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2025年5月20日 14:05

黒谷友香 17歳のときに初めて受けたオーディションで大人気雑誌の専属モデルに!

2025年5月20日 14:05

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雑誌「mc Sister(エムシーシスター)」(婦人画報社)の専属モデルとしてファッション誌やCMで活躍し、19歳のときに映画「BOXER JOE」(阪本順治監督)のヒロイン役で俳優デビューした黒谷友香さん。「噂の!東京マガジン」(TBS系)の司会、連続テレビ小説「カーネーション」(NHK)、主演映画「極道の妻たちNeo」(香月秀之監督)などに出演。趣味のDIYやガーデニングでも知られ、25年以上、東京と千葉での二拠点生活を送るライフスタイルも話題に。5月23日(金)に映画「ゴッドマザー〜コシノアヤコの生涯〜」(曽根剛監督)の公開が控えている黒谷友香さんにインタビュー。(この記事は全3回の前編)

■高校の授業を終えて週末は東京でモデル活動

大阪府で生まれ育った黒谷さんは、小さい頃はゴム跳び、ローラースケート、ポッピング、虫やセミの採集、折り紙、ゲームなど、いろいろな遊びを楽しんでいたという。

――芸能界に進もうと思ったのはいつ頃ですか?

「高校2年か3年のどっちかです。『mcSister』という雑誌の応募企画が17歳までだったので、17の年に応募したんだと思います。

本屋さんでたまたま『mcSister』の表紙に『モデル募集』と書いてあったのを発見して、送ってみようと思って自分で送ってみたんです。誰にも話さないで。

写真も応募するのに必要だからとは言わないで、『ちょっと全身とアップを撮ってほしい』とだけ言って撮ってもらって。確か現像も締め切り前日だったかな?早く現像してもらえるところに持って行ってもらって…という家族の協力があって何とか間に合った感じでした。それで、『面接に来てください』という連絡が入ってから初めて家族に言いました」

――自信はありました?

「自信はなかったですけど、なりたいという気持ちはすごくあったので、応募したことで一歩踏み出せた満足感はありましたね」

――人気雑誌だったので、オーディションの倍率がかなり高く、約1万倍だったと聞きました

「そうなんですか?初めて応募したオーディションだったので、そういうことはわからなかったです」

――オーディションはどういう感じでした?

「(高校の)制服で、大阪の都心のホテルの会議室みたいなところに行って、編集長の方と会ったと思います。それで、芸能の仕事を始めてからバラエティー番組で、その編集長と再会するという企画があって会ったのは覚えています。その方にOKという風に言ってもらえたおかげで、今に繋がっているという形です」

――決まってすぐにモデル活動を始められたのですか

「そうです。その雑誌の専属モデルの応募だったので、そこで始まって東京と大阪を行ったり来たりしていました。週末に学校が終わると東京に行って、仕事をして泊まって日曜日に帰って来る。17歳から1年半ぐらいはそういう感じでした」

■映画のヒロイン役がきっかけでモデル業から俳優業に

「mcSister」やCMなどのモデルとして活動していた黒谷さんは、1995年、映画「BOXER JOE」のヒロイン役で俳優デビューを果たす。

この作品は、網膜剥離を克服して現役復帰を果たしたプロボクサー・辰吉丈一郎さんのインタビューと架空のドラマを融合させたモキュメンタリー映画。黒谷さんは、お好み焼き屋の店主で、大の辰吉丈一郎ファンのガンさん(宇崎竜童)の娘・ユウコ役。

――いずれ俳優にと考えていたのですか

「全然。当時は全く別の世界だと思っていたので、『BOXER JOE』のオーディションに行くまで全く考えていませんでした。当時、モデル時代に大阪弁も話せるし、大阪出身だということで、『CM NOW』という雑誌にちょっと載ったんですよ。

『ミスタードーナツ』のキャンペーンガールをこういう子がやっています、という小さい記事だったんですけど、そこにプロフィルが書いてあったので、それをキャスティングの方がご覧になったみたいで、事務所に連絡が来て。

それで、事務所から言われて、初めてオーディションに行ったんです。演じるということに対してハマったのはそこからでしたね。

大阪でロケだったので、家から通えたのも大きかったと思います。これが、例えば一人で地方に行ってホテルで泊まって撮影ということだと、ちょっと違ったかもしれないですけど、

初めて体験した映画の撮影が、家から電車に乗って通って、監督も大阪の方だったので。そういう環境だったからこそ、『こういう仕事って面白いかもしれない』って気が付いたんだと思います」

――阪本順治監督の現場はいかがでした?

