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2025年1月31日 13:18

堀田眞三 強面(コワモテ)の悪役からイメージが激変!ミスチルのMV、CM,クイズ番組の天然キャラも話題に

2025年1月31日 13:18

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1963年、第11期東映ニューフェイスに合格し、悪役として映画、テレビ、特撮作品などで圧倒的な存在感を放ってきた堀田さん。1970年代から海外の作品にも多く出演し、2011年に出演した日本・中国・韓国の合作連続ドラマ「STRANGERS6」がきっかけでオファーされる役柄が変化。Mr.Childrenの「here comes my love」のMV、「UQモバイル」のCM、「クイズ!脳ベルSHOW」(BSフジ)の天然キャラも話題に。俳優デビューして62年間、第一線で活躍を続け、今年は映画「〜運送ドラゴン〜パワード人間バトルクーリエ」(大東賢監督)の公開も控えている。(※この記事は全3回の後編。前編と中編は記事下のリンクからご覧いただけます)

■悪役のイメージが変わったのは…

2011年に出演した日本・中国・韓国、歴史上初の合作連続ドラマ「STRANGERS6」は、3カ国から集められた男女6人からなる国際特務機関の活躍を地震にからめて描いたサスペンスアクションドラマシリーズ15話作品。

「それまでは悪役が多かったんですが、このドラマに出て劇的に役柄が変わりました。総監督は飯田譲治さん。2011年7月から9月までの3カ月間、中国の“しんせん”、亜熱帯気候の猛暑の時期の撮影でした。

日本と中国と韓国から主演が出て、日本は唐沢寿明くん。僕は、作品のキーマン、地質学者の峰武博士役。中国某所に作られた日中韓三国共同経済領域都市・海港(ハイワン)一帯に大規模な自然災害が起こるということがわかるんですよ。

それで、都市地下深くに特殊な装置を設置することで被害の大半を防ぐことが可能であると判明するんですが、何者かがそれを妨害しようとする。そのキーマンのドクター峰武役の候補に堀田を上げてくださって。

飯田譲治総監督が、『仮面ライダーの頃の堀田眞三さんは知っているけど、今はどんな雰囲気になっているんだろう?セリフは英語だけど、OKだったら1回お会いしたい』って言われ(成城学園の)東宝撮影所で『面談』。フジテレビや関係者の方々がいらっしゃいました。

ドアを開けて部屋に入ったら、飯田さんとは初めてだったんですけど、ポンと立ち上がってニコニコして『よろしくお願いします』って言われて。もう入った瞬間、見た雰囲気で決まった。

3カ月間、“しんせん”で撮影。終わったらプロデューサー氏 『堀田さん、評判いいです。これから外国の映画のオファーが来ると思いますよ』って。ありがたいことにその通りになって。まずは韓国からオファーが来て、正真正銘の二枚目大スター、チョン・ウソンさんと共演。チョン・ウソンさんの主演映画『私の頭の中の消しゴム』(イ・ジェハン監督)は大好きな映画です。

映画『ザ・テノール 真実の物語』(キム・サンマン監督)では、ユ・ジテさんと共演。当時ご存命だった『京都大学 一色信彦 名誉医学博士』役を演じさせてもらったり、何作品も出させてもらいました。今も韓国作品の候補に挙げてもらっています。仕事の流れって不思議なものですね」

2016年には、日韓合作映画「絶壁の上のトランペット」(ハン・サンヒ監督)に出演。

この作品は、心臓移植という大手術を受けた女子大生とドナーにまつわる物語を描いたもの。堀田さんは、手術後に療養のために伯父が暮らす沖縄の小さな島を訪れた女子大生・アオイ(桜庭ななみ)が出会う青年・ジオ(L.JOE)の祖父役を演じた。

「僕は、ハン・サンヒ監督の『忘れ雪』という、主演が『2PM』のチャン・ソンくんの映画でキーマンの役をやらせていただき評価いただけ、携帯に監督直々オファー下さったんですよ。1カ月程石垣島ロケでした」

