら喪主は泰風にやってもらうことにしているんですよ。もう全部任せます」

――絶対的な関係でいいですね。共演されているシリーズ作品も多いですが、混同したりすることは?

「あまりしないですね。『日本統一』に限ってはセリフを全部は覚えていかないし。(セリフの)量が多いのに台本がいつもギリギリに来るから、内容だけザッと頭に入れておいてその場で覚える感じです」

――すごいですね。それはやっぱり信頼関係がないとできないですよね

「あとは慣れですかね。時間のないところでやっているから、みんなそれに慣れちゃったんですよ。『日本統一』は1日に25ページぐらい、ひどい時は40ページぐらい撮るから、覚えるのにも限りがありますしね」

――山口さんは、「日本統一」などのオリジナルビデオシリーズ以外にも大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(NHK)、「駐在刑事」シリーズ(テレビ東京系)、「罪の声」(土井裕泰監督)などテレビや映画のお仕事もされているので大変ですね

「他の作品はちゃんとセリフを覚えていますよ(笑)。前もって台本がもらえるし、スケジュールもちゃんと余裕を持ってあるから準備ができるんですよ」

――「日本統一」は外伝シリーズもあって、山口さん演じる田村悠人も2本ありますね。『レオン』(リュック・ベッソン監督)みたいでカッコ良かったです

「ありがとうございます。泰風が考えてプロデュースもしているからですよ。でも、泰風がプロデュースもやるようになったら、若い連中(共演俳優陣)の俺に対する態度と泰風に対する態度が全然違う。俺は完全になめられちゃって、タメみたいな感じでいじってくるんですよ 。なめられすぎですよね(笑)」

■小沢兄弟の殴り合いのケンカは…

2016年〜2017年、「覇王」シリーズ5作品に主演。山口さんが演じたのは、世襲制の伝統を継ぐ日本最古の博徒組織「内藤新宿一家」のカリスマ親分・十二代目総長・鷲尾軍司(小沢仁志)の舎弟頭補佐・土岐零時。軍司が殺害された後、命を狙われる軍司の一人息子で小学生の大河を命がけで守りながら組の跡継ぎとしての教育をすることに。

「ビデオメーカーの人から『ヤマ、お前何かやりたいのはないのかよ。やりたい監督とかいないのか?』って聞かれて、『監督はカズ(小沢和義)さんでやりたいです』って言ったら、実現してくださったという感じですね」

――親分の忘れ形見、小学生の息子を鍛えて跡目教育をするというのは撮影していていかがでした?

「どっちかっていうと子役の成長を気にしちゃいますね、いい意味でも悪い意味でも。シリーズになっていくと、こいつまた芝居上手くなっていくのかなとか、背が高くなるのかなとか…何かいろいろ期待しちゃいますよね。あの子がまたどう見ても小沢(仁志)さんの息子とは思えないような可愛い子だったし(笑)」

――小沢和義さんはお兄さんの小沢仁志さんもですけど、俳優であり監督もされています。山口さんはお二人の監督作品に出演されていますが、監督としてどんな感じですか

「監督の時は、真逆のタイプですけど、やっぱり俳優の気持ちがわかるので、ここの芝居はこうだという説明がすごくわかりやすいですよね。ただ、小沢仁志さんは何回も何回もやる。それで、『OK、それだよ!』とかって言うんですけど、俺は同じことしかやってないと思うから、何でOKなのかわからないし、何でダメなのかもわからない(笑)。

カズさんは逆に、2回ぐらいやってカズさんのイメージと違う、ダメだと思ったら、『もういいや。ダメだ』って言って、そのカットを撮ってくれないんですよ。だから全然違いますね」

――小沢和義さんは監督だけでなく、劇中で小沢仁志さんを暗殺。兄弟で壮絶なバトルを繰り広げていますね

「ここ2、3年はさすがにもうやってないと思いますけど、それまで本気で殴り合いのケンカをしていましたからね。作品のことでやってもらうならいいんだけど、そうじゃなくてホントにくだらねえことでやるんですよ(笑)」

――そういう時はどうするのですか

「殴り合いが始まったら、あえてちょっと見てから、そろそろ止めるかなって感じですね(笑)」

■腕の手術翌日に満身創痍で殴り合いシーンの撮影

ダイナミックなアクションで知られる山口さんは、2017年、「ジャパンアクションアワード」ベストアクション男優賞最優秀賞を受賞。2018年の「大激突 果てなき抗争」(港雄二監督)でも壮絶なアクションを披露している。

――迫力の肉弾戦も数多くあるのでケガが絶えないのでは?

