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2025年2月11日 13:26

土屋アンナ 公開中の映画で実生活とオーバーラップするワイルドな“母ちゃん”役に!

2025年2月11日 13:26

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カリスマモデル、ロックバンドのボーカル、俳優、声優、絵本作家、映画監督などさまざまな顔を持ち、多方面で才能を発揮している土屋アンナさん。私生活では3度の結婚で2男2女の母。ミュージシャンとして世界ツアーも行い、ボランティア活動にも積極的に参加するなど、そのパワフルな生き方が圧倒的な支持を集めている。現在放映中のドラマ「プライベートバンカー」(テレビ朝日系)に出演。映画「BLUE FIGHT 〜蒼き若者たちのブレイキングダウン〜」(三池崇史監督)が公開中。(※この記事は全3回の後編。前編と中編は記事下のリンクからご覧になれます)

■自分のやりたいロックを海外が受け入れてくれて

日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ、2004年度の映画各賞を八つ受賞した映画「下妻物語」(中島哲也監督)、映画「さくらん」(蜷川実花監督)、映画「GONIN サーガ」(石井隆監督)など多くの印象的な作品に出演してきた土屋さん。

2006年、主題歌を担当したアニメ「NANA−ナナ−」(日本テレビ系)に大崎ナナの歌唱キャストとして参加。フランス、アメリカ、アジア各国でのフェス出演など海外での活動も展開することに。

――世界ツアーもやられていますね

「ありがたいですよね。音楽でやれるようになったのもアニメの“ナナ”のおかげです。

それで、自分のやりたいロックというのを海外は本当に受け入れてくれているので。年齢が40歳とかいうのも関係なしで、今の時期も呼んでもらえるので、そこは一生懸命応えたいなって思う。

やっぱり国境を越えて、言葉と違って文化を超えて、何か自分がやることでその国のファンの人たちと繋がれるっていうのはいいなって思うんですよ。

いろんなことが起きているこの世の中でいがみ合うのではなくて、それぞれが一緒の空間で楽しめる。『人類皆兄弟、音楽で変わろうぜ!』じゃないけど、そこは常に私の中では思っていて。みんなどの国に行っても優しいんですよ。

そうじゃない人もいるかもしれない。日本人もそうだと思うけど、音楽で若い子たちとか、これから世界を作っていく子たちが『何か日本のアーティストってステキじゃん』って思ってくれたらうれしいし、『日本に行ってみよう』って思ってくれたらうれしいし…というのも踏まえてロックをやっていますね」

――とても細いのにパワーに毎回圧倒されます。再生数が話題になった「紅蓮華」も声量がすごかったですね

「山道を走っていたからじゃないですか(笑)。声量は、先生にも教えてもらっているし、歌は小さいときから好きだったから歌っているというのもあるし、思い入れは人一倍あります。歌は、自分の思いやメッセージを直接伝えられるし、自分の中では歌が一番ウエイトを占めていますね」

――ライブなどはかなり体力が必要ですよね

「そうですね。でも、からだを鍛えるのが基本好きだったので。だから今、忙しすぎてからだを鍛えられなくなっちゃうと、体調を崩しちゃうかもしれないから、どんなに忙しくてもからだ作りは一応していますね。

今もクラシックバレエを続けているし、少しでも時間が空いていたらレッスンに行くようにしている。クラシックバレエって結構ハードなんですよ。これまでやってきたスポーツの中で一番ハード。しんどいなあって思いながらやっているけど、どうしても行けない日は、家でストレッチとかをして体調を整えています」

■「母ちゃん、ステキ」って最高にうれしい言葉

土屋さんは、現在公開中の映画「BLUE FIGHT 〜蒼き若者たちのブレイキングダウン〜」に出演。この作品は、「クローズZERO」を手がけたスタッフと、三池崇史監督、そして格闘技イベント「ブレイキングダウン」がタッグを組んだバトルアクション映画。

少年院で知り合い、親友になったイクト(木下暖日)とリョーマ(吉澤要人)は、カリスマ格闘家・朝倉未来のスピーチに感銘を受け、格闘技イベント・ブレイキングダウンに出場するという夢を追い始める。しかし、因縁のライバルの登場により、予期せぬ抗争に巻き込まれてゆく…という展開。

土屋さんは、リョーマの母・赤井薫子役。不良息子だったリョーマを厳しくも優しく見守り、叱咤激励する“肝っ玉母さん”をワイルドに体現。三池監督も「歩んできた人生がそのまま役に反映されているようで、時に可愛く時にセクシーに。母親として開き直ったような強さがあった」と太鼓判を押したという。

この作品でW主演を果たしたのは、2000人を超える応募者の中から選ばれた木下暖日さんと吉澤要人さん。1月21日(火)に行われた完成披露試写会での“母ちゃん”ぶりも話題に。

