千賀滉大のメジャー1年目 日本でのことは「全部捨てた」MLBは“データとの戦い”

[2023/11/26 16:00]

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千賀滉大投手(30)は愛知県蒲郡市出身、2010年に育成ドラフト4位でソフトバンクに入団し、そこからプロ野球を代表する投手になりました。そして今シーズン、育成出身選手初のメジャーリーガーとしてニューヨーク・メッツに移籍しました。

古田敦也さん:「総額100億円を超える大きな契約で、メッツという強いチームに入りプレッシャーもたくさんあったと思うんですけれども、今年はすごく頑張りました。日米の違いがあったと思いますけど、どんなことがあったのでしょうか?お話を伺ってきました」

■「お化け」キャラクター化はグラブメーカー

1年を振り返る千賀投手

古田さん:「今年1年を振り返ってもらおうと思います」
千賀投手:「ケガなくやりたいっていうのが1年間の目標だったので、それをクリアできたことが1番よかったかなと思います。いい評価をもらえたので、いい1年だったと思います」

今シーズン、ソフトバンクから海を渡ったメッツの千賀投手。1年間、先発ローテーションを担い2桁勝利、防御率はなんとリーグ2位をマークしました。

さらに、メジャー1年目の日本人では史上4人目となる、200奪三振をマークしたんです!その快進撃を支えたのは、代名詞の「お化けフォーク」。

千賀投手:「面白いキャラクターと共に僕をすごい宣伝してくれるので。グッズを出してもらったり、球場の中で声をかけてもらったり、そこに恥じないようにやらないと」
古田さん:「お化けのキャラクターを考えたのは?」

千賀投手のグローブ 上部が蒲郡市の形、下がお化けのキャラクター 写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

千賀投手:「(千賀投手のグラブのメーカー)ZETTのデザイナーです。お化けフォークといろんな方に言ってもらえるようになって、アメリカに行くタイミングでこういうキャラクターどうですかってこれを持ってきてもらって。可愛いですねっていう感じでした」
古田さん:「僕もZETT使ってたけどそんなこと言われたことないよ(笑)普通の青いミットですよ(笑)。あと上が蒲郡市の形なんでしょ?」
千賀投手:「そうです」
古田さん:「そんな人いないよ、なかなか。地元の形をグローブに」

実は現地で会っていた古田さんと千賀投手

さらにメジャー1年目にしてオールスターに選出。実は、千賀投手と古田さんはオールスターの時に、開催地のシアトルで会っていたんです。

そしてオールスター以降は、チームのエースとして活躍し「ナ・リーグ・新人王」争いでの得票数は2位につけました。一体なぜ、これほど活躍ができたのでしょうか?

■日本でのことは「全部捨てた」データとの格闘

アメリカではすぐに適応できた

古田さん:「アメリカの生活に慣れない人もいると思うんですけど」
千賀投手:「いろんな先輩方の話を聞くと食事や生活スタイルの違いとか言ってたんですけど、一切そこにストレスを感じなかった。アメリカの人のようになるように努めていたので、文化に適応しようとしたのが勝手にできたのでストレスなく過ごせました」
古田さん:「積極的に変わっていこうとしたほうですか?」
千賀投手:「日本の時はこうだったなみたいなものは全部捨てていきました」

日本時代は、7年連続2桁勝利にノーヒットノーラン達成と球界を代表するピッチャーでした。しかし、そのすべてを捨てる覚悟でメジャーに挑戦しました。

日本とアメリカとの違いは…

古田さん:「ピッチングスタイルはどうですか?相手バッターのパワーが違うじゃないですか。8番バッター9番バッターでもバンバン放り込むやつもいるし」
千賀投手:「向こうの野球はどれだけ打球速度が速いかってフォーカスされているので、ちょっとした投げミスが全部スタンドに入るみたいな。3打席のなかでストライクが9球10球くる内の1球を打てばそれでオッケーみたいな野球をしているので、根本が違うなと思いました。細かい数字を頭に入れながらマウンドに上がって、それを全部整理しながら投げるのが新鮮でした」

