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2025年4月4日 13:52

石田ひかり 憧れの草笛光子さんの主演映画2作品に連続出演「こちらからオファーしました!」

2025年4月4日 13:52

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映画デビュー作「ふたり」(大林宣彦監督)で第15回日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ、多くの映画賞を受賞し注目を集めた石田ひかりさん。映画「はるか、ノスタルジィ」(大林宣彦監督)、連続テレビ小説「ひらり」(NHK)、「あすなろ白書」(TBS系)、「監察医・朝顔」シリーズ(フジテレビ系)、「週末旅の極意2〜家族って近くにいて遠いもの〜」(テレビ東京系)など多くの作品に出演。草笛光子さん主演映画「アンジーのBARで逢いましょう」(松本動監督)が公開中。(※この記事は全3回の後編。前編・中編は記事下のリンクからご覧になれます)

■“最もお母さん役が似合う俳優”の一人に

私生活では2人の娘を持つ母親でもある石田さん。16年間お弁当を作り続け、30代は子育て中心の生活で40代になって本格的に仕事を再開したという。

2022年には、石田さんが20歳のときに連続ドラマ初主演を果たした「悪女(わる)」(日本テレビ系)が30年ぶりに今田美桜さん主演でリメイク。「悪女(わる)〜働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?〜」(日本テレビ系)が放送された。

石田さんは、今田美桜さん演じる麻理鈴(マリリン)の上司となる巨大IT企業の人事課長・夏目聡子役で出演。新旧麻理鈴(マリリン)対決も話題に。

「30年経って、また『悪女(わる)』の撮影現場にいられることがとてもうれしかったです。麻理鈴を客観的に見ることが初めてだったので、30年前に自分が演じていた麻理鈴が美桜ちゃんになって目の前にいるというのは、とても不思議な気持ちでした」

キャリアウーマン役を颯爽と演じていた石田さんだが、「監察医・朝顔」シリーズ、「Destiny」(テレビ朝日系)、映画「かそけきサンカヨウ」(今泉力哉監督)、映画「366日」(新城毅彦監督)など母親役も多く、「最もお母さん役が似合う俳優の一人」と言われている。

今年1月〜2月に放送された「週末旅の極意2〜家族って近くにいて遠いもの〜」(テレビ東京系)に主演。このドラマは、バラバラだった家族が「旅」を通して再び家族としてやり直していく様を描いたもの。

石田さん演じる主婦・山岡優子は、夫・義正(甲本雅裕)と2人の子ども(大原優乃・島村龍乃介)の4人家族。子どもたちが巣立ち夫婦2人暮らしになると夫婦の会話も減り、子どもたちとも疎遠の日々が続いていたが、優子が懸賞で応募していた「家族で行く!1泊2日会津の旅」に当選。子どもたちも一緒に行くと言い、家族4人で「週末旅」に行くことになる。

――熱海、北海道、箱根など、ステキなところばかりでお食事も美味しそうでしたね

「はい。旅と温泉が大好きなので、夢のようなお話だと思いました。約1カ月で全国8カ所の温泉などを巡りました。撮影は結構ハードで、帰って来たらまた行って…という感じでしたし、すばらしいところばかりなのに、お風呂にもゆっくり入れるような時間はありませんでしたが。

やっぱりお客さんにご迷惑をおかけしてはいけないので、お客さんの全部裏をいかないといけないんですよね。お客さんが誰もいない明け方5時にロビーのシーンを撮ったり、夜中の1時とか、(お客さんが入る前の)午後3時にお風呂のシーンが入ったり…結構からだはきつかったですね」

――ホテルも景色もお食事も良いところばかりでしたが、撮影後にプライベートで行かれたりしました?