「完成披露試写会で初めてお客さんに見てもらうわけで、息子2人(木下暖日・吉澤要人)のファンがいるじゃないですか。それがうれしかったんですよね。本当にいい子たちだから、会場に来てくれた方たちが、これからずっと2人のファンでいてくれるだろうなって考えたら、めちゃくちゃうれしくなっちゃって。

それで、リョーマ(吉澤要人)が『母ちゃん、ステキ。母ちゃんが隣にいてくれてうれしい』って言ってくれたから、最強、最高にうれしい言葉だなって思った。

リョーマはこれまでにもいろいろやっているけれども、イクト(木下暖日)にとっては初めての映画。俳優デビュー作なんですよね。その作品に関われたというのはやっぱりうれしいことだし、お客さんがいっぱい集まってくれたというのも本当にうれしかった。せっかく劇場まで足を運んでくれているんだから、やっぱり何か楽しい思いを残してあげたいなと思って」

(C)2024 YOAKE FILM/BACKSTAGE

――「母ちゃんが一緒にいてくれるから心強い」と言っていましたね。すごくいい感じでした

「そう。『母ちゃん』って言ってくれたの。母ちゃんです(笑)。40歳なので、うちにも同じくらいの年の息子がいますしね。だから本当に息子のような感じでした」

――主演のお二人にとって土屋さんは頼りになる存在だったでしょうね

「現場でもそういう風に言ってくれました。私は現場でもこのまんまなので、楽しんでくれてはいましたね。この作品、三池監督にすごく惚れたんですよ。撮っているときだったり、撮ったシーンを画面で見たときに、『この人が映し出したいのは、嘘ものじゃなくて本物を映し出したいんだな』って。

そしてこの人が選んだ原石の二人がこんな風に映っているんだっていうのを見て、いろんな監督の中でも天才だなって思った。そういう人と一緒に仕事ができたことがうれしくて。だから、完成披露の舞台挨拶で三池さんが隣にいてくれたことが私の人生においての一つの思い出にもなったし、また一緒にやりたいなって思いました。

この作品も彼らの成長物語じゃないですか。少年院で出会って親友になった二人が頑張ろうって思って、一生懸命やれば夢は叶うみたいな感じのところで」

――そうですね。今の若い人たちには、どうせ頑張ってもダメだし…って言う人も多いですけど、彼らは違いますからね

「そうそう、頑張ってもどうせダメだって言う人が本当に多いですよね。でも、そうじゃないんだって。やっぱりそういう意味では力強いと思う。

だから、諦めないとか、それぞれをジャッジしない。そしてそこをサポートする。夢があったら叶える。一度脱落しても前に行くんだというエネルギッシュなスピード感、人間のパワーみたいなのを変に飾らず出している。

そこが『ブレイキングダウン』ということもあるけれども、そこを抜きにしたとしても、人間の底力っていうものの美しさを、意外や意外、繊細に描いていると思うので、若い子たちがそれを見て、自分も何か夢を持とうかなとか、自分の過去を振り返ってもうダメだ、じゃなくて、前に進もうって思ってくれたらいいなあって。

それはお母さんたちもそうですよね。お母さんたちも『年を取ったからもうダメだ』じゃなく、旦那さんもそう。前に進むことの大事さが映し出されているんじゃないかなって思います。三池さんの撮り方を見ていてね」

――土屋さんはお母さんたちに対する目線もいつも優しいですよね。これまでのイベントとかを拝見していても

「だって、お母さんたちもみんな大変じゃないですか。大変です。みんなすごい頑張っている。『頑張りすぎなくていいんだよ』って本当に思う。

だから篠田(麻里子)さんと私の役を見ていると、それがすごくよくわかると思います。それぞれ違う母親のタイプだけれども、母親も母親で『どうやって子育てをしよう?』って、そしてどうやって自分が成長しようかって戦っている姿というのも映っていると思うので。

それで、やっぱり監督が全員違うタイプの人を選んだというのはステキだし面白い。だからちょっと見てみようかなって思ってくれるといいなあって。見ると意外に涙ポロリしちゃうんじゃないかなと思います」

■できることがあるならやるしかないっしょ!

