“二刀流データ”がその価値を押し上げた!大谷翔平MLB史上最高額でドジャースへ

[2023/12/10 14:59]

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加熱する大谷翔平“争奪戦”がついに決着!大谷翔平の代理人事務所はロサンゼルス・ドジャースと契約したと発表しました。

複数のアメリカメディアによりますと、10年契約で総額7億ドル=約1015億円というMLB史上最高額の契約ということです。

日本時間10日午前5時過ぎ、大谷も自身のSNSを更新

「ファンの皆様、球界関係者の皆様、決定までに時間がかかり大変申し訳ございません。 私は次のチームとしてドジャースを選ぶことに決めました」 「この6年間応援してくださったエンゼルスの関係者の皆様、ファンの皆様、今回の交渉に携わっていただいた各球団の関係者のみなさまに心より感謝申し上げます。 エンゼルスと過ごした6年間は私の心に永遠に刻まれます」 「そしてドジャースファンのみなさま、私はチームにとって常に最善を尽くし、最高の自分自身になるため常に全力を尽くし続けることを誓います」 「現役最後の日まで、ドジャースだけでなく球界のためにも前を向いて頑張っていきたいと思います」

ドジャースは2年連続地区優勝している名門。 チームに大谷を加え、2020年以来のワールドシリーズ制覇を目指します。

MLB史上最高額の7億ドル(約1015億円)の契約を結んだ大谷。 二刀流の価値や圧倒的な成績だけでなく、大谷が残した凄まじいデータも大谷自身の価値を高めました。

■データから見える打者・大谷の進化

試合中継で分析された数値が表示されるなど、データはMLBでいまや欠かせないものとなっています。

MLBが導入している解析ツール「スタットキャスト」。 レーダー式の弾道追尾システムや高精細カメラを用い、打球の速度や角度、投球の回転数などを分析しています。

「スタットキャスト」のアナリスト、デビッド・アドラー氏は、大谷の進化について語ってくれました。
「今シーズンの彼のホームランのいくつかは本当に際立っていました」

そのデータから見えた大谷の進化について、アドラー氏は次のように語りました。

「私が気に入っているのはレンジャーズとのシリーズのホームランです」

6月のレンジャーズ4連戦
バッター・大谷は敵地で4試合4発の大爆発。 その全てが逆方向へのホームランだったのです。

アドラー氏
「長打力のある打者は多くの場合、力が主に引っ張り方向(左打者の場合はライト方向)に向けられます。大谷は片側に力を与えるだけでなく、どこにでもホームランを打つことができます」

今シーズンの打球方向を見てみると、逆方向へのホームランも増え、全方向にまんべんなくホームランを打っているのがわかります。 ここに進化の秘密がありました。

アドラー氏
「2018年を見ると、彼のホームランの大部分が左中間(逆方向)へのものであることがわかります。しかしMVPを獲得した2021年、彼のホームランのほとんどは引っ張り方向でした。つまりルーキーイヤー(2018年)とMVP(2021年)の両方の長所を兼ね備えたようなものとなりました」

■弱点の克服 プレーカバレージの向上

さらに進化は打球方向だけにとどまりませんでした。

アドラー氏
「特に今シーズン、大谷の大きな進歩の一つは、プレーカバレージ(打つことができる範囲)です」

2022年、大谷のコース別のホームラン数を見ると、外角高めを打ったのは0本。 しかし今シーズンは、4本放っていて、どのコースでもホームランを打てることを証明したのです。

アドラー氏
「大谷は外角の球や、低めの球もホームランにしています。どこに投げられても打つ能力があります。彼のすべてのヒットを見ると、プレーカバレージ率はさらに印象的です」

151本のヒットを放ち、自身最高の打率.304をマークした大谷。 去年は外角低めのボールに弱点があったものの、今シーズンは克服し高打率を残しました。
(※外角低めの打率 2022年.206 2023年.306)

アドラー氏
「投手は大谷に外角ばかり投げていた時期がありましたが、彼はそれらの投手の球を打ち始めるようになりました。彼のプレーカバレージは、コンタクトヒットだけではなく、打率だけでもなく、長打力も兼ね備えています」

■「水中のシャチ」大谷の“危険”な走塁

まさに走攻守揃った存在

さらにアドラー氏は大谷の走力にも注目。

「彼は素晴らしいスピードを持っています。大谷は本当に速いです。彼はホームラン打者であり、投手なので私たちはスピードを忘れがちです」

大谷は今季20盗塁に、リーグ3位の8三塁打

スタットキャストによると大谷のキャリア平均スプリントは秒速およそ8.75メートル。 これはMLBの平均、秒速およそ8.23メートルを大きく上回る速さです。

アドラー氏
「大谷を動物に例えるとすると水中のシャチやサメです。彼の走りは優雅でスムーズですがとても速く危険でもあります。なぜならホームランを打つ危険な打者だからです」

