【全日本大学駅伝】王者駒澤・藤田敦史新監督 得意の伊勢路で2冠目へ

[2023/11/04 11:21]

1

 今年55回を数える全日本大学駅伝の歴史で、最多の15回の優勝を誇るのが駒澤大学です。

 初優勝は25年前の第30回大会(1998年)。その時に、アンカーとしてフィニッシュテープを切ったのが、今年からチームの指揮をとる藤田敦史監督でした。当時4年生だった藤田監督はエースとしてチームを牽引し、8区区間賞の活躍で伊勢路に新たな一歩を刻みました。

 藤田監督は、実業団の富士通時代、2000年の福岡国際マラソンで男子マラソンの日本記録(当時)を樹立し、2度の世界選手権にも出場しました。現役引退後に富士通コーチを経て、2015年から昨年度までの8年間、大八木弘明監督(現・総監督)の下でヘッドコーチを務めました。そして、今度は監督として初の伊勢路に臨みます。

「前任の大八木がやってきたことが身を結び、最後は三冠を達成できました。今あるチームは完成形。ほとんどいじるところがない状態です

 藤田監督がこう話すように、昨年度の駒澤大学は、出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝を制し、史上5校目の学生駅伝三冠を成し遂げており、“駒大史上最強のチーム”を前任の大八木氏から引き継ぐことになりました。
「毎日、毎日が決断の連続。大八木はわりとススススっとやっていたんですけど、なかなか大八木のようにはできないですね」と藤田監督はそう心情を吐露します。
 それでも、大八木氏の指導法を踏襲しながらも、藤田監督なりに試行錯誤しつつ、選手の指導に当たっています。
「あれだけの実績、カリスマ性がある大八木が発する言葉と、監督としての経験値がない私が発する言葉では、全然重みが違うし、子どもたちに対する響き方は全然違うと思う」
 こう考えた藤田監督は、選手との対話を大事にし、選択肢を提示しながら、その選手に合った方向性を探っていくという手法をとっています。

恩師の大八木弘明総監督と藤田新監督

 また、新チームが発足し、学生たちからは自然と『2年連続三冠を達成したい』という声が挙がったといいます。勝ち続けること、すなわち、“負けるわけにいかない”という重圧があるのは、新人監督だけでなく、選手たちも同じ。そこで、藤田監督はある提案をしました。
「“三冠、三冠……”と言っていると、プレッシャーがどうしても強くなってしまいます。昨年度は田澤(廉、現・トヨタ自動車)を擁する駒澤史上最強チームです。今年はメンバーが変わったわけですから、“今年のチームで昨年度の最強チームにチャレンジしたらどうだ?”という話をしたんです。“2年連続三冠”を目指すということに変わりはないんですけどね。三冠というよりも、出雲、全日本、箱根と、1つずつ集中してチャレンジしていこう、と」

独自の指導で選手との対話を重視する藤田新監督

 そして、監督として初めて指揮をとった出雲駅伝では、見事に優勝を成し遂げます。しかも、昨年打ち立てた記録を41秒も上回る大会新記録を樹立。記録の上では昨年度のチームを超えました。
 次なる全日本大学駅伝にも、“王者”ではなく“挑戦者”という意識で臨み、昨年度の最強チーム超えるための二冠目を目指します。

第55回全日本大学駅伝|テレビ朝日

  • 今春から指揮を執る藤田敦史新監督
  • 恩師の大八木弘明総監督と藤田新監督
  • 独自の指導で選手との対話を重視する藤田新監督

こちらも読まれています