データ化された細かい選手の情報をすべて頭に入れて戦ってきました。

データを生かしたプレーについて…

古田さん:「頭に入れると言っても大変だよね」
千賀投手:「めちゃくちゃ大変でした。データの量が日本とは違いすぎるので。1年間データとの戦いというか、データを頭の中に叩き込んで、データっていう根本がある中で、打球速度が出ないところを選択し続けるというか。ヒットの数とか見てなくて、とにかくホームランだけを防ぐ野球ですね。日本はヒットでオッケーになるんですけど、アメリカは『それがどうした』って感じなので、長打の確率が低いところを狙っていく」
古田さん:「日本でいう読みとか駆け引きみたいなものも、向こうも多少はあると思うんですけど、どう感じます?」

キャッチャーの苦労を語る古田さん

千賀投手:「すごいありました。ピッチャーとキャッチャーだけじゃなくて、首脳陣全員が共通認識でこいつにはこれだよなって分かったうえで始まるので。打たれるところに自分でミスして投げちゃうと、それでやっぱり打たれるから『ほら』みたいな感じなので、すごく楽です。マウンド上の切り替えが。単純に自分のミスなので。日本はどちらかというとデータが少ないので、キャッチャーの人が苦労するところですよね」
古田さん:「ピッチングコーチはこう言うし、監督はこう言うし、ピッチャーはこう言うし。キャッチャーはサインを出す指が動かなくなる(笑)」

■試合は「答え合わせの時間」

「首を振りながら」投げることも

膨大な情報を駆使して戦うメジャー。とはいえ、時にはこんなこともありました。

千賀投手:「(ピッチクロックがあるので投球まで)10秒ぐらいでまとめなきゃいけないんで、試合前のミーティングもたくさんキャッチャーとして、そこでズレがないように。ちょっと迷っても『なんでそれ?』というのがないように。でも時間もないですし。首を振りながら、投球動作の途中でサインに頷くとかもありました。動作に入っちゃえばタイマーは止まるので動作入れながらというのは、正直何回かありました」

データを重視するメジャーの野球に古田さんも興味津々です。

古田さん:「(データが)当たっている時もあれば、イマイチ頼りにならんなって時もあったりするかなと思うんですけど」
千賀投手:「なかったですね。ダルビッシュさんにもデータの話を日本にいる時から聞いてたんですけど、日本にはそのデータベースがなかったので何もできなかった。データを見て下準備して(試合で)答え合わせしにいく時間。やればやるほどデータを見る時間が長くなるよと言われたんですけど、本当にそうなって。1日前じゃ足りない、2日前じゃ足りない、3日前じゃ足りない。日本みたいに(次の登板まで)1週間ないので、もう次の試合の準備みたいな。すごい1年間だった印象です」

■「お化けフォーク」秘密は?大谷についても…

大谷選手についても語る

メジャーリーガー、メッツの千賀投手。1年目の活躍のウラにあったメジャー特有のデータ野球。しかし、そのデータを超えてくる相手がいたんです。それが、大谷翔平選手(29)!

千賀投手:「まじフィジカルモンスターでした」

大谷選手との対戦裏話。さらに…。

古田さん:「なんであんなに落ちるの聞いてもいいの?企業秘密?」
千賀投手:「参考にしてほしいピッチャーのレベルをどんどん上げてほしい」

お化けフォークの秘密を大公開!スペシャル対談の続きは次週。お楽しみに!

(11月26日放送「サンデーLIVE!!」より)

  • 古田敦也さんと千賀滉大投手
  • 1年を振り返る千賀投手
  • 千賀投手のグローブ 上部が蒲郡市の形、下がお化けのキャラクター 写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ
  • 実は現地で会っていた古田さんと千賀投手
  • アメリカではすぐに適応できた
  • 日本とアメリカとの違いは…
  • データを生かしたプレーについて・・・
  • キャッチャーの苦労を語る古田さん
  • 「首を振りながら」投げることも
  • 大谷選手についても語る

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