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2025年3月15日 22:00

【池上ニュース】中国の「債務の罠」にハマった!?親日の国・スリランカを池上彰が取材!

2025年3月15日 22:00

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インバウンドが過去最高となって、今や日本の主要産業となっています。

でも日本は物価高、円安、とあまり調子が良くないですよね。果たして世界から日本はどう見られているのか、現地の人に聞いてみました。詳しく解説してまいります。

【親日の国・スリランカってどんな国?】

今回私が取材に訪れたのは、親日の国、スリランカです。皆さんにとってスリランカってどんなイメージでしょうか?紅茶やカレーが一般的でしょうか。もしかしたら全くイメージがわかない、という方もいらっしゃるかもしれません。

スリランカがあるのはインドの南東、北海道よりちょっと小さい島国です。首都はコロンボ、と覚えている方もいらっしゃるかもしれませんが、スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテです。クイズ番組にもでますからね。覚えておいてください。

そして国の正式名称は「スリランカ民主社会主義共和国」です。民主で社会主義の共和国です。ちょっと不思議な感じしますね。スリランカは自由選挙の共和制ですが、国有企業が多かったり規制があったり、と経済に社会主義の考え方がある、という国です。外国からの借金を返せなくなって、3年前に経済破綻した国です。当時は大変大きなニュースになりました。その国が現在どうなっているのか、見てまいりましょう。

【スリランカの生活は?】

スリランカへは成田空港から直行便で約10時間で到着します。

スリランカはもともとイギリスの植民地でした。そのためイギリス様式の建物もたくさん残っています。英語が話せる人も大変多いですね。そして国民の70%は仏教徒です。そのため日本と同じように街のあちこちに寺院があります。でもちょっと日本の寺院とは雰囲気が違います。

寺院

スリランカで最も有名な観光スポットといえば、世界文化遺産のシーギリヤロックです。

シーギリヤロック
シーギリヤロック
シーギリヤロック

古代都市の跡地で岩山の頂上には宮殿の後も残っています。最大の経済都市、コロンボからは車で約4時間ほどの距離にあります。

頂上

岩の上の広さはサッカーグラウンド2つ分くらい。宮殿跡がきれいに残っています。ここまで上るのに40分くらいはかかります。途中の階段は下が見えるのでかなりスリリングですね。

スリランカの名産といえば紅茶です。セイロンティーと呼ばれていますね。

こちらは日本でもたくさん売られています

池上さん
紅茶

そしてスリランカの食べ物といえばカレー。こうしてバナナの葉の上にご飯を置き、

カレーやその他の具材を手で混ぜながら食べるのが一般的です。私も食べてみましたが、想像以上に辛いのが印象的でした。

カレー

【スリランカはなぜ親日?】

スリランカはとても親日の国です。太平洋戦争時代、日本はスリランカの港を攻撃したことがあります。でも戦後スリランカは日本に賠償金を要求しませんでした。

その贖罪という意味も込め、日本はこれまでに多くのお金をスリランカに援助してきました。そうして作られたインフラ、道路がトンネル、橋などがお札になっています。

お札

スリランカの国会議事堂も日本の会社によってつくられています。

そうしたこともあって、スリランカには親日の人が多い、というわけです。

そして親日国ならではの学校もあります。日本の企業との共同出資でつくられた日系の大学、「スリランカ日本情報科学大学」です。

外観
浴衣

ここで学生たちはIT技術と日本語を学びます。そして卒業後多くの学生が日本で働くこと、あるいはスリランカで日系の企業に勤めることを希望しています。

一体なぜ日本語とIT技術なのでしょうか。学長のアーナンダ・クマーラさんに聞いてみました。

インタビュー
インタビュー

学長曰く「日本には外国人の力が必要です。そのために貢献できるスリランカの人を増やす必要があると思っています。日本はすごくIT人材が足りない。そして将来もっと足りなくなります。4年ここで学ぶことで日本の立場で物事を見るような若者を育てることができると思っています」とのことでした。

【経済破綻から3年…スリランカの今の経済は?】

好景気に沸くインドのすぐ横ですが、今スリランカはそれほど景気がいい、とは言えない状態です。3年前には財政破綻も経験しています。海外からの借金を返せなくなってしまったんですね。

その財政破綻のきっかけの一つが中国だったと言われています。

以前の大統領がポピュリズム政策、お金をたくさん使って空港やタワーなどインフラ整備をたくさん行いました。そのためには多額の資金が必要です。そこで融資の審査が緩いけれど金利が高い、中国からたくさんのお金を借りたんです。結果、お金が返せなくなって破綻してしまったわけです。そして担保としていたスリランカ南部のハンベントタ港の使用権を99年間の期限付きとはいえ、中国にとられてしまいました。これを「債務の罠」なんて言われ方をしています。現在コロンボで建設中の国際金融シティも中国の資金が70%も入っています。完成した暁には中国が運営権に口を出すのではないか、そんなことも心配されているんです。というのもスリランカは中国の一帯一路計画、現代版シルクロードの重要な場所。だからこそ中国もたくさんのお金を貸したのでは、とみられているんです。

一帯一路

スリランカがある南西地域に注目している人はまだあまり多くはないかもしれません。でも実はここはこれから経済発展が見込まれている場所です。

地図

インドやパキスタン、そしてスリランカは若い人が多く、人口が今どんどん増えています。そして労働者人口が多いんですね。だからこそこれから発展していくと見られています。そして日本からこの地域への援助、ODAは全体の3割を占めています。(2021年度・外務省)この地域は地震や洪水など自然災害の被害を受けやすい場所でもあります。そういう意味でもこれから日本の援助は大切ですし、援助を通じて重要なパートナーとなって行く、そういう意識が重要になってくると思います。

(池上彰のニュースそうだったのか!! 3月15日OAより)

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