3年前に絶たれた夢…当時の球児が甲子園に 「あの夏を取り戻せ」松山聖陵OBの夢舞台

[2023/12/03 22:33]

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この季節には珍しく、甲子園で入場行進をする選手たち。先月29日に行われたイベント「あの夏を取り戻せ」プロジェクトです。

■自分たちで終止符を打ち…次のステップへ

2020年5月20日、猛威を振るった新型コロナの影響で夏の甲子園が中止。全国の球児が涙しました。

あれから3年、夢を絶たれた選手たちがついに、聖地へと足を踏み入れたのです。3年前の独自大会で優勝した高校を中心に42チームが参加し、シートノックなどを行いました。

大会発起人の大武優斗さん

大会発起人の大武優斗さん(21)も夢を諦めざるを得なかった1人です。

大武さん:「3年前に失われた甲子園を、自分たちの中でけじめをつけられてない。自分たちの代で取り戻して、終止符を打って、次のステップに進もうというプロジェクトです」

古田さん:「動きも良いし、声も出ているし、張り切っているよね。きょうの練習を見ていると、だいぶ準備してきたね」

■「夢が一気に潰されてしまった最後の夏」

愛媛の松山聖陵OB

限られた時間の中、甲子園では2試合が行われます。抽選で引き当てたチームの1つが、愛媛の松山聖陵OBです。

中心は、キャプテンの岸田明翔さん(21)。当時、中止決定直後に心境を語っていました。

「自分が死ぬまで一生ついてくる」と話していた岸田さん

岸田さん:「これから一生ふとした時には、甲子園に行きたかったなと思いますし。同級生と集まっても、甲子園行けなかったなという話にもなると思うので。自分が死ぬまで一生ついてくるものだと思います」

現在は愛知の中京大学で日々野球に打ち込んでいる岸田さんですが、その気持ちは3年経った今でも…。

岸田さん:「夏は、あんまり甲子園はよく見られないです。嫉妬というか、しょうがないんですけど。純粋に甲子園を見られないというのが、ずっと続いています。夢が一気に潰されてしまった感じがあった最後の夏でした」

愛媛の独自大会で優勝した直後の集合写真

1人暮らしをする自宅には、高校卒業後もずっと大切にしているものがあります。愛媛の独自大会で優勝した直後の集合写真です。

岸田さん:「僕のモチベーションです。これからも野球を続けていこうと思っている。もう1回頑張ろうと、写真を見て思う。しんどい思いもたくさんしてきたので、仲間とは。みんなと甲子園で野球ができるのはうれしい」

■松山聖陵OB 気迫のヘッドスライディングも

先月29日、阪神甲子園球場。そこには、共に苦しんだ仲間と再会した岸田さんの姿がありました。

岸田さん:「朝早かったんですけど、みんなの顔を見たら、元気になりました。全力で楽しみたいと思います」

そして、待ちに待った、高校野球の聖地。3年ぶりに松山聖陵のユニフォームを身にまとい、仲間と共に足を踏み入れました。時間は70分限定、いざ夢舞台が始まります。

長野・佐久長聖OBと対戦

岸田さん:「やっとこのメンバーで、甲子園という舞台で野球ができるんで。絶対白星付けましょう。絶対勝つぞ」

特別試合でも本番さながら。バッターが打席に立つと、有志で集まったブラスバンドが選手たちを後押しします。

古田さん:「チアと一緒にやっているからな。それは良いね」

8番の林琉仁さんは、二遊間の当たりに気迫のヘッドスライディングで、チーム初ヒットです。

岸田さん:「良いぞ、オッケー!」

■動き出した時計の針 あの夏を…取り戻した

動き出した時計の針

長野・佐久長聖OBも負けていません。サード・蛭田魁人さんがファインプレー。

古田さん:「今のナイスキャッチ」

グラウンドに立った選手全員が、夢のひとときを笑顔で楽しみました。

他の選手を優先し、出場しなかった岸田さん。それでも、3年間止まっていた時計の針は動き出しました。

試合終了後、岸田さん「1個の区切りがついた」

古田さん:「今、試合終わりましたけど、どんな気持ちですか?」

岸田さん:「悔しかった高校3年生の夏の思いが、今回このような機会を頂いて、みんなすごく笑顔でプレーしていましたし。僕自身もすごくその笑顔を見て、甲子園って改めて良い場所だなと思いました。これでまた1個の区切りがついたので、また別の夢に頑張っていきたいなと思います」

(12月3日放送「サンデーLIVE!!」より)

  • 2020年5月20日、夏の甲子園が中止
  • 大会発起人の大武優斗さん
  • 愛媛の松山聖陵OB
  • 「自分が死ぬまで一生ついてくる」と話していた岸田さん
  • 愛媛の独自大会で優勝した直後の集合写真
  • 長野・佐久長聖OBと対戦
  • 動き出した時計の針
  • 試合終了後、岸田さん「1個の区切りがついた」

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