“WBC優勝への軌跡”を振り返り 侍ジャパン選手が明かす…驚きの事実や印象的な場面
[2023/12/24 14:59]
2023年、日本中を熱狂させた侍たち!
大会MVP・大谷翔平選手(29)を中心とした侍ジャパンの軌跡を選手たちの証言と共に振り返ります。
■練習、強化試合で見せた衝撃シーン
まずは大会開幕前、大谷選手が日本中を驚かせたこのシーンです。
「噂は聞いていたんですけど目の当たりにするとビックリしましたね」
「ぶったまげたっすね。一言で言ったら」
それは来日して初めて見せたバッティング練習。打球は広いバンテリンドームの5階席へ!飛距離は衝撃の推定160メートルです。
選手たちは少年のようにその様子を見ていました。
「飛距離もすごいですし速度もすごかったので『ヤベー』としかみんな言っていないですよ」
実戦に入るとさらなる衝撃を見せます。
阪神との強化試合では、フォークに体勢を崩されながら片手でスタンドまで運びました。
打たれた阪神の才木浩人投手(25)は、次のようにコメントしました。
「マジで悔しい!(2人前の)ヌートバーくらいから時を戻して欲しい。良かったです、ベストボールです。普通だったら三振絶対しています。めっちゃ良いところにスポーンと落ちた。フォーク初見であんなに簡単に運ばれたのがマジで悔しい」
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■“驚きの事実”“驚いた球種”甲斐拓也に聞く■“驚きの事実”“驚いた球種”甲斐拓也に聞く
そして3月9日、世界一をかけWBCが開幕。初戦の相手は中国です。
開幕投手を任されたのは、もちろん大谷選手。4回を投げ1安打無失点。白星スタートでチームに勢いをもたらしました。
この試合、大谷選手とバッテリーを組んだのは、甲斐捕手。驚きの事実を語ってくれました。
「大谷君とバッテリー組むっていうのはもちろん緊張しました。ブルペンと全然球が違うので。(ブルペンでは)大谷の調整で投げているので、本当にぶっつけ本番という形ではありましたね」
ブルペンでは軽めの調整を行っていた大谷選手。甲斐捕手は、試合で初めて力を入れたボールを受けたのです。
中でも驚いた球種が、スイーパーだといいます。
「スイーパーは独特ですし回転もちょっと違いますしね。低いところから高いところに吹き上がって曲がってくる。普通であれば下に落ちていくと思うんですけど、下に落ちない。吹き上がってくるっていうのが一番の特徴かなと思います」
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■ベストプレーは?近藤健介「韓国戦のセンターオーバー」■ベストプレーは?近藤健介「韓国戦のセンターオーバー」
続いて証言をしてくれたのは、侍ジャパンで大谷選手に次ぐヒット数を誇った近藤選手。
まずは、自身のベストプレーを挙げてもらいました。
「韓国戦のセンターオーバーですかね。印象深いシーンではあります」
それは日韓戦の2点を追う3回、ノーアウト3塁1塁の場面でした。
「押せ押せの状態だったので結構入り込み過ぎていた部分があるんですけど、2球目に顔付近にボールが来てそこで結構冷静になれましたね。客観的に入り込み過ぎず何か冷静な自分がいたのが良かった」
近藤選手は、この1球で我に返ったといいます。1ボール1ストライクからの3球目、センターの頭を越えた打球は1点差に詰め寄るタイムリーツーベース。さらに次の打席ではホームランも放つ活躍で日本を勝利に導きました。
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■大谷から聞いた“驚きのバッティング論”とは?■大谷から聞いた“驚きのバッティング論”とは?
そんな近藤選手が、大谷選手から聞いた驚きのバッティング論を明かしてくれました。
「(大谷選手)本人言っているのは、一番はバントでホームラン。日本時代は足を上げて打っていたところをノーステップに近い打ち方にした話とかは結構興味深いところではありましたけども。やっぱり動きを少なく、シンプルにバントからの逆算というのは、あのフィジカルがあってこそだと思いますけど」
「バントでホームラン」この言葉が表す大谷選手のバッティングのすごさとは一体?
