“刺し身の天敵”アニサキスを1億ワット瞬殺…世界初の機械 アジ切り身1日20万枚処理

[2023/11/14 10:41]

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 生の魚に潜むアニサキスを一瞬で殺すことができる機械を開発した熊本大学が、クラウドファンディングで支援を募っています。

■進化するアニサキス瞬殺機械 何ができる?

 ベルトコンベヤーで運ばれているのは、大量のアジの切り身。この間、わずか5秒。一体、何があったのでしょうか?

 熊本大学 産業ナノマテリアル研究所 浪平隆男准教授:「センターの方にある電極の中を自動的にアジの切り身が通り、パルスが打たれることで、中にいたアニサキスを殺虫できる」

1億ワットの超巨大電力で殺虫

 生のアジを安全に食べられるようにするという機械は、寄生虫のアニサキスを1億ワットの超巨大電力で殺虫する世界初のシステムです。

アニサキスは体調不良を引き起こす

 アニサキスはアジやサバ、イカなど海洋生物の体内で育つ寄生虫です。生きたまま人の体内に入ると、激しい腹痛や嘔吐(おうと)などを引き起こします。まさに「刺身の天敵」です。

 浪平准教授:「厚生労働省は加熱・冷凍・除去の3つの方法を推奨している。冷凍すると刺身が柔らかくなったり、食感が悪くなったり、デメリットがある」

厚労省は加熱・冷凍・除去を推奨も…デメリットあり

 この機械を使えば、そういったデメリットもありません。

 浪平准教授はアニサキスを殺虫できるだけではなく、「魚を生業にしている人からも『見分けがつかない』と評価をいただく。味そのものに全く影響がない」と説明します。

「味そのものに全く影響がない」という浪平准教授

 このアジに潜むアニサキスを殺虫処理する機械は、2021年に熊本大学と福岡の企業が連携し、プロトタイプが開発されました。そして、2年の時を経て、大きく進化したといいます。

 一体、何ができるようになったのでしょうか?

2021年に熊本大学と福岡企業が連携

■熊大 クラウドファンディングで支援呼び掛け

2年前にプロトタイプが開発されたが…

 世界初、電気の力でアジに潜む寄生虫アニサキスを瞬時に殺虫処理できる機械。2年前にプロトタイプが開発されましたが、当時はある問題点がありました。

「デッドタイムができる」問題点

 浪平准教授:「パルス処理して、ふたを開けて取り出すという方式。それだとデッドタイムができます」

 当初は、1回1回手動で作業しなければいけない手間が掛かるものでした。

一日20万枚ものアジの切り身を処理できるように

 そこから研究を重ねて、今年9月に最新のベルトコンベヤー式の機械が完成しました。一日当たり、なんと20万枚ものアジの切り身を新鮮なまま処理することができます。

 熊本大学はこの機械をより小型化し、安く作製する研究を進めるために、クラウドファンディングで支援を募っています。目標額は400万円で、現在は100万円ほど集まっているそうです。

「国立科学博物館のようなことが…」クラファンに期待する浪平准教授

 浪平准教授:「自分は本当に達成できるんだろうか。(クラウドファンディングで)国立科学博物館のようなことが起こらないかな。期待もあったりもする」

 現在、この機械でアニサキスを殺虫処理できるのはアジだけですが、今後は様々な種類の魚やアニサキス以外の寄生虫にも、この方法が有効か実験を重ねていくということです。

(「グッド!モーニング」2023年11月14日放送分より)

  • 寄生虫アニサキスを撃退 世界初のシステム
  • 2021年に熊本大学と福岡企業が連携
  • アニサキスは体調不良を引き起こす
  • 1日に20万枚の新鮮なアジ切り身を処理可能
  • クラウドファンディングで支援募集中
  • 1億ワットの超巨大電力で殺虫
  • 厚労省は加熱・冷凍・除去を推奨も…デメリットあり
  • 「味そのものに全く影響がない」という浪平准教授
  • 「デッドタイムができる」問題点
  • 1日20万枚ものアジの切り身を処理できるように
  • 「国立科学博物館のようなことが…」クラファンに期待する浪平准教授

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