――堀田さんの人生の良いこともつらいこともすべて経験してきたことを感じさせる深みのある演技も印象的でした。景色もとても美しくて切なくて心に残る作品です

「ありがとうございます。お宝作品です。今も時々あの映画の写真をSNSにあげてくださる人が。あの作品、役柄は心に深く刻まれています」

■ミスチルのMV出演で人生が変わった

2018年、Mr.Childrenの「here comes my love」のMVに出演。これは、歳を重ねてもずっとひとりの女性を想い続ける男性に起きる奇跡を描いたもの。幼少期に出会った耳が不自由なため学校でいじめられていた男の子と、複雑な家庭環境に抗うように言葉を発しなくなった少女が出会い、お互いに支え合っていた二人が家の事情で離れ離れに。20代になってようやく再会。しかし、無理やり引き離されてしまう。数十年後、老境に差しかかった男(堀田眞三)は、吹雪の中、車中でひとり、もう二度と会えない彼女に思いを馳せる…。

――ミスチルさんの歌と重なる美しくて切ない短編映画のような作品ですね

「そうですね。津軽海峡が目の前、極寒の夜の撮影でした。あのMVに僕は出してもらって、ある意味本当に人生が変わったというか。あのMVの情報が、朝公開されて、朝6時半のニュース各局でやって、NHKまでやりました。で、主演が堀田眞三って名前まで出たんです。

それから3日間ぐらい電話が鳴りやまなかったですね 。『感動しました。泣きました』って。おかげさまで大きな宣伝作品になっています。

あれからNewspeakさん、藤井風さん、マカロニえんぴつさんのMVにも出してもらって。某MVでは『ミスチルの堀田さんのような雰囲気が出せる方募集』ということだったのですが、結果的には『堀田さんにやっぱりやってもらいます』って(笑)」

――「here comes my love」のMVは、シナリオも拝見させていただいたのですが、本当にそのまま短編映画として上映してほしい作品です

「はい。本当にいい作品でした。やっぱりミスチルさんというのは、韓国や台湾など外国にもファンの人が多いので、そういう意味では、ありがたいなって思います」

近年は、UQモバイルのCMにも出演。松田龍平さんと満島ひかりさんのコンビで知られるCMシリーズに堀田さんは、白髪を逆立てて執事役で出演している。

「ありがたいですね。うれしいです。あれはもう何本もやらせてもらって、今年もまた

新しいパターンの撮影予定です。

実は、昨年の私の誕生日の前日、10月19日 東京・下北沢でプロレス興行があり、リング上からお客さんに挨拶の 依頼を受けていたんです。

前日から風邪気味で、結局風邪をこじらせてしまって、リング上の挨拶やっと終え部屋に帰りバタンキュー。次の日(20日)朝9時過ぎから息苦しくて声も出ない、水も飲めない、『強烈な喘息』で異常事態。

それで10時前に大阪の女房に電話したら『ダメですよ。救急車を呼びましょう』って、救急車を手配してくれて。その時酸素(飽和濃度)が80%を切っていて、危ない状態で…。

運良く総合病院に運び込まれ 点滴など様々な応急処置施して下さり、コロナ、インフルエンザ、もチェックされて。

次の日が撮影だったので、『明日撮影に行きますから』って言ったら、『何を言っているんですか!救急車で運ばれてきたんですよ』って、ICUに入れられ 『24時間モニターで監視 完全看護』状態。

『とにかく明日9時半に(病院)を出なきゃいけないんです』、『何を言っているんですか!!』

と、何度もやりとりがありましたが、奇跡の様に刻々とからだにエネルギーが満ち溢れていったんですよ。

『明日俺が(CMの撮影に行けなければ)俳優生命はなくなる』って必死の思いで訴え続けていました。次の朝、私的には『嘘のように回復していた!!』

担当医の先生に9時過ぎに、『やむを得ない。一筆書いてもらいます』とも言われました。

先生が『貴方の様な頑健な患者さん、初めてです。よほど基礎体力と、気力が…』と言ったので、『僕は昭和の人間ですから、根性と気合いで生きて来ています』、『俳優業は企業ではなく稼業 何の保証もない水商売です。気の持ち様が違います』って言ったら、先生と看護師さんが苦笑いされていました。

結局、21日と22日に撮影が無事UP!23日 に病院にお騒がせのお詫びとご挨拶に行って、

24日〜28日に入院して人間ドック的な総合検診を受けました。

一時は危なかったのに、本当に奇跡が起きたと思いましたね。元凶は『小児喘息』だった様です。未だに(何十年間も)気管支に潜伏していた!!