「はい!熱海に家族で行きました。しかも2回!ホテルの皆さんと撮影時の思い出話などができて、とてもうれしかったです。

お食事の時に、『撮影のときは料理が冷えてしまっていたので、今日は温かく召し上がっていただけますね』とおっしゃっていただき感動したと同時に、やはり少し胸も痛みました。

撮影のときは食事も温かいまま食べられないんですよ、撮影優先ですから。それを気の毒に思っていてくださっていたんだなということもわかりました。

どうしても撮影優先になってしまいますから無理なお願いも多く…。そのことについてもお話出来たのでホッとしました。他のところもいつかゆっくり行きたいと思っています」

■憧れの草笛光子さんの主演映画には絶対に出たかった

(C)2025「アンジーのBARで逢いましょう」製作委員会

※映画「アンジーのBARで逢いましょう」全国公開中

現在、映画「アンジーのBARで逢いましょう」が公開中。この作品は、ある日突然、街に現れた一人の白髪の女性・アンジー(草笛光子)が、いわくつきの物件を借り、そこにBARを開くと言い出す。自らを「お尋ね者なの」と名乗る彼女は誰が何を言おうと全く動じない。そんなアンジーと出会って街の人たちが変わっていく…という展開。石田さんは、アンジーの店の向かいの美容院の客で、スピリチュアルに傾倒し霊媒師まで連れてくる梓(あずさ)役。

――「アンジーのBARで逢いましょう」が公開中ですが、草笛光子さんの主演映画は、昨年公開された「九十歳。何がめでたい」(前田哲監督)にも出演されていましたね

「はい。でも、撮影はこちらが先なんです。この作品の撮影が一昨年の夏で、『九十歳。何がめでたい』の撮影は12月でした。

なので、草笛さんは本当に偉大だと思いました。確か、この作品を撮り終わって2日後くらいに『九十歳〜』の衣装合わせだとおっしゃっていたので」

――90代で2本の主演映画を立て続けに撮影というのはすごいですね。石田さんが出演されることになったのは?

「逆オファーです。マネジャーにお願いしてこちらからオファーしました。私は1999年に舞台で草笛さんとご一緒していて、それ以来だったんです。

草笛さんが2021年に『老後の資金がありません!』(前田哲監督)という映画の番宣でTBSにいらしていたときに、私もたまたまTBSにいて。そのときに久しぶりにお会いして、『また遊びに行きたいです』って言いました。

私は、毎日草笛さんのお家の前を通って帰っているのですが、通る度に草笛さんのことを想うんです。ピンポンはしませんが、本当に毎日草笛さんのことを想っています。それをお伝えしたら『想っているだけじゃなくて、ピンポンしなさいよ』って言って下さって。

私、遠慮を知らない人間なので、『本当に行っていいですか?』なんて話をしていたのですが、コロナ禍になって、お会いできなくなってしまったんですよね。それで、草笛さんが映画に主演されると聞いて、何が何でもご一緒したいと思いました」

(C)2025「アンジーのBARで逢いましょう」製作委員会

――草笛さん演じるワケありの主人公・アンジーが開店しようとしているBARの向かいの美容院の客で、開店を阻止しようとする梓役。敵対する役どころですね

「はい。とても面白い役をいただいてうれしかったです。どうやったらいいか、ちょっとわからなかったのですが、草笛さんとあんな風にやり合ったりするシーンもあったりして楽しかったです」

――梓さんは本当に怨念があると信じてやっているわけですよね

「そうです。本当に心から皆さんのことを考えて、『あのお店をやってはダメ!ここは良くない。悪いことが起こる』と本当に思っている。先生と呼ぶ霊能者と白装束でお店にきたときも、本当にアンジーさんのことを思ってやってきているんですよ。彼女は信じるものを持っていますから。

でも、それは相手からすると大きな迷惑なわけじゃないですか。呪いなんて全く信じてないわけですからね。それこそアンジーさんは、自分の思うままにすぐ動く…という人なので」

――どちらも自分が信じた道を突き進む

「そうですね。梓には梓の正義があって、アンジーさんにはアンジーさんの思うところがあって。生き方も考え方も信念も…何もかもが違うというのが面白かったです」

――アンジーさんに水をかけられるシーンもありましたが、1発でいけたのですか?