土屋さんは、東日本大震災復興支援をはじめ、能登半島地震、市民参加型清掃活動などの支援活動にも積極的に参加していることでも知られている。

「そういう活動というのは、実際にそういうことをちゃんとやっている人たちが声をかけてくれたりするからできているわけじゃないですか。そこがすごいなと思っていて。現場でもやっぱりまず初めに一歩動き出す人たちがいて、それを知って、ぜひとも協力させてというので一緒にやらせていただくようになって。

それで、いろんなことをやらせてもらったときに思うのが、やっぱり相手がいるんですよ。私は東日本大震災が起こった3月11日が誕生日なんですけど、世界では毎日のように災害が起こっているんですよね。

今でも戦争は起きていて、毎日子どもたちが死んでいて…。でも、そのときに自分たちに何かできるかなって。

それで、被災地に行って、『何もいらないよ』って言われてもいいんですよ。それで何ができるかというので、自分は何もできないからこそ歌おうとか、何か笑わせたいなって。でも、それが1人でも笑ってくれたらうれしいんですけど、こっちがもらって帰ってきちゃうんですよ。

例えば、冬寒いところに行った時に、おばあちゃんたちがホカロンをくれようとするんですよ。『いや、私は大丈夫。歌いに来ただけだから』って言っても『持って行って』って渡してくれようとしたのを見たときに、『この人たちは強いなあ』って教えてもらえる。

だから、自分が同じ立場になったらそうしようっていう学びになるんですよね。決してこっちが助けているわけではなく、逆に助けられちゃっている部分があるんです。『何かできることがあるんであれば、もちろんやるしかないっしょ』っていう気持ちで行っているだけです。

転んでいる人を見たら手を差し伸べて当たり前。でも、自分が転んだらその人は手を差し伸べてくれるっていうのでね。それをやっている人たちがいっぱいいるから、もっともっとそういう人たちの中には入っていきたいなとは思っています」

――お子さんを4人育てながらお仕事、そしてさまざまな活動も。ハードですね

「大変は大変だけど、面白いです。楽しい。でも、子どもたちとずっと一緒にいてあげられる仕事ではなく、ツアーとかロケに行っちゃったりしますからね。

そういうときは、母だったり、周りの友だちに恵まれていて、今日とかもそうですけど、ちょっと遅くなっちゃったりするときはメイクさんが連れてきてくれたりとかするし、みんなで育ててくれているんですよ。

昔の日本じゃないけど、みんなで協力し合って、自分の子だけじゃなくて他の子も埋め合わせしてくれたりするんです。寂しくて当然なんですよ。働いていたらしょうがない。だから、もう両立できるとは思わず、できることを一生懸命やっていたら、いつかわかってくれるかなっていう感じです。

この間もミュージカルを見に来たときは、『ママは猫なんだ』って言われて(笑)。いつか自分の作品を通して、自分はこういう母親でしたっていうのが子どもたちに刻まれていったらいいなとは思っています。

でも、本当に子どもの寝顔だけに救われている部分もあるんですよ。ケラケラケラケラ笑っているのを見ると、『大人のこの大変さはわからないんだろうなあ』って思いながら救われています」

――今、ドラマ「プライベートバンカー」も放映中ですね

――そうなんですよ。大好きな夏木マリさんも一緒だし、いいメンバーです。『カット!』ってなった瞬間にみんなで全然違う話をしていますよ(笑)。好きな人たちに囲まれていて楽しい。濃いですよね。『これはどうなっていくんだろう?』って思いながらやっています」

――猫好きとしても知られていますが、今も一緒ですか?

「5匹います。可愛いよね。猫を見るとずっと寝ているんだよね。仕事に行くときも、帰って来たときも寝ていたりするからね。1日の大半寝ていますよね。可愛いし、癒されます。昔はワンちゃんもいました」

――山本寛斎さんが飼っていた犬と吠え合っていたという記事を拝見しました

「そうそう。それは実家の犬です。あのときはただ普通に近所のおじさんと子どもという関係だったんですけど、わからないものですよね。それが、将来モデルとデザイナーさんとして一緒に仕事をするようになるなんて思いもしなかった。

人の出会いって本当にわからない。パッと会っただけじゃなくて、また巡り合わせが来るんだなって思って。寛斎さんにもとてもよくしてもらいました。元気な人でしたね」

――本当にパワフルな方でしたね。今後はどのように?

「ミュージカルと出会えたりしてすごく楽しいんですよ。あと、やっぱり歌は絶対ですね。

今はインディーズなので、インディーズバンドは小さい箱を回ってライブ。もっともっと多くの人にロックっていうのを知ってほしいっていうので、小さい箱を回りつつ、ミュージカルという縁をもらったので、ミュージカルもやっていきたい。

映像も好きなんですけど、生がやっぱり好きなので、ちょっとできたらいいなとは思っています。なので、頑張っていろいろ学ぶ年にしようかなと思っています。歌い方も全部違うので」

端正なルックスとスタイルの良さに惚れ惚れする。仕事にも子育てにも全力投球する姿勢がカッコいい。(津島令子)

ヘアメイク:佐伯エミー

スタイリスト:沢田結衣