高校時代からグラドルとして活躍し、キュートなルックスと抜群のプロポーションで絶大な人気を誇り、映画「サムライガール21」(及川中監督)出演を機に俳優活動をスタートした佐藤江梨子さん。2007年、映画「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(吉田大八監督)で第29回ヨコハマ映画祭主演女優賞受賞。2022年に公開されてスマッシュヒットを記録した映画の続編となる「きさらぎ駅:Re」(永江二朗監督)が公開中。(この記事は全3回の後編。前編と中編は記事下のリンクからご覧になれます)
■赤ちゃんを抱いて真冬の海への入水シーンで…
2016年、昼ドラマ「嵐の涙〜私たちに明日はある〜」(東海テレビ)に主演。佐藤さんは、夫と生まれたばかりの娘を同時に失い、深い悲しみから生きる希望を失いかけた主人公・里子役。ネグレクトされていた赤ん坊を実の子と偽って育てることにするが、10年後、死んだと思っていた夫が記憶喪失になり、娘とともに別人として生きていることがわかる…という展開。
――出産後、3カ月で撮影を始めたそうですね
「10年ぐらい前なので、あの頃は若かったみたいなことですよね。夏に出産して、秋ぐらいから撮っていました」
――最後の昼帯ドラマということで、内容もドロドロの展開でしたね
「そうですね。これでもか…という感じで。なんかもう、娘と夫が死んだと思っていたら、実は記憶喪失で違う人と結婚していて…みたいな。大富豪と結婚していて、すごい話でした」
――最初にオファーされたときにこういう展開になるということは聞いていたのですか
「はい。聞いていました。それで、自分に実際に赤ちゃんがいるので、本物の赤ちゃんが出るから大丈夫かなって思いました。当たり前のことですけど、赤ちゃんが泣いちゃって、赤ちゃんとの撮影のときは結構大変でした。赤ちゃんのとの相性みたいなのもあったり、赤ちゃんがこれを見せれば大丈夫というものを準備したり…。
赤ちゃんと一緒に冬の海に入って自殺しようとするシーンがあるんですけど、赤ちゃんを絶対に濡らしたらダメじゃないですか。死んじゃうかもしれないし危ないから、パッと見たときにはわからないように赤ちゃんを持ち上げて撮っていました。
晴れていた昼間の撮影では寒くなかったんですけど、夜になって月が出ているシーンになったときはめちゃめちゃ寒かったです。赤ちゃんは大丈夫でしたけど、私はビチョビチョに濡れていたので、冬の夜でそれをまた撮るというときは寒かった。やっぱり夜に濡れたジャケットだと本当に寒いなあって、何かそういう変な記憶がありますね」
――昼帯ドラマの撮影は過酷で有名ですが、いかがでした?
「ハードでした。スタジオで早朝から深夜までの撮影が3日ぐらい続いて頭がボーッとしていたら、『ロケの多いチームはもっと大変だよ』って言われて。『どうしよう?どうしよう?できない、できない』ってなるんですけど、あるときから、何か脳の筋肉みたいなのがバグるんですよね(笑)。
『できないかもしれない』というのが、『これを覚えられます。これを覚えたら帰れます』みたいな感じになって。そこからちょっと巻き返すみたいな感じになるんですよ。誰にも迷惑をかけたくないし、みんなも早く帰りたいし…というのがあって」
――覚醒したという感じですか?
「そうですね。何かそのときの方が、普段の生活もいろんなことがワーッとできたりして。
普段、すごくのんびりしているので、あの経験があったからこそ、たまに『セリフ変わりました』みたいなことを言われても、『あのときに比べたら大丈夫。これはできるだろう』って思えるようになりました」
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■ダメ男に振り回されるヒロインに■ダメ男に振り回されるヒロインに
2017年、映画「リングサイド・ストーリー」(武正晴監督)に瑛太さんとW主演。この作品は、10年同棲中のしっかり者のカナコ(佐藤江梨子)とヒモ同然の売れない役者・ヒデオ(瑛太)の日々を描いたもの。
「今思えば、本当にすごい監督たちとご一緒させていただいたなあって思います。瑛太さんとは『銀色のシーズン』(羽住英一郎監督)という映画で共演していて。そのときには瑛太さんの幼馴染で10年間片想いをしているという設定だったので、面白いですよね。やっていて楽しかったです。
子どもが生まれてからは、わりと母親の役が多くなっていたので、久々に独身の女性役でうれしかったです。
撮っていたときは息子がまだ1歳になっていないときに撮っていたんじゃないですかね。お祓いのときに抱っこして行ったら、頭を下げてチャリンチャリンってやってくれる鈴みたいなのを息子がつかもうとしちゃって、『ダメダメ、ダメ!』ってやっていました(笑)」
――設定も面白かったですね。佐藤さん演じるカナコはバリバリといろんなことができて、瑛太さん演じる彼は大河に1本出ただけで役者の仕事がない。そんな彼を支え続けて10年。
完成した作品をご覧になっていかがでした?
