【全日本大学駅伝】出雲のリベンジへ!中央大・吉居大和「インパクトのある走りを」

[2023/11/02 17:00]

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長らく低迷期が続いていた中央大学は、2年前の全日本大学駅伝で8位に入りシード権を獲得したのを皮切りに、再び各駅伝で上位争いに加わるようになりました。今年の箱根駅伝では、終盤まで駒澤大学に食らいつき総合2位になっています。

その立役者は大エースの吉居大和選手でしょう。

「2年生からは“エースだからしっかり走らないと”という気持ちで、自分を追い込んで走るようになった」と大和選手自身、エースの自覚をもって駅伝に臨んでいました。

中央大のエース吉居大和選手(4年)

昨年度は学生三大駅伝全てで区間賞を獲得。全日本は直前に帯状疱疹になったものの6区で区間新記録を樹立し、箱根はエース区間の2区で駒澤大学の大エース・田澤廉(現・トヨタ自動車)をも抑えています。学生長距離界を代表する選手として圧巻のパフォーマンスを見せています。

大和選手が最終学年を迎えた今季は、吉居兄弟の弟・駿恭選手(2年)と中野翔太選手(4年)も大和選手と共に主軸を担います。その他の主力もトラックシーズンに躍動。チームは駅伝三冠を目標に掲げていました。

 しかし、駅伝シーズンの開幕戦である出雲駅伝でいきなり出鼻を挫かれてしまいます。1区13位と出遅れると、流れを取り戻せないまま7位でレースを終えました。

「優勝を狙った上でのプレッシャーに打ち勝つ強さを身につけられていなかった」と藤原正和駅伝監督は課題を口にしていました。

2016年から指揮をとる藤原正和監督

 また、大和選手は、8月の終わりに新型コロナウィルスに感染した上に、8日前にはリガ(ラトビア)で行われた世界ロードランニング選手権に出場しており、出雲駅伝への出場を見送っていました。藤原監督が「大和頼みのチームにならないのをテーマにしてきましたが、精神的に頼っていた部分があった」と話すように、大和選手不在の影響がまともに結果に現れてしまいました。

 大和選手自身、出雲に出られなかった分を、全日本にぶつけるつもりです。

「自分がしっかり区間賞を獲って、他大学との差をつけることができれば、全員が走りやすい、力を発揮しやすい展開に持っていけると思う。しっかりインパクトのある走りをして勇気づけられたらなと思います」と、エースとしての役割を全うする覚悟を持って伊勢路に臨みます。

 また、駿恭選手は、出雲では3区11位と苦しい走りになりましたが、「しっかりと流れを作れるようないい走りをしたい」と全日本での巻き返しを誓います。

箱根駅伝では歴代最多の14回の総合優勝を誇る中央大学ですが、実は、出雲駅伝と全日本大学駅伝では優勝したことがありません。箱根駅伝の優勝も1996年から遠ざかっています。

吉居兄弟は、仙台育英高(宮城)に在籍していた4年前の全国高校駅伝で12年ぶりの優勝を経験しています。“優勝請負人”として、今度は中央大学に栄冠をもたらすことができるでしょうか――。

チームの主軸を担う吉居兄弟(弟・駿恭、兄・大和)

 出雲は思わぬ苦戦を喫しましたが、着実に“大和頼み”からの脱却の目処も立っています。

エントリー選手の10000mの申告タイムの平均は全体のトップ(駒澤大学は、10000mのタイムを持っていない選手も多いので、あくまでも参考ですが)。各学年に主力となる選手がおり、4年生4人、3年生4人、2年生5人、1年生3人とバランスの取れたエントリーになりました。

「出雲の時は駒澤さんを意識しすぎたオーダーになってしまったので、全日本はシンプルに自分たちの良さを出す駅伝をしたい。磨いてきたスピードをいかに生かしていくかが、全日本のテーマになる」(藤原監督)

 1区から流れに乗れれば、十分に王者・駒澤大学に太刀打ちすることは可能でしょう。

第55回全日本大学駅伝|テレビ朝日
  • 中央大のエース吉居大和選手(4年)
  • 2016年から指揮をとる藤原正和監督
  • チームの主軸を担う吉居兄弟(弟・駿恭、兄・大和)

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