卓球・早田ひな 目標はテニス界のレジェンド 秘訣は“ひな語”「体が勝手に…」

[2024/01/17 16:07]

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卓球の早田ひな選手(23)はシングルス、混合ダブルス、団体、すべての種目で期待される日本女子のエースです。その強さの秘密は、“ひな語”にありました。

■活動の理由「テニス界のレジェンドに近づくため」

去年、世界選手権で中国トップ選手を破り、銅メダルを獲得した早田ひな選手。その活躍の理由ですが、すごく意外な人物の名前が出てきました。

早田選手
「フェデラー選手に近づくために」
松岡修造さん
「誰ですか?」
早田選手
「フェデラー選手」
松岡さん
「フェデラーさんは、卓球の選手じゃない」
早田選手
「でも、いつも(動画を)見て参考にしている」

なんとテニス界のレジェンド、ロジャー・フェデラーさん。一体どういうことなのでしょうか?

早田選手
「動きとフォーム、スイングの美しさと軸がブレない感じ。すべてがシンプルだから無駄がない動きになっていく」
松岡さん
「一般の人から見たら『すげぇ』って思っても、ひなさんにとっては非常にシンプルに思えるようになっている」
早田選手
「そうです。(プレーが)やりやすいって思いました」

同じラケット競技とはいえ、フェデラーさんのようなプレーがやりやすいなんて信じられません。

フェデラーさんと言えば、世界一難しいショットを世界一簡単にやってのけるスタイルです。

常にリラックスした状態で、力みのない美しいスイング。大事なショットでも余計な力が一切入らない。これがなかなかできないのです。

誰にも真似できないスタイルでグランドスラム優勝20回。どんなに過酷なスケジュールでも強さを見せ続けました。

■フェデラーに近づくための秘訣は“ひな語”

そんな雲の上の存在に近づくために、早田選手ならではのコツがあると言います。

早田選手
「力みをなくすために色んな言葉を使って。腕の抜き方の擬音で覚えている。例えばですけど、“スアー”という言葉がある」
松岡さん
「ツアー?」
早田選手
「スアー」
松岡さん
「それは卓球の言葉で“スアー”って言うんですか?」
早田選手
「ないです。私が『もうちょっとスアーで』って思ったら体が勝手に…」
松岡さん
「“スアー”は、ひな語ですか!?」
早田選手
「そうです。そういう言葉がいっぱいあるんですよ」

例えば試合中、早田選手が“スアー”を意識しているのが、フォアハンドで強打する場面。余計な力が入らないように考えた言葉です。

自分の感覚を「ひな語」にすることで、フェデラーさんのプレーを実現させているのです。

松岡さん
「どうしてスアー?」
早田選手
「分からないです」
松岡さん
「僕にも分からないですよ」
早田選手
「うまく当てはまったから、今は使っているような感じで」
松岡さん
「(ひな語を)もうひとつ聞いてもいいですか?」
早田選手
「“トーマス”とか。トーマスは、この感覚(汽車)なので、細かい技術の時に使う。卓球台の上でやる技術の時に使う一つの言葉なんですけど、『もうちょっとトーマスやな』って、そのまま言ってます」

こうやって「ひな語」が増えていくたびに気付いたことがあると言います。

早田選手
「できない技術って、例えば、昔から教えてもらっている先生が言った言葉をそのまま鵜呑みにして、それは“難しい技術”って自分の思考が勝手になっていて。でも、それって実際は、本当に難しいのかって思った時に、いろんなニュアンスに言葉を変えたりして、それが解決する時もあったりする。そういう言葉をどんどん見つけたり、当てはめたりしていくことが今はすごく楽しい。それこそ限界はないと思っている」

■去年の世界選手権で…もう一つの成長

そして、試合では「ひな語」を駆使して結果を出し続け、パリオリンピック選考レースを独走しました。

さらに、もう一つ成長があったのが去年の世界選手権。現在世界ランキング2位・中国の王芸迪とのメダルをかけた戦いにあります。

この試合、得意な形でポイントが取れず苦しい展開。そんななか、バックハンドでどんどん攻め、マッチポイントでも強烈なバックハンドで勝利をつかみました。

早田選手
「あの時はバックハンドのボールをとらえる位置が正確になってきていて、安定する位置にラケットがスムーズに出るようになってるなと思った」
松岡さん
「進化したんですね」

得意な形を封じられても柔軟に対応。試合の中で変化することが、もう一つの成長だったのです。

早田選手
「勝ちたい勝ちたいと思っていても何も出てこない。試合の中で違う引き出しを出してみたら、何がどう変わるのか、っていうのを常に発見しながら。変わることも恐れないですし、変わることがどんどん楽しくなっている」
松岡さん
「パリ五輪は、ひなさんにとってどういうターゲットとして捉えていますか?」
早田選手
「“絶対に金メダルを獲りたい”っていう気持ちより、“獲るためにどうしていくか”っていうような捉え方になっているなって思う。パリ五輪が私を強くしてくれるものに変わってきているかなと思います」

(「報道ステーション」2024年1月16日放送分より)

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