風邪をこじらせたため体力がなくなり、元凶が暴れ発作を起こし息が出来なくなってしまったんですね。結果的に10月20 日が俺様には『ショック療法』だった様で、以来不思議にもからだのすべてが何年も若返った!!気も漲(みなぎ)っています」

――「クイズ!脳ベルSHOW」(BSフジ)も話題になっていますね。笑わせようとか、そういう計算がないところがいいですね

「そんな器用なことはできないですからね。天然キャラなんて言われていますけど(笑)。40歳以上でいろんなジャンルの人を探していたみたいで、おかげさまで場をいただけ藤巻潤さんとの2人のコーナーができたり…いろいろと面白がって使っていただいています(笑)。

“ますだおかだ”の岡田圭右さんが、うまくいじってくれるんですよ(笑)。だから面白いですね。楽しんでやらせてもらっています」

■79歳で俳優賞を受賞!「ラッキーな運があるなあって(笑)」

昨年は短編映画「終焉」(古庄正和監督)に主演。この作品は、人生に対して「美しい死」というテーマを持って終わらせようとしている老夫婦(堀田眞三&片山万由美)の姿を描いたもの。長年共に過ごしてきた老夫婦が食事を終え、ロボット犬とともに散歩に出た夫が崖から落下。やがて夫の身に起きたことを知った妻は、悲しい選択をすることに。

――「終焉」で、「第一回ふくおか国際映画祭2024」で俳優賞を受賞されて

「すご〜くうれしいですね。今はネット社会じゃないですか。友だちから lineとかメッセージ、そして電話が入るんですよ。『堀田、お前はまだ現役でやれている。すごいなあ』と。本当に『生きた化石』、絶滅危惧種的存在だ(笑)。『我々の代表として応援しているからな。

まだまだ“死に花”咲かせてくれよ。応援しているよ』って言ってくれています。

『終焉』は、Mr.Children ミスチルさんのPVをご指名下さったプロデューサーさんの会社からお話をいただき、去年の1月に3日間南房総で撮影しました」

――当て書きをされたように雰囲気が合っていましたね

「はい!!ありがたいなと思いながらやらせていただきました。でも、出来上がった映像を見て、僕が象徴的に折々に出てくるという、あの辺がよくわからなかった。見る人によっての解釈だと思うんですけど」

――ロボット犬と散歩に出て突然命を落としますが、すぐには発見されない。夫の身に何が起きたのかわからないから、食事も二人分用意する。妻には夫の姿は見えませんが、発見して欲しいから現れるのかなと思いました

「そうですよね。自分の身に何が起こったのか知ってほしくて現れるんでしょうね。それで結局、妻が遺体を発見するんですけど、あれを見ていて夫婦って何か不思議なものだなって思いますよ。

生活相性があって、愛し合ったりして一緒に生活していても、例えば老人になってくると、好きなドレッシングでもかけて思いっきり食べたい。でも『ダメよ』って言われる。その意思の疎通がどこかついてない。やっぱりそうなってくるものがあるんですね」

――会話もほとんどなく、ご飯を食べているんですが、散歩にロボット犬連れて行く前に、ちゃんと「ありがとう」って言うのがいいですね

「そう。お互いを思い合っている感じがちゃんとあって…いい場面ですね」

――老夫婦になってからの写真には柴犬が一緒に写っています。多分ワンちゃんが死んじゃって、自分たちの年齢のことを考えてロボット犬にしたのだろうなと

「そうですね。本当は生きているワンちゃんを飼いたいけど、自分たちが死んじゃった後に遺すことを考えてロボット犬にしたんでしょうね。今、現実社会もそうなってきつつあるようですね。ペットは可愛いけど、自分たちが遺して死んだら…ということでロボット犬にしようみたいな」

――俳優賞受賞と聞いたときはいかがでした?