「全く何も知らない新人だったので、手取り足取りというか…手のかかる子だったと思います。ご親切にご丁寧に教えてくださったので、本当にありがたかったです。

キャラが多分イメージと合ったんでしょうね。宇崎竜童さんがお父さん役で、お好み焼き屋さんの一人娘。髪型がロングじゃなくてボブというか、そういう雰囲気が合っていたんじゃないかなって思います」

――個性的な俳優さんが揃っていましたね

「そうですね。とても良くしていただきました。宇崎竜童さんも私が芸能の仕事を本格的に始めてから、別の番組で曲を作ってくださったり。その時の出会いですごく繋がっているなって。やっぱりデビュー作というのは思い入れがありますね」

――「BOXER JOE」のときには、俳優としてやっていくということを意識されていたのですか

「はい。その時点ではもうモデルはやめて、東京で俳優としてやっていこうと思っていました」

――それで、上京された翌年には「さらりとした梅酒」(チョーヤ梅酒)のCMに

「そうでした。あれは和歌山でロケしたのかな。あとは船下りで有名なところも行きましたね。花嫁の格好をしたり…いろんなバージョンがあって楽しかったです」

1997年、映画「渇きの街」(榎戸耕史監督)に出演。この作品は、友人の復讐のためにヤクザの男を殺害した青年・高志(袴田吉彦)が、暴力と恋愛の狭間に揺れながら、破滅的な道を歩む姿を描いたもの。

黒谷さんは、パブで高志と最悪の出会い方をしたものの、仕事でケガをした彼の手当てをしてあげたことがきっかけで惹かれ合うことになる洋服デザイナー志望の真紀役を演じた。

――パブで出会った日に繰り広げるビンタの応酬が印象的でした

「あれは見た感じより、意外と痛くなかったですね。映画のポスターが印象的だったのをよく覚えています。夏の撮影だったので、ライトが当たるとものすごく暑かったのを思い出します」

1998年、森本毅郎さんが総合司会をつとめる情報番組「噂の!東京マガジン』(TBS系)にアシスタントとして出演することに。

「皆さん『友ちゃん、友ちゃん』って呼んでくれて本当に楽しかったです。打ち合わせからご一緒するんですけど、毎週のことだったのでファミリーという感覚ですね。

あれから結構経ちましたけど、本当に楽しかったです。いろんなコーナーがあって、私はまだバラエティー番組自体そんなにやったことがなかった時代だったので新鮮でした。料理のコーナーや社会問題をトークするところもあったり…年代がかなり離れた皆さんとの共演だったのでいろいろ勉強させていただきました。

スタッフさんに女性もいて、今でもたまに連絡を取ったりするんですけど、そういう方々もいてくれたおかげで和気あいあいとした雰囲気でいられた感じでしたね。お弁当もプロデューサーさんが『今日はどこそこの〇〇です』って毎回手書きしてくれるようなチームで、すごく優しく受け入れていただきました」

■初主演映画でベリーダンスに挑戦!「かなり練習しました」

2006年、阿木燿子さんの監督デビュー作「TANNKA 短歌」で映画初主演を果たし、大胆なラブシーンが話題に。黒谷さん演じる主人公・薫里は33歳のフリーライター。仕事に恋に充実した毎日を送っていたが、妻子あるカメラマンM(村上弘明)と9年越しの不倫関係を続けている。ある日年下のバイオリニスト圭(黄川田雅哉)とも関係を持ってしまい、2人の間で揺れ動くことに…という展開。

「あの作品は、ベリーダンスをやらなきゃいけなかったんですけど、それまでやったことがなかったので、練習に通って結構苦労しました。“ベリーダンスを習っている人”という設定だったら自分の延長でもいいんですけど、“できる人”ということだったので、かなり練習しました。ちゃんと踊れるように見えないといけなかったので」

――苦労の甲斐あって踊りのシーンとても綺麗でしたね

「ありがとうございます。そう言っていただけて良かったです。阿木燿子さんが監督だったので、女性が監督ということがすごく精神的にも大きかったですね。官能的なシーンもあったので、いろいろ相談もしやすかったですし」

――年上の男性と年下の男性の間で揺れ動く女性でしたが、演じていていかがでした?