■MLB屈指の「ソフトコンタクト率」

シーズン中を問わず”新球”を繰り出す大谷

自身初完封、2年連続2桁勝利、肘のケガで離脱したものの、投手としての進化も見せたシーズンとなりました。

アドラー氏
「大谷の投手としての進化を示すものがいくつかあります。 今シーズン彼は“ソフトコンタクト”がとても上手になり、実はこれまでで最高でした」

「ソフトコンタクト率」とは、いかに打者に弱い球を打たせたかという数値。打球速度が遅ければ、ヒットとなる可能性は低くなります。

アドラー氏
「時速95マイル(約153キロ)以上でボールを打てば、基本的にはヒットになります。大谷はいつも打者を打ち取るのが得意ですが、今年素晴らしかった点は球が打たれても強打になることがなかったことです」

大谷が今シーズン許した打球の平均速度は約139キロ。 これはメジャー全体の上位8%、先発投手では3番目の数値となっています。

■“スイーパー”から見る「適応力」

167個の三振を積み重ね、バットに当てられても強打を許さなかった投手・大谷 その要因の一つとなったのが“スイーパー”の存在でした。

アドラー氏
「大谷は一般的なものよりハードで大きく動くスイーパーを投げることができます」

平均時速134.5キロを誇る大谷のスイーパー。 その曲がり幅の平均は約40cmにも達し、ホームベースの幅(約43cm)に迫る変化を見せます。

アドラー氏
「WBC決勝の最後の投球でトラウトに投げたスイーパーが実に最高でした。あれほど素晴らしいスイーパーはありません。大谷はMLBのスイーパーの顔のような存在です」

さらにアドラー氏は球種の使用率から見えた大谷の優れた「適応力」を指摘。

「大きな変化としてはスプリットの使用率がキャリアで最も低かったことです」

2018年のルーキーイヤー、投球割合の20%を超えるスプリットを武器に三振の山を築いた大谷。しかしその割合は年々減少し、今シーズンはわずか6.5%にとどまっていました。
(※スプリット使用率 2018年22.4%、2020年16.3%、2021年18.1%、2022年11.9%、今季6.5%)

アドラー氏
「理由は彼が狙った場所に投げることができなかったからです、そのため投げるのをやめました、彼には厄介な投球がたくさんあるので、スプリットの使用をやめても他の球でたくさん三振を取ることができるのです」

ここ3シーズン、そのスプリットに取って代わったのが“新球種”の存在でした。

アドラー氏
「彼がシーズンごとに投げてきた投球を見ると、2021年にカットボールを投げるようになりました。2022年はシーズン途中からツーシーム(シンカー)を投げるようになりました」

昨シーズンの途中から投げ始めたツーシームについて大谷自身は「ちょこちょこ遊びで投げたりしていましたし、いいアクセントになってるかなと思います」と語った。

アドラー氏
「一般的にシーズン中の新しい球種を加えるということはしませんが、大谷はそういうことをします。彼は非常に多くの異なる素晴らしい球を投げ、それらを最大限に活用するために投手として進化し続けています」

■データ面でも「MLBで最も価値ある選手」

“二刀流データ”が野球の発展に!

データ収集と分析が徹底されているメジャーリーグ。
“二刀流”大谷がもたらすデータは野球のさらなる発展につながっていきます。

アドラー氏
「彼は誰もが夢にも思わなかったほど素晴らしい選手でした。打者としての価値、そして投手としての価値を見た場合、彼はMLBでそれぞれトップ5に入る選手です。この両方を組み合わせると、彼はスタットキャストのバリューステップにおいて、MLBで最も価値のある選手になります」

「いつか彼と一対一で座って話をしてみたい。大谷と彼のスタットキャストのデータについて話してみたいと思います」

進化を続ける大谷翔平。その活躍はデータにも裏付けされているものでした。
新天地でさらに私たちを驚かせ続けてくれるに違いありません。

(12月10日放送「サンデーLIVE!!」より)

  • 全方向にHR 苦手なコースも克服
  • まさに走攻守揃った存在
  • シーズン中を問わず”新球”を繰り出す大谷
  • “二刀流データ”が野球の発展に!

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