「そうですね、1発だったと思います。撮り直すとなったら大変ですからね。衣裳も髪も全部乾かさなくてはいけないので」

――迫力ありましたね。完成した作品をご覧になっていかがでした?

「もっと怪しげな感じというか、もっと迫力が出せたら良かったかなって思いました。

もっとグイグイいっても良かったかなって思いました。もったいないことしちゃったなって」

――自分に厳しいですね。草笛さんとは、昨年公開された「九十歳。何がめでたい。」でも共演されていらっしゃいます

「そうなんですよ。草笛さん演じる佐藤愛子さんが、検査で絶食してなくてはいけなかったのに桃を半分食べてしまったと聞いて『絶対ダメです。検査できません』と阻止する看護師さん役でした。あれも逆オファーです。

『アンジー〜』の次にもう1本草笛さんの主演映画を撮るという情報を仕入れまして。あの役も草笛さんとのやり取りが楽しかったです。草笛さんといるだけで楽しいんですよね。本当にステキな方です」

■いろんなことにチャレンジしていきたい

「お寺のお嫁さん」という顔も持つ石田さん。YouTube「まあるい生活」では年末年始の奮闘、登山などチャレンジ精神旺盛なところも披露。

――YouTubeなど楽しく拝見させていただいています。「お寺のお嫁さん」として年末年始は特に大変そうですね

「ありがとうございます。年末年始は覚悟しています!もう恒例のテッパン行事ですから。本当に丈夫に産んでもらいました。からだだけは丈夫です(笑)。親に感謝ですね」

――趣味もいろいろあって、登山もされていますね

「はい。前々から、登山を老後の趣味にしたいと思っていたので、YouTubeが良いきっかけになりました。

夫婦の趣味にしたいと思っているのですが、実は夫がインドア派で(笑)。だから、まず夫を家の中から外に出すことからですね!登山ではなくても健康のためにハイキング、山歩きとか、楽しめたらいいなと思っています」

――お仕事に関してはどのように?犯罪者役などは?

「あります。『松本清張スペシャル 一年半待て』(フジテレビ系)というドラマで、渋川(清彦)さん演じる酒癖の悪いDV夫をアイロンで殴り殺害して現行犯逮捕され、パトカーに乗りました(笑)」

――そういうシーンは撮影していていかがでした?

「気持ちのいいものではないですけれども、手錠をはめられて、ジャージを着せられてパトカーに…なんていうことは、おそらく実生活ではないでしょうからちょっと楽しかったですね。

放送を見て、ねずみ色のジャージが似合っているなと思いました。ばっちり着こなしていました(笑)。昔、バラエティー番組の再現ドラマみたいなので囚人服も着たことがあるんですけど、こちらも着こなしていましたね。これはいけるんだと思いました(笑)。

どんな役でも楽しく、難しいです。どんな役でもやってみたい。例えば動物や樹木とか。とにかく運転が好きで得意なので、長距離のトラック運転手さんとか、からだが動くうちにハードな役をやっておきたいです。

常に『やりたいことは次のこと』、『やりたいこと全部やる!』と思って生きています。からだをしっかり鍛えて、これからもずっと、いろんなことにチャレンジしていきたいと思っています」

公開中の映画「アンジーのBARで逢いましょう」に加え、12日(土)からは実生活と同じ“お寺のお嫁さん”を演じるドラマ「ミッドナイト屋台〜ラ・ボンノォ〜」(フジテレビ系)、14日(月)からは「続・続・最後から二番目の恋」(フジテレビ系)がスタートする。6月13日(金)に映画「リライト」(松居大悟監督)、6月20日(金)に映画「ルノワール」(早川千絵監督)の公開も控え、多忙な日々が続く。(津島令子)

ヘアメイク:神戸春美

スタイリスト:藤井享子(banana)