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2025年2月7日 14:12

土屋アンナ 2男2女の母、モデル、歌手、声優、絵本作家、映画監督…挑戦を続けパワフルに大活躍!

2025年2月7日 14:12

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カリスマモデルとして人気を集め、ロックバンドのボーカルとして歌手デビューも果たした土屋アンナさん。映画「下妻物語」(中島哲也監督)で日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ、2004年度の映画各賞を八つ受賞。映画「さくらん」(蜷川実花監督)、映画「GONIN サーガ」(石井隆監督)、映画「Diner ダイナー」(蜷川実花監督)などに出演。2009年にはオムニバス映画「BLUE PACIFIC STORIES」の短編「フィッシュ・ボーン」で映画監督にも挑戦。現在放映中の「プライベートバンカー」(テレビ朝日系)、公開中の映画「BLUE FIGHT 〜蒼き若者たちのブレイキングダウン〜」(三池崇史監督)に出演。(※この記事は全3回の中編。前編は記事下のリンクからご覧いただけます)

■カメラマンとモデルから監督と俳優の関係に

幅広い分野で才能を発揮している土屋さんだが、歌が一番好きだという。2006年、「Change your life」でメジャーデビューし、日本だけでなく海外での活動も展開。海外でもCDをリリース。アニメ「NANA−ナナ−」(日本テレビ系)に大崎ナナの歌唱キャストとして参加し主題歌も担当。歌手としての活動も増えていく。

同年、離婚してシングルマザーに。2007年には、蜷川実花監督初作品「さくらん」に主演。この作品は、江戸時代の吉原遊郭を舞台に、自分らしく生きるひとりの花魁(おいらん)の人生をビビッドに描いたもの。

土屋さんは、8歳のときに吉原の遊郭・玉菊屋に連れてこられ、吉原一の花魁へと成長していく主人公・きよ葉役を演じた。

――とても激しくて美しい世界でしたね

「実花ちゃんとは、それまでカメラマンとモデルという関係ですごく仲良しだったんです。その実花ちゃんが初めて映画を監督するというので出ることになったんですけど、ライティングとか、やっぱり画にものすごくこだわっていたんですよね。

カット割りだとか、ストーリー展開にももちろんこだわったと思うんですけど、それよりもどのシーンを見ても“蜷川実花”というのを作りたかったんだろうなって。

でも、そこもやっぱりそれまではカメラマンとモデルという立ち位置だったんですけど、実花ちゃんの“初”っていうものに呼んでもらえた。そこで夏木マリさんにも出会えたし、 あれはまた今までの映画の中でも一味違うものなので。

そこは、人の作りたいと思う、描きたいと思う夢の世界を現実にしているパワフルな蜷川実花という人に会えて良かったなとは思っていますね。あれも本当に大変でした」

――とても印象に残る作品ですね。初めての監督作品ですから蜷川実花監督も旧知の土屋さんが主演されることになって心強かったでしょうね

「いやあ、めんどくさいと思ったんじゃないですか。アンナ大変だなあって(笑)」

――撮影はどんな感じでした?

「とにかくライティングが大変で、それが印象的でしたね。金魚ちゃんたちのシーンとかも。亡くならせてはいけないので、時間がない中で気をつけながら撮っていたし、そういうこだわりにかける時間が大変だったかなと思うけど、だからこそ海外でも高く評価されたんだなって思います。

今でも『さくらん』が好きっていう人がいっぱいいますからね。やっぱりこだわるっていうのは、その分努力も必要なのかなとは思いました。実花ちゃんは普段の私とは全く違う私を撮ってくれたので面白かったですね」

――お着物での撮影は、いかがでした?

「母親が着付けをやっているので、着物は全く問題なかったけど、かつらが重くて大変でした。実花ちゃんがどんどん飾りを入れてくるから重くなっちゃって(笑)」

――「さくらん」は、第57回ベルリン国際映画祭の特別招待部門に正式出品されました

「そうそう。ベルリンに行きました。ベルリンで実花ちゃんは写真展もやって楽しかったです」

――土屋さん演じる売れっ子花魁の「きよ葉」が妊娠して「子どもを産むー!」と決断するシーンがありますが、土屋さんも20歳の時に結婚されたとき、こういう感じだったのかなって思いました

「そうですね。何か一緒になります。今、今思えばですけどね。撮影していたときは、役に入っていたので、多分実花ちゃんもそこは考えてなかったと思う。原作の漫画があるのでね。

だけど、今思えば、あそこはリンクしているというのが面白いなとは思います。やっぱり何でもリンクさせればできるんですけどね。

でも、多分演じている人は、その人(役)になっているから、作品として見たら自分と被るけど、やっているときは、『この人はどういう人間性でどういう風に思うのか。監督が何を描きたいのか』っていうのを自分の引き出しを開けてやっている感じですね」