「何か自分なんだけど自分じゃないみたいなところがあるなあって思いました。誰もそんなこと気にしてないんだと思うんですけど、私は産後に、眉毛が10円ハゲみたいになったんですよ。ちょっとだけ切れ目が入った眉毛みたいな風になっちゃって。
普段はメイクをしているから全然わからないんですけど、ある(日常の)シーンで化粧を落としながらしゃべっているところを撮りたいと言われて。化粧を落としながらしゃべると眉毛が…って気になって。
でも、言わなきゃわからないというか、別にそんなに気にして見てもいないんでしょうけど、そういうのはちょっと気になったりしましたね」
――「リングサイド・ストーリー」も一生懸命なヒロインでしたね。何も知らなかったプロレスの世界に行ったらちゃんと仕事ができてハマッていく
「そうですね。格闘技は、『リングサイド・ストーリー』もそうなんですけど、ドラマで伝説のプロレスラーの役をやったことあったんですよ。だから楽しかったですね。
『リングサイド・ストーリー』のエンディングで、こうやってリングが作られていくというところも見せてくれて、ステキだなって思いました。どんなスポーツでもそうですけど」
――劇中、カラオケで歌っていたのは「タイガーマスク」の歌でしたね
「そうです。すごい練習したんですけど、私は基本音痴なんですよ。昔はみんなグラドルも歌を出していたので、私も出そうという話になったんです。学園祭とかいろいろ呼ばれたりするから。
でも、私は歌が下手すぎて。歌入れをして、有名なカメラマンにジャケット写真まで撮ってもらったんですけど、歌が下手すぎて。機械で直したらうまくはできるんだけど、昔の事務所の代表が『こんな下手なのは無理』って言ってポシャッたことがあったんです。そんなこともありましたね。だから、歌は未だにダメです」
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■インターネットの都市伝説を基にしたホラー映画の続編に■インターネットの都市伝説を基にしたホラー映画の続編に
(C)2025「きさらぎ駅:Re」製作委員会
2022年、映画「きさらぎ駅」に出演。この作品は、“はすみ”と名乗る女性が、この世に存在しない異世界の“きさらぎ駅”にたどり着き、様々な怪異に襲われた体験をネット掲示板にリアルタイムに投稿したことで「現代の神隠し」と話題になり、運命を大きく狂わされてしまう人々の姿を描いたもの。佐藤さんは、書き込みの投稿者“はすみ”とされる葉山純子役を演じた。
現在、続編となる映画「きさらぎ駅:Re」が全国公開中。前作で“きさらぎ駅”から帰還し、世間の冷たい視線と疑念に晒されることになった宮崎明日香(本田望結)は、かつて命を懸けて救ってくれて“きさらぎ駅”に取り残された春奈(恒松祐里)を助けるために再び“きさらぎ駅”へ…というストーリー。
――前作に続き「きさらぎ:Re」のお話が来たときはどうでした?
「1本目のときは、物語のキーパーソンだったので、もっとしっかり出ていたんですけど、今回は自分の体験がきっかけの人だということでチョコッと出していただいて。まさかパート2ができると思ってなかったので驚きましたが、やっていてすごく楽しかったです。
前作と同じ役での参加でしたので、同じ場所で撮影して少しデジャブーみたいな感覚になりました。でも『きさらぎ駅』とは全く違うストーリーと展開で怖くて楽しかったです」
――ホラー映画は、もともとお好きなのですか?「口裂け女」という主演映画もありますが
「はい。ストレス解消というか、わりと好きです。この間も『I,KILL』(WOWOW)というドラマを撮っていたんですけど、ゾンビになってしまう役だったんです」
――ホラー作品に縁がありますね。「きさらぎ駅:Re」が公開になったばかりですね
「はい。『きさらぎ駅』もそうですけど、『きさらぎ駅 Re:』も子どもも見られるホラー映画なので、お子様さまたちにも見てほしいですね」
長身でスレンダーなスタイルの良さが際立っている。子育ても俳優業も全力投球する様が清々しい。(津島令子)
ヘアメイク:大森裕行
スタイリスト:奥田ひろ子