野球解説者・古田敦也さんの分析は…。
「バッティングというのはバットを振らなきゃいけない。どうしても足を上げて反動をつけてといいますか、この方が早いスピードを生みます。普通の人は下半身を止めてしまうと、あまり強いスイングができない…はずなんですよ。でも、大谷選手は下半身を止めてても強いスイングができる。これは『フィジカルがすごい』とみんな言っていますけど、こういうことがあるので。体を止めて体の動きをできるだけ小さくして人よりも遠くへ飛ばす。やっぱりモンスターかな」
そのノーステップ打法でオーストラリア戦でも豪快な一発を打ちました。
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■WBCは…吉田正尚「ヌートバーが勢い付けた」■WBCは…吉田正尚「ヌートバーが勢い付けた」
1次ラウンドを全勝で突破した侍ジャパン。特に印象的なシーンを証言してくれたのが、レッドソックスの吉田選手です。
「ヌートバー選手の中国戦での1本目はすごくベンチが盛り上がった印象ありましたね」
侍ジャパンに初招集された日系人メジャーリーガー、カージナルスのラーズ・ヌートバー選手(26)。ミドルネームの“タツジ”から“たっちゃん”の愛称で愛されました。
開幕戦から1番を任されると、1回、その初球を弾き返しセンター前ヒット!見事、期待に応えました。
「(開幕戦は)よーいドンで『よし行くぞ』っていう感じで。やはり独特な雰囲気で緊張感もあった中で、彼って僕ら以上に多分、色んなものを背負っていたと思うんで。彼が勢い付けたなと思います」
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■ベストプレーは?吉田正尚「スリーラン」■ベストプレーは?吉田正尚「スリーラン」
そして、吉田選手自身のベストプレーも聞きました。
「あの試合自体も今までの自分の人生の中でもベストゲームだと思うし、あのスリーランでしょう」
それはアメリカ・マイアミに舞台を移した準決勝のメキシコ戦です。
先発・ロッテの佐々木朗希投手(22)がスリーランを浴び、3点を追う苦しい展開となった侍ジャパン。
それでも7回ウラ、ツーアウトから近藤選手がヒットで出塁すると、続く大谷選手がフォアボールを選び雄叫び!
ここで、バッターは4番の吉田選手。
「あの試合何回かチャンスはあったんですけど、メキシコのファインプレーもあったり、なかなかちょっと重苦しい雰囲気で2アウト1塁2塁で回ってきて。まず1点をとりあえず取るっていうことは頭に入れて打席には入りました」
2ボール2ストライクと追い込まれ、迎えた5球目で吉田選手のスリーラン!
「意外に良い時って手に残らないんですよ感触が。あの時、そういう感触があって。国を背負って必死に戦っている中で、あんなことが起きるのがやっぱり醍醐味だと思いますし、シビれるゲームでしたし、シビれるホームラン」
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■準決勝…最後に決めた村上宗隆■準決勝…最後に決めた村上宗隆
同点とした侍ジャパンですが、その後、勝ち越しを許し迎えた9回、先頭は大谷選手です。
「必ず塁に出るというのは決めていました」
右中間への当たり!大谷はヘルメットを脱ぎ捨て2塁を陥れるとベンチをあおり立てます。
ノーアウト1塁2塁となり、この試合3三振、大会を通じて不調が続いたヤクルトの村上宗隆選手(23)。
センターの頭上を越えたフェンス直撃の逆転サヨナラタイムリー!
「何度も三振をして何度も悔しい思いをして、その中でチームメイトがすごく点を取ってくれて助けてくれて。最後は僕が決めましたけど、本当にチーム一丸となった勝ちかなと思っていますし、その期待に応えらえて良かったです」
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■決勝戦 劇的なエンディングは9回■決勝戦 劇的なエンディングは9回
迎えた決勝の舞台、相手は史上最強、メジャーのスター選手をそろえたアメリカ。
試合前には、球史に語り継がれる名言が生まれました。
「“憧れるのをやめましょう”ファーストにゴールドシュミットがいたり、センター見たらマイク・トラウトがいるし、外野にムーキー・ベッツがいたりとか、野球やっていれば誰しもが聞いたことがあるような選手がいると思うんですけど。きょう一日だけは憧れてしまったら超えられないんで。僕らはきょう超えるためにトップになるために来たので、きょう一日だけは彼らへの憧れを捨てて勝つことだけ考えていきましょう。さぁ行こう!」
筋書きのないドラマの劇的なエンディングは9回。
「大谷翔平、WBC決勝戦、1点リード9回のマウンドへ!」
「本当に信じられない出来事が目の前で起きていますね」
泥だらけのストッパー大谷選手がマウンドへと上がりました。
「9番から始まって1番、2番。2アウトランナーなしでトラウト選手、これが最高のシナリオじゃないかと」
先頭は9番、メッツのマクニール選手(31)。フォアボールを与え、ノーアウトのランナーを許します。
続くバッターは、来シーズンから大谷選手のチームメイトになるドジャースのベッツ選手(31)。
セカンドゴロでダブルプレーに抑え世界一まであとアウトひとつ!
最高のシナリオ、トラウト選手(32)と大谷選手の夢の対決となりました。
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■夢の対決に…14年ぶり3度目“WBC優勝”■夢の対決に…14年ぶり3度目“WBC優勝”
球史に残る一戦となったWBC決勝。夢の対決は9回、最後の最後に待っていました。
フルカウントまでもつれたトラウト選手との決戦、最後は大谷選手の代名詞スイーパーで空振り三振に仕留め侍ジャパンはWBC王座を奪還しました。
優勝の瞬間、大谷選手は大きな咆哮とともに帽子とグラブを投げて喜びを爆発させていました。
14年ぶり3度目となる世界一!劇的な幕切れとなった2023年のWBCでした!
「(Q.3年後もWBCに出場したいか?)出たいですね、僕自身がまずは一定のレベルに居続けるのが条件ですし、もちろんそうなるように最善の努力を毎年したい」
(12月24日放送「サンデーLIVE!!」より)