10日に行われたインドネシア戦で圧勝し、アジア最終予選を締めくくったサッカー日本代表。2026年のワールドカップ開幕まで1年を切りました。
森保ジャパンで攻撃の中心を担うのが、三笘薫選手(28)。今シーズン、イングランド・プレミアリーグで日本人初の2桁ゴールを達成しました。
そんな三笘選手の進化に、内田篤人さんが迫ります。
■“オフ・ザ・ボール”の動きに磨きをかけ得点重ねる
2026年、北中米W杯で優勝を目標に掲げる日本代表を引っ張る三笘選手。2022年のカタールW杯での「三笘の1ミリ」を経て、大きな変貌を遂げています。
「“ワールドカップ”って言うと、何を思い浮かべますか?」
「前回大会の経験です」
「1ミリのほうですか?それともクロアチアに負けたほうですか?」
「どちらもありますけど、やっぱりクロアチアのほうが大きいです」
2022年、カタールW杯。クロアチアとの決勝トーナメント1回戦、勝てば史上初のベスト8進出となる一戦は、PK戦までもつれる死闘の末、敗戦。
「次のワールドカップで、勝てるようにやるしかないと思います」
「自分がPKを外してベスト8に行けなかったとこでは、責任感はありました。次の4年間で、いかに自分がワールドカップのピッチに戻るか、クラブチームで悔しさをバネにできるかとかは考えていました」
あれから3シーズン。三笘選手は、とてつもない進化を遂げています。
世界最高峰のプレミアリーグで、日本人初の2桁ゴールを達成。今シーズンのプレーを見た内田さんは、三笘選手と“ある選手”を重ねます。
「C.ロナウドっぽいなと思って」
ポルトガルの英雄、クリスティアーノ・ロナウド(40)。元々は、三笘選手と同じ、左サイドのドリブラー。その後、ストライカーの要素も兼ね備え、ゴールを量産しました。三笘選手も同様に、ドリブラーからゴールも奪えるストライカーへと進化していると内田さんは言います。
「僕がC.ロナウドと対戦した時、サイドの選手なのにいつもサイドにいないんですよ。三笘選手のゴールシーン見ていて、ゴール前に入っていく感じが似ている。C.ロナウドに似てると言われるのは嫌?」
「うれしいです。全世界の選手から尊敬されていると思うので、そういったところを目標にやりたい」
「ストライカーではないけど、ゴール前に入っていくことに戸惑いは?」
「僕は全然、戸惑いないんですけど。周りが“ドリブルしなくなった”って言うので(笑)」
「確かに(笑)今シーズンのリーグ戦10ゴールのうち8ゴールがワンタッチ。その辺は、意識していますか?」
「ゴール前に入っていく回数が増えている証しかなと」
実に8割が“ワンタッチ”で決めたゴール。特にボールを持っていない状態“オフ・ザ・ボール”の動きに磨きをかけ、ゴール前でストライカーのごとく得点を重ねました。
「“オフ・ザ・ボール”の動きがよかったゴールは?」
「開幕戦のゴールは“すべての要素が詰まっている”ゴールかなと」
そのシーンは、自らの守備から始まったゴールでした。
自陣まで戻ってボールを奪い、ドリブルで相手陣内まで運ぶと、フリーの味方へパス。オフ・ザ・ボールの動きでゴール前へ。最後はワンタッチで決めました。
「ピッチがこれだけ広い中で、自陣のペナルティエリアまで戻って守備をして、自分で40メートルくらいボールを運ぶ。まず走れないと、相手ゴール前に行くことができない。簡単にパスもできたんですけど、ドリブルで運ぶことで相手が集結して、逆サイドで味方が1対1のシチュエーションを作れた。ドリブルで運ぶところやオフ・ザ・ボールもそうですけど、ウイングに求められているプレーができた」
「三笘選手は、サイドでボールを持てばドリブルもできる。中央に行けばコンビネーションでシュートまで行ける。ディフェンダーからすると、すごく面倒くさい嫌な選手。味方のディフェンダーに意見とか聞かない?」
「聞かないですね。相手ディフェンダーがやられて嫌なことは整理できてるので、その優先順位から考えています」
常に進化を続ける三笘選手。リベンジの舞台まで、あと1年です。
「前回のワールドカップを経て自分たちも成長しているなかで、優勝を目指している。前回大会よりも成長した日本代表を見せたい」
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■三笘選手の進化が、日本サッカーのレベル引のき上げに■三笘選手の進化が、日本サッカーのレベル引のき上げに
「皆さん、いきなりですが思い出してほしいことがあります。今まで“決定力不足”と日本は言われてましたよね。しかし、今回の最終予選では30点取っています。やっとそういうチームになってきたなと。三笘選手の進化が、日本サッカーのレベルの引き上げにつながってるのだなと僕は思います」
「なるほど。これからワールドカップということを考えていくと、強豪と当たっていくわけですが、そうすると当然、三笘選手の進化っていうのが、よりポイントになってきますね」
「そうですね。対戦相手が決まれば、三笘選手の対策も相手チームは練ってくるでしょう。そうすると、外で守ればいいのか、真ん中でストライカーのようなゴールを守ればいいのか。それだけでも、だいぶ相手が嫌がるので。そういったところは、こういう選手が1人いるだけで、かなり変わってくると思います。1年後のワールドカップで、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか。この時期からワクワクしています」
(「報道ステーション」2025年6月11日放送分より)