ラグビー・松田力也 キック成功率95%の極意 背景にW杯前日に変えた“ルーティン”
報道ステーション
[2023/12/19 15:38]
ラグビー界のキックの達人・松田力也選手(29)です。ワールドカップでも、キックで日本代表を勝利に導きました。今回、内田篤人さんが実際に体験をし、キックの極意を聞いてきました。
■日本中を沸かせた“キック” 成功率95%
内田さん:「おはようございます」
松田選手:「おはようございます」
内田さん:「きょうは松田さんのキックの神髄を、僕がちょっと体験しながら教えていただく」
松田選手:「逆に教えてほしいっていうのがあるんですけど…」
内田さん:「もう引退して3年経ってますから」
松田選手:「まだ3年なら全然」
今年のラグビーワールドカップで、日本を牽引(けんいん)したのが、松田選手のキックです。成功率は脅威の95%。20本蹴って19本を決め、日本中を沸かせました。
次世代を担う子どもたちにも大人気です。
子ども:「キックうまい」「キックうまい」「キック上手そうなところがいい」
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■内田篤人 “人生初”ラグビーボールのキック■内田篤人 “人生初”ラグビーボールのキック
そんな松田選手のキックの極意にサッカー元日本代表・内田さんが迫ります。
まずは、内田さんが人生初、ラグビーボールのキックに挑戦します。
内田さん:「皆さんはあれでしょ。外して『難しかった』がいいんでしょ。元プロのサッカー選手だから。1発で決めます!」
そう言って、内田さんがボールを蹴ります。すると…。
内田さん:「おっ、あれは?(ゴールポストを指さす)」
松田選手:「あの、外れです」
内田さん:「外れなんですか!?」
松田選手:「当たって内に入ればゴールなんですけど。外に跳ね返ってきたら外れ」
内田さん:「あれは外れなの!?」
ポールに当たるもボールが中に入らなかったため、惜しくも失敗となりました。
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■極意(1)右ポールを狙う■極意(1)右ポールを狙う
松田流、蹴り方のポイントは一体どこにあるのでしょうか?
内田さん:「ちょっと待ってください。もうそこから決まっていますか?」
松田選手:「決まっています」
内田さん:「何が決まっていますか?」
松田選手:「まず僕はHゴールに対して、右ポールにセットする」
内田さん:「何でですか?」
松田選手:「キックを右足で蹴るので、(左へ)巻きがちになる」
松田選手の極意。左に曲がりがちなので右ポールを狙う。さらに…。
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■極意(2)右肩で上半身をキープ&真っすぐ蹴る■極意(2)右肩で上半身をキープ&真っすぐ蹴る
内田さん:「ちょっとストップ!これは何ですか?(構えのしぐさについて)」
松田選手:「僕、蹴る時に右肩が下がってしまうと、狙ったところにいかない。しっかり右肩を使うっていうか、上半身をキープして蹴るために曲げてセットしています」
内田さん:「振り方は曲げる?それとも真っすぐに蹴る?」
松田選手:「僕は結構真っすぐに蹴りたいんで」
松田選手の極意。右肩で上半身をキープし、真っすぐ蹴る。
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■いよいよ松田のキックだが…まさかの結果に■いよいよ松田のキックだが…まさかの結果に
そして、いよいよ松田選手のキック。ワールドカップでは20本中19本成功しています。
松田選手:「あっ。ちょっと待ってください」
内田さん:「あっ、やった!!やりました!!えっ、ワールドカップで外したの1本だけですよね?」
松田選手:「その1本が、その1本が!」
内田さん:「めっちゃプレッシャー感じてる!どうしたんですか?何が原因だったんですか?」
松田選手:「内田さんに合わせた方がいいかなと思って(笑)」
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■一番難しい右端へ…内田が挑戦!■一番難しい右端へ…内田が挑戦!
続いては、一番難しい位置へ。
内田さん:「右端だとアルゼンチン戦のキックが、すごくイメージが強い」
その位置というのが、アルゼンチン戦のキックで、最も角度のないフィールド右端です。
内田さん:「えっ、こんな外から!」
松田選手:「そうですね。アルゼンチン戦の時も端だったので」
内田さん:「蹴る時は芯を蹴るの?」
松田選手:「芯よりもちょっと上を蹴ってますね」
内田さん:「下に飛びそうだけど、芯より上なんですね」
松田選手:「芯の上をサッカーのように蹴ってもらえれば、ドーンっていくと思います」
まずは内田さんが蹴ります。
内田さん:「これでも………緊張するな、人が入ってたら」
内田さん:「いきます、先生!」
松田選手:「お願いします!先生ではないですけど…」
そして、内田さんがボールを蹴ります。すると、またしてもポールに直撃しました。
内田さん:「あっ!あれ失敗ですね」
松田選手:「(拍手しながら)10点ぐらいあげたいですけどね。すごっ!」
内田さん:「本物を見せて」
松田選手:「やりにくいな…」
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■次は松田が…アルゼンチン戦の再現なるか?■次は松田が…アルゼンチン戦の再現なるか?
さあ松田選手、アルゼンチン戦の再現なるでしょうか?
内田さん:「うわーすごい」
松田選手:「よかったー!2回目はないですからね」
内田さん:「すごいですね。でも、これが本番だったら、皆そこしか見ないのは緊張します?」
松田選手:「逆にもう開き直ってというか、それが…」
内田さん:「見てくれと!」
松田選手:「入るんで見てほしいなって思っていますけど」
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■W杯初戦の前日に“新ルーティン”■W杯初戦の前日に“新ルーティン”
その松田選手にとって最も印象に残っているのは、ワールドカップ初戦1本目のキックだといいます。
内田さん:「(成功)19本で、もっと難しい角度があったのに、なぜこの1本を選んだのか」
松田選手:「ワールドカップ前のテストマッチで、たくさん外していた。なんかもう自分のフィーリングが、どこかズレているんだなと思った」
大会直前、全くキックが決まらなくなっていた松田選手。思い切ったチャレンジをしていました。
松田選手:「ルーティンになるんですけど、ハンズアップした状態で」
内田さん:「それは今までやってなかった?」
松田選手:「やってなかったです。しっかり右肩を固定して、ひじを後ろに振って前にっていうアクセント」
内田さん:「試す時間はあったんですか?」
松田選手:「(ワールドカップ初戦)チリ戦の前日に」
内田さん:「前日!?」
松田選手:「新ルーティンを試して、フィーリング良かったので、あしたはこれでいこうという形で」
内田さん:「急に変えて不安はないんですか?」
松田選手:「新ルーティンの方が絶対よくなるって思ったんで」
ワールドカップぶっつけ本番での新ルーティン。ここから20本中19本成功のキックにつながっていったのです。
松田選手の極意は、右肩で上半身をキープし、右ポールを狙い、真っすぐ蹴る。これが日本ナンバー1・松田選手のキックです。
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■松田「成功率100%=究極を目指したい」■松田「成功率100%=究極を目指したい」
内田さん:「2027年ワールドカップは目指してます?」
松田選手:「はい、もちろん」
内田さん:「どんなキッカーになっていたいですか?」
松田選手:「試合に勝たせられるようなキックを蹴りたいと思います。プレッシャーかかった中でもそうですし、成功率95%でしたけど100%というところを、究極を目指してやりたいなと思ってます」
(「報道ステーション」2023年12月18日放送分より)