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報道ステーション

2024年1月12日 17:42

日本代表・上田綺世のゴール解説…内田篤人が感心「もっと本能で動いているのかなと」

2024年1月12日 17:42

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サッカー・AFCアジアカップで日本のエースとして期待される上田綺世選手(25)。内田篤人さんが話を聞きました。

■ミャンマー戦「ハットトリック」のゴール 上田が解説

現在、オランダリーグの名門・フェイエノールトでプレーする上田選手は、去年、日本代表では年間最多となる7得点の活躍を見せました。

内田さん
「どうですか?ご自身の出来としては」
上田選手
「数字だけでいうと、全然まだまだ。自分の成長は、なんとなく感じられたのかな」
内田さん
「得点パターンで、一番得意なのは?」
上田選手
「ディフェンスの裏への抜け出し。動き出しが自分の特徴」

上田選手が武器にする「動き出し」が結果として表れたのが、去年11月にハットトリックを達成したワールドカップアジア2次予選・ミャンマー戦でした。

今回、ミャンマー戦のゴールを本人に解説してもらいました。

上田のポジショニングと動き出しの意識

まずは、先制点のシーン。南野拓実選手のアシストから決めたこのゴール。相手のゴール前にはディフェンスがなんと6人もいました。どういう動き出しから、得点に繋げたのでしょうか。

上田選手
「僕が動き出す時に大事にしているのが、タイミングとポジショニング。選手それぞれに『パスを出せるよ』というサインがあって。(南野)拓実くんがアウトサイドでボールを持った時に、『顔を上げるな』と僕は感じます」

まず意識しているというのが「動き出すタイミング」。上田選手は、南野選手がアウトサイドでボールを持ったときに顔を上げ、「自分の方を見る」と予測し、動き出すタイミングを計っていました。

上田選手
「(南野が)顔を上げるタイミングで、ディフェンスラインの選手の動きを見ながら少し横に平行移動します。どちらかというと“釣り”なんですよ、この動きは」
内田さん
「ちょっと横に動くことによって、相手のディフェンスの選手が食いつきましたよね。ここにボールが来るんじゃないか。インターセプト、もしくはここ(上田選手の方)に行こうって」
上田選手
「それは僕の“釣り”があってなので」
内田さん
「これ(横の動き)がポイントなんですね。ただスペース、相手ディフェンスの裏に走り込むのじゃなくて」
上田選手
「これがポジショニング」

ただ裏へ抜け出すのではなく、少し横に動くことでディフェンスを引きつけ、自ら走り込むスペースを作っていたのです。

このポジショニングの動作が得点に繋がりました。

上田選手
「プレーしているなかで、きっかけを探しては、スペース作っている」
内田さん
「指導者かぶれの私にとっては、非常に勉強になります」

■ミャンマー戦から紐解く 上田の“動き出し”

その動き出しは、堂安律選手のアシストから生まれた追加点でも発揮されます。

上田選手
「(堂安)律がアウトサイドで、けっこう大きめに持っていて。ボールを持った。あれはドリブルとかではなく、パスを出すタッチ。タイミングが結構取りやすい」

この時も堂安選手がアウトサイドにボールを置き、顔を上げるのを待っていた上田選手。すると、こんな「ちょっと待って」というポーズをしました。

内田さん
「『ちょっと待って』と言っている。その意図は?」
上田選手
「(堂安)律って、ここ(内側にいる自分)にボールを当てて(ゴール前に)自分で行きたいし、行ける選手」

実際、この試合の別の場面で、堂安選手が上田選手にパスを出し、自らがゴール前に走り込んだシーンがありました。

そのため、得点シーンでは相手ディフェンスに警戒され、「そのパスコースは通らない」と上田選手は判断したのです。

上田選手
「自分も孤立している状況だったので、『無理だよ』と」
内田さん
「ちょっと待ってと」
上田選手
「(相手の裏の)スペースを使いたいっていうのはあって。相手の枚数が多かったので。相手選手たちが結構食いつく感じがあったので。さっきの(南野と)と全く同じ動きで、(堂安)律が顔上げたタイミングで相手の裏のスペースに走り込んだ

先制点と同様、堂安選手がパスを出すタイミングを瞬時に読み取り、相手ディフェンスの裏へ抜け出した上田選手。堂安選手とピッタリの連携を見せ、得点に繋げました。

内田さん
綺世はもっと本能で動いているのかなと思っていた」
上田選手
「結構、それは言われます。『思ったより、考えてプレーしているんだな』って。プレーしている時は感覚なので、客観的に見るために、結構、自分のゴールシーンを見ます。山ほど見ました」
内田さん
「自分のゴールシーンを?」
上田選手
「何回も、めちゃくちゃ見ます。なんで点を取れたのかといことも自分で知りたいし、何十回も見て、自分の感覚を言語化する」

内田さん期待「何点取ってくれるのかな?」

「自分の感覚を分析する」という地道な努力により、プレーの質が向上。武器である動き出しで得点を量産してきました。

内田さん
「アジアカップで(ディフェンスラインを)引かれる可能性は高いですよね。綺世選手の裏への抜け出しがバチンと合うと、狭いスペースでも脅威になりますよね」
上田選手
「自分の特徴を全面に出していきながら、出場時間のなかで最大限結果を残せたらいいのかなと」
内田さん
「何点取るのかな?何点取ってくれるのかな。楽しみだな」
上田選手
「がんばります」

(「報道ステーション」2024年1月11日放送分より)