【GM会議】大谷翔平の去就は?大本命のドジャース 対抗ジャイアンツ、メッツは沈黙通す

[2023/11/09 18:49]

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<日本時間9日 米・アリゾナ州>
 エンゼルスからフリーエージェント(FA)となった大谷翔平選手(29)の獲得最有力候補と日米メディアで報道されているドジャースのゴームズGMは個々のFA選手へのコメントを避けた。ロサンゼルス・タイムズ電子版ではドジャースの幹部も同様にコメントを避けたと報道。GM会議にて日本メディアの前に姿を見せなかったアンドリュー・フリードマン編成本部長は、会場となったホテルにて地元メディアらの囲み取材に応じたが、大谷に関して聞かれた際に「個々のFA選手について公の場では話さない」と最後まで沈黙を通し続けた。

■“本気”か“駆け引き”か―

 GM会議にてメディア対応開始となった8日午後3時(日本時間9日午前7時)に質疑対応をしたゴームズGMも、総額で5億ドル(約750億円)を超えMLB史上最高額の契約が予想される大谷との契約について、それだけの超大型契約をオファーすることに前向きに進めるのかと問われ「彼は素晴らしい選手で、フリーエージェントだ。それ以上はコメントできない」と答えるに留めた。それだけ大谷の獲得に向けて本気だという証拠なのか、それとも金銭面での駆け引きが始まっているのか、どちらにも解釈できる囲み対応でもあった。

 ドジャースは今季、主にDHで出場し33本塁打103打点という素晴らしい打撃成績を残し、オフにFAとなったJ・D・マルティネス外野手(36)に対して、獲得球団からドラフト上位指名権を得られるクオリファイングオファー(QO)を提示しなかった。大谷獲得に向けて万全な状態を確保し、マルティネスに対して一旦は再契約の意向を見せなかった。マルティネスの代理人でもある辣腕ボラス氏は「大谷とマルティネスが同じ球団でプレーすることはない」と明言した。
 
 ロサンゼルス・タイムズの電子版は「ドジャースがオオタニを獲得できるだけの資金を持っていることは間違いない。ただし、一人の選手にそれだけの長期間、それだけの金額を費やすことに不安がないのか、まだわからない」と論じた。

 またドジャースは過去に営業担当をしていたスペシャリストと再契約をし、大谷獲得向けてスポンサー関連に広告などを含めた部署を強化。大谷獲得に向けて、着々と準備しているのは間違いない。それだけに少しの過ちも許されない状況なのかもしれない。

 ドジャース以外に大谷獲得に向けて積極的だと報道されているサンフランシスコ・ジャイアンツのザイディ編成本部長は「指名打者は柔軟に使いたい。」とチームの方針を語り、ニューヨーク・メッツのスターンズ編成本部長は「今は特定の選手について話せない」と慎重な姿勢を通した。ジャイアンツ、メッツは共に資金力では大本命のドジャースを上回ると前評判のチームだ。

■大穴パドレスやカブスは大谷への思いを語る!

 どの球団も大谷獲得に向けて慎重な姿勢を通したわけでもない。ダルビッシュ有投手(37)が所属するサンディエゴ・パドレスのプレラーGMは「常に大谷を獲得するために積極的に取り組んできた。オフシーズンでどうなるかみてみよう」とし、シカゴ・カブスのホイヤー編成本部長は「(大谷がMLB移籍を決断した17年に面談をした)とても充実したミーティングだった。チームはかなり力を入れて準備をし、大谷対してプレゼンをした。当時はナ・リーグに指名打者制度(DH)がなく、とても難しい状況だった。彼は投打両方をやりたいと、明確な希望があった」と当時の状況を懐かしく振り返り、さらに「時間を巻き戻せたら大谷獲得にもう一度挑戦したい」と大谷獲得を諦めきれない思いを語った。

 MLB史上最高額での契約は間違いないだけに、所属していたエンゼルスとの独占交渉期限を終えて、すぐに開幕をした今回のGM会議にて電撃的に大谷の契約が決まる可能性はゼロに等しかった。それでもエンゼルスを含めた大谷獲得を本気で熟考している球団の姿勢と考えは確実に伝わった。

 大谷の去就が決まるであろうと予想されるのが、12月4日−7日(日本時間5日−8日)テネシー州ナッシュビルにて開催されるウィンター会議だ。ドジャースやヤンキースなど常勝球団の首脳陣は大谷を獲得したいが、怪我などのリスクもあり天文学的な長期高額契約を避けたい。一方で大谷を獲得することで常勝球団を目指すメッツやジャイアンツなどは契約期間や金額などを度外視したオファーをする可能性が高く、パドレスにカブス、またマリナーズなども積極的に動くはずだ。

■MVP受賞なら大谷自身の声も

ファンも気になる大谷の行方【写真:AP/アフロ】

 それら以外の球団も水面下では大谷の代理人であるネズ・バレロ氏に接触し、挨拶程度は確実に交わしているはず。大谷獲得に向けた第1ラウンドは静かに開幕した。次は球団の最終決定権を持つ、各球団のオーナーが集合する会議が14日−16日(同15日−17日)にテキサス州アーリントン、今シーズンを制したテキサス・レンジャーズの本拠地にて開催される。

 16日(同17日)にはリーグMVPの受賞者が発表され、受賞者は全米野球協会(BBWAA)に登録された記者限定での電話会見を行う。久しぶりに大谷が記者の質疑に応答する可能性が出てきた。史上初となる二度目の満票でのMVP獲得となるか注目が集まるが、それ以上に去就に関して、何に重きを置いて、どのように考えているのか、大谷自身の言葉が待たれる。

 WBC日本代表を優勝に導いた2023年の大谷翔平ストーリー。最高の形でスタートしながらもレギュラーシーズン最後の約1カ月は怪我でプレーできず、チームも悲願のプレーオフ進出とはならなかった。大谷がどのように23年を締めくくれるのか。多くの人々が注目している。

  • 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
  • パドレス・プレラーGM【写真 2022年:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
  • ファンも気になる大谷の行方【写真:AP/アフロ】

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