「『第1回目 俳優賞は堀田さんですよ』って言われたんですけど、俳優賞がどういう立場なのかわからなかったんです。主演男優賞、主演女優賞とか色々あるんだろうなと思っていましたから、具体的にどうなんだと思っていたら、全作品中で一人だけだということで、これは大変な名誉なことだなと思いました。ラッキー運があるなあって(笑)」

――とても心に残る作品でした

「ありがとうございます。いろんなところで見られるようになるといいなあって思います。短編は1本だけじゃ上映できないので、何本か合わせてよく上映するじゃないですか。そういう機会で多くの人の目に触れるといいなあって思っています」

■健康の秘訣は毎日1時間半のウォーキング

俳優デビューして62年間、仕事がなくて苦労したことは一度もなかったという。

「そういう意味では、本当につくづく運を持っている。ラッキーだなあって思います。たまたまかもしれませんが、62年間続いていて、今も台本3冊抱えていますし、秋には台湾の高雄で大舞台も決まっています。ありがたいなと思って。

今もいろんなオファーをいただき水面下の動きもあって、どう具現化、実現していくのか。80年近く生きて来れ、尚ワクワクドキドキのときが流れるって、それだけでも幸せ者ですね」

――俳優になって62年間、仕事がない状態がなかったというのはすごいことですね

「ありがたいですよね!!僕はオファーいただいたらスケジュールさえ合えば出していただくという形・スタンスですから。ジャンルも特定しないで、何でもやらせていただいたことが生き残ってこられた原点でもあるんだろうな。

毎日のルーティンは、朝5時半頃に目が覚めて、夜が明ける7時頃から1時間半、セリフを声に出して歩くんですよ。朝と夕方で約1万数千歩が日課です。

歩くことが健康の大元(おおもと)だと思っています。そして声を出すこと。数年前まではジョギングが日課でしたが、お医者さんから股関節に支障が出たりとか、ジョグ中の転倒などが心配だということで『年齢を考えなさい』って止められました」

――食事にも気を付けていらっしゃるのですか

「いや、全く気を付けていません(笑)。仕事が入っているときは、東京の自分の仕事部屋に僕一人ですから、適当にコンビニ弁当とか仕事場のお弁当をいただいたりしています。酒の味が健康のバロメーター。毎夜の楽しみですが、体調管理のためずーっと節酒が続いています」

今年は映画「〜運送ドラゴン〜パワード人間バトルクーリエ」も公開される。「仮面ライダー」以来、53年ぶりに藤岡弘、さんと堀田さんが声優として一緒に出演していることも話題に。

「僕と藤岡弘、くんが『仮面ライダー』以来、53年ぶりに共演というか、声の出演(対決)で。昨年の2月24日、中島貞夫監督の偲ぶ会が京都・都ホテルで夕方から開催で、東京の仕事部屋から我が家(大阪)に帰りました。

で、その日に合わせて午後に家で声の録音と一部の撮影、監督・主演・製作の大東賢さんと握手したりするシーンがエンディングに使われていますね」

――「仮面ライダー」以来、藤岡さんとの共演はなかったのですか

「53年間なかったです。パーティーで顔を合わせることはありましたけど。河崎実監督のパーティーだったり、東映の偉い人の偲ぶ会だったり…何回かお会いしていますが、共演はなかったですね」

――映画の公開に加え、テレビ、CM、イベントなど今年も忙しい1年になりそうですね

「ありがたいです!!奇跡が起きた10月20日の誕生日以来、蘇ったような気がします。『俺にはまだ使命がある!』と。とてつもなく厳しい世界で生き残って来れ、現役で戦わせてもらっている。つまりお世話になった方々に報いなければならん!そのために神様が生かしてくださっているんだと思っています」

――今一番ホッとして心休まるときは?

「夕方のウォーキングを終えてお風呂に入って、じゃあ一杯というときが一番ですね。

今年は堀田眞三の集大成の覚悟と共に歩んでいきたい。

つまり体力・気力・集中力・根気・回復力などなど自分との内なる戦い、感謝の日々…大事に 大事にしたいです」

特撮ファンのリクエストでイベントにも多く登場している堀田さん。今年も多忙な1年になりそう。幅広いジャンルでの活躍が楽しみ。(津島令子)