「ケガはよくしていますね。それでも撮影はするんですよ(笑)。一番ひどかったのは『大激突』でしたね。俺はずっと右腕に“ねずみ”があって、ねずみっていうのは、骨が変形して剥がれて関節内を飛びまわっちゃうんですよ。

それで肘の欠けた骨が上腕三頭筋の裏まで移動して、筋肉と癒着しちゃったんです。そのせいで痺れと激痛で仕事にならないから、撮影が終わってすぐに手術したんですが、その次の日に小沢(仁志)さんと戦っているんですよ。

でも、小沢さんもその前の日、車から飛び降りるシーンで脚の骨を折っちゃっていて。本当なら安静にしていないといけないのに、その2人が戦うんですよ(笑)。だから俺は左手だけで、小沢さんは脚を骨折しているからキャスター付きの椅子に乗って移動して撮って」

――拝見させていただきましたけど、全くわかりませんでした。すごすぎますね

「何とかなるもんですよ(笑)。俺は『新・影の軍団』の時に脱臼しちゃったことがあって。千葉(真一)さんに投げられるシーンで、鎖骨が上に飛び出ていたんですよ。それを見て(本宮)泰風が爆笑して『やばいぞ、それ病院だぜ』って(笑)。病院に連れて行ってくれましたけど」

――かなり痛そうですが、痛みには強いほうなのですか

「どうだろう?でも、『これは脱臼したな』と思って自分で“入れた”んですよね。心配させちゃいけないからバレないようにと思って。それがちゃんとしたところに入ってなくて、飛び出ちゃっていたんですよ」

――かなりの激痛だったと思いますが

「でも、撮影を止めて周りに迷惑かけちゃいけないと思って。だから終わってから言ったんですよ、『痛い!』って(笑)。誰も気が付いてなかったのに、泰風だけは気づいていた」

――本当にアクションシーンがすごいですよね。小沢さんの還暦記念映画「BAD CITY」もどんなケガをしてもおかしくないくらい迫力ありました

「それがあれはケガしてないんですよ。ただ、脱水症状になりました。小沢さんが怖くて(笑)。怖いんですよ、あの人」

――これだけ長いお付き合いでもやっぱり怖いですか

「怖いですよ。だって顔が怖いじゃないですか(笑)。電話だと怖くないんですよ。声が小さくて何を言っているかわからなかったりするから。でも、顔が怖い。『BAD CITY』では、俺は敵役だったから特に怖かった。

すげえ気合が入っていて顔を合わせる度に『てめえ、コノヤロー!』、『殺してやるからな』とか言って来るんですよ、すげえ怖い顔で(笑)。本当に殺されるって思うくらい怖かった」

――迫力ありますよね。でも、一見コワモテの方がちょっと笑ったりするとすごくチャーミングになる。そのギャップというのは、結構女性たちにはウケますよね

「小沢さんの笑い顔は怖いですけどね(笑)」

――山口さんは笑顔になるとチャーミングでガラッと変わりますね

「そうですか?ありがとうございます。普通にしていると思うんですけど、怖そうに見えるのはサングラスじゃないですか。『日本統一』のメンバーの中では、俺が一番可愛いと思っていますからね(笑)」

茶目っ気タップリのチャーミングな笑顔が印象的。次回は、映画「氷室蓮司」(辻裕之監督)の撮影エピソード、崔哲浩さん、福士誠治さんとトリプル主演を務め、11月1日(金)に公開される映画「ぴっぱらん!!」(崔哲浩監督)も紹介。(津島令子)

ヘアメイク:坂口佳那恵

衣装:1PIU1UGUALE3 RELAX