「よく覚えているのは、記者発表をしたその夜に千葉の銚子の灯台が有名なところのロケで、村上さんとご一緒のシーンだったんですよね。そのシーンは夜だったんですけど、印象に残って覚えています。あとはセットで黄川田さんと若いやり取りのシーンがあったり…すごくチャレンジし甲斐のある映画でした」

――映像的にすごく綺麗な撮り方をしているのが印象的でした

「隠し方とかもそうですね。からだの重なり方とかもいやらしくなくて。大の字で床に寝るというのも、『ここは大の字で寝てほしい』って現場で言われたのを思い出しました。面白いなと思って。官能的でしたよね」

――初主演映画ということでプレッシャーはありました?大人の路線に…とか

「あまりなかったかな。そこまでは考えてなかったかもしれないですね。演じる役として考えていただけで、当時は大人の路線にとか、そういうことはあまり考えてなかったです」

――この作品で官能的な役柄も演じる大人の俳優さんとして周知されることになったと思いますが

「こういう作品もやるんだということで、そういう風に捉えていただけたのはうれしいと思いましたけど、自分の中では特に意識してなかったような気がします」

2009年、「ハンチョウ〜神南署安積班〜」(TBS系)にレギュラー出演。このドラマは、神南署を舞台に、安積班長(佐々木蔵之介)をはじめとする6人の刑事たち(中村俊介、塚地武雅<ドランクドラゴン>、黒谷友香、賀集利樹、山口翔悟)の活躍を描いたもの。黒谷さんは紅一点の水野真帆巡査部長役を演じた。

「『ハンチョウ〜』は、4シリーズ出演したんですけど、私が演じた水野真帆巡査部長という役は、原作にはなかったんです。ドラマのオリジナルキャラクターだったのですが、原作者の今野敏先生が後で小説の方に入れてくださって。すごく貴重なありがたい体験をさせていただきました。

信じられないですよね。そういうことを許容してくださる今野先生はすごい方だなって思いました。今野先生は、ドラマのあともご夫婦で舞台を見に来てくださったりして、本当にいいお付き合いさせていただいて。この出会いは『ハンチョウ〜』のあの役でしたね。

今野先生とは、『二流小説家 シリアリスト』(猪崎宣昭監督)という映画で夫婦役をやらせていただいたこともありました。今野先生は背も高くていらっしゃって、私も170cmなんですけど、空手をされてらっしゃるのですごくダンディーな旦那さんという感じでした」

――貴重な体験ですね。刑事ドラマはやっていてどうですか

「その当時の刑事ものは特に一話ごとに事件が完結するという流れがあったので、見ていてスカッとするし、わかりやすくていいなって思いました。皆さんの楽しみの一つになっていたというのはうれしかったですね。

この間も船越(英一郎)さん主演の『弁護士 六角心平 京都殺人事件簿』(BS日テレ)というドラマで京都に行って久しぶりに刑事役をやって来ましたけど、やっていて面白かったです。船越さんとのドラマは、BSで2時間ドラマを作っていこうという企画なので、また続くといいなと思っています」

主演ドラマ「トカゲの女 警視庁特殊犯罪バイク班」(テレビ東京系)など刑事ドラマも多い。幅広い役柄にチャレンジを続けてきた黒谷さんは、2013年、映画「極道の妻たち Neo」に主演。2014年には、映画「イン・ザ・ヒーロー」で女性ながら男性ヒーローを演じるスーツアクトレスを演じた。次回はその撮影裏話、連続テレビ小説「カーネーション」の撮影エピソードなども紹介。(津島令子)

※黒谷友香プロフィル

1975年12月11日生まれ。大阪府出身。ファッションモデルとして活動後、映画「BOXER JOE」で映画デビュー。映画「TANNKA 短歌」で映画初主演。「ハンチョウ〜神南署安積班〜」シリーズ(TBS系)、「トカゲの女 警視庁特殊犯罪バイク班」(テレビ東京系)、「潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官」(日本テレビ系)、映画「イン・ザ・ヒーロー」(武正晴監督)、映画「夢二〜愛のとばしり」(宮野ケイジ監督)、主演映画「祈り―幻に長崎を想う刻―」(松村克弥監督)などに出演。5月23日(金)に映画「ゴッドマザー〜コシノアヤコの生涯〜」が公開される。

ヘアメイク:藤原リカ(Three PEACE)