■自身が作った初の絵本で映画監督にチャレンジ

2008年、映画「それいけ!アンパンマン 妖精リンリンのひみつ」(永丘昭典監督)でリンリンの声を担当した。

「アフレコは3年ぶりでした。息子が『アンパンマン』シリーズのファンなんです。ハスキーボイスなので、最初は“ばいきんまん”のような悪役だと思っていたら、すごくかわいい役でうれしかったですね。でも、結構緊張しました(笑)」

――声のお仕事はいかがですか

「楽しいです。声の仕事はやっぱり歌とはまた違うけれども、声だけで表現しなきゃいけないという難しさがあって。声優の勉強もしたことはないけれども、自分が得た演技力とかそういうのでやりながら作っていく中で、監督から教えてもらうことも多いし、声優さんから教えてもらうこともある。だから、声優はもう音楽と一緒で、選ばれるなら是非ともやりたいなって思います」

――お子さんたちはすごく喜ぶんじゃないですか

「下の子(小学生の次女)は結構『ママの声だ!』とか言っていますけど、テレビに出ているのも慣れているし、歌っているのも知っているから『あっ、ママだ!ママだ!』という感じで、意外に仕事に行ってくる=声という風にはなっていますね。子どもたちは声ですぐにわかる。こんな低い声はあまりいないから(笑)」

2009年、初の絵本「タウのぼうけん」(講談社)を発表。これは、小さなお魚たちの国を舞台に、お魚の"タウ"が“一歩踏み出して”外の世界へ冒険の旅に出て行く姿を描いた物語。土屋さんが映画監督に初挑戦した短編アニメーション映画『フィッシュ・ボーン』の原作でもある。

「絵本というのは、文字はもちろん大事だけど、絵の雰囲気が一番子どもの妄想を掻き立てるものだと思うから、クセのある絵がいいなって思って。子どもだけでなく大人が読んでも楽しめる絵本になったなって思った。キャラクターは魚だけど、人間ではない小さな生き物を大事にする心が芽生えればうれしいなあって」

同年、土屋さんは、この絵本を原作に自らメガホンをとり、短編アニメーション映画「フィッシュ・ボーン」で映画監督デビューを果たした。この作品は、3人の映画監督による映画「ブルーパシフィック・ストーリー」の中の1本として劇場公開され、「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア2009」で話題賞を受賞した。

■睡眠不足で雨を降らされてずぶ濡れに…

2015年、「GONIN サーガ」(石井隆監督)に出演。この作品は、1995年に公開された映画「GONIN」の登場人物たちの息子たちに焦点を当てた続編。

5人組による広域指定暴力団五誠会系大越組襲撃事件から19年。襲撃事件で命を落とした大越組若頭・久松の遺児である勇人(東出昌大)は、父の汚名を返上しようとして命を落とした母(井上晴美)のため、父と同じように銃を手に五誠会に恨みを抱く仲間たちとともに立ち上がる…という展開。

土屋さんは、五誠会三代目で芸能事務所社長・式根誠司(安藤政信)の情婦にさせられた元グラビアアイドルでロックバンドのボーカルをやっていた菊池麻美役。弱みを記録されたメモリーカードを奪還するために勇人たちの計画に加わることにする。

「『GONIN サーガ』は、すごく大変だった。監督によりますよね。でも、ああいう風に大変な方が思い出に残っています。

『GONIN サーガ』のときは、夜中まで撮影で3時間寝てまた行くみたいな感じでめちゃくちゃ大変だったんです。ずっと雨を降らされてずぶ濡れになって。

でも、あの映画はやっぱり監督が一発撮りをしたいという人だったので、流れでカットなしで撮影していったら、私のシーンじゃなかったんですけど、白いウエディングドレスを着て撃たれて血まみれで雨の中に飛び出す…というシーンがあって。

それを描きたいという欲求をきちんとみんなが一緒に組み立てたからこそ、ああいうリアリティになるのかな。みんなヘトヘトになりながら集中してやっていました。

今回の三池監督もそうですよね。カットが少ない。流れで自然に作りたいというタイプで、私はそういう方が好きです。カットが分かれると超大変。だから一気に…というほうがいいですね」

私生活では、2009年に再婚。2010年には第2子となる次男・心羽(しんば)さんが誕生。2016年に離婚。2017年、3度目の結婚。同年、長女が誕生し、2018年には次女が誕生。2男2女の母、歌手、俳優、モデルなど多方面で活躍。ボランティア活動に積極的に参加していることでも知られている。次回は、公開中の映画「BLUE FIGHT 〜蒼き若者たちのブレイキングダウン〜」も紹介。(津島令子)

ヘアメイク:佐伯エミー

スタイリスト:沢田結衣