DeNA東克樹 「最多勝・最高勝率」投手2冠呼んだスライダーの進化 松坂さんが取材

報道ステーション

[2024/03/18 14:15]

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DeNA三浦大輔監督が開幕投手に指名した東克樹投手。2年ぶりとなる大役を担う東投手に、松坂大輔さんが迫りました。

■スライダーの変化がもたらした東の大躍進

松坂さん
「チームは東投手のことをエースとして見ていると思いますけど、引っ張っていくという責任のようなものは感じていますか?」
東投手
「かなり感じています。自分のやるべきことを頭の中で整理して、練習であったり、試合に臨むことで、結果がついてくると思っています」

東投手はわずか1勝に終わったおととしから一転して、去年は16勝をあげ、最多勝・最高勝率と大躍進しました。その背景には何があったのか。松坂さんが注目したのは、東投手の持つある球種の変化でした。

松坂さん
「映像で確認したんですけど、スライダーがかなりおととしと変わっている。岩瀬仁紀さん(元中日)みたいなスライダー。握りも変えたりしたんですか?」
東投手
「変えました。おととしはストレートの握りから横にずらして、中指でボールを切る。去年から握りを変えて人差し指だけで切るイメージに変えたら、すごくよくなりました」

握りを変えたスライダーの軌道はどう変化したのでしょうか。まずは、おととしのスライダー。リリースの瞬間から、緩く山なりの軌道でキャッチャーミットへ。

一方、去年のスライダーは山なりの軌道ではなく、バッターの手元から鋭く曲がっています。

松坂さん
「(去年は)加速して曲がっていくようなスライダー。右バッターは特に差し込まれるような感覚になったんじゃないか」

明らかに違うスライダーの軌道。東投手の狙いは?

東投手
「ストレートの軌道が真っすぐな軌道だとして、スライダーだけ曲がる軌道をしてしまったら、打者目線で違いが分かりやすい。ストレートに見せることが大事」

■「人生の分岐点だった」フォーム変更の決断

データを見ると、東投手の投げるスライダーの割合はおととしの2.4%から14.7%と大幅に増加し、被打率は.429から.160と大幅に減少。精度が上がったことが分かります。そして、このスライダーの進化には、意外なきっかけがありました。

東投手
「あの練習試合がなければ、どうなっていたか分からない。人生の大きな分岐点だった」

人生の分岐点。それは、開幕を1カ月後に控えた去年2月の練習試合・ヤクルト戦でした。キャンプ期間中、ストレートへの手応えを感じていた東投手はストレートを打ち込まれ、2回を投げ5失点。しかし、この乱調が東投手を変えるきっかけとなります。

東投手
「シーズンまで1カ月ちょっとしかなかった。『僕はストレートで押すタイプの投手じゃない』と自分に言い聞かせて、アームアングルを下げた」

決断したのは、フォームの変更でした。練習試合とフォーム変更後を比べてみると、腕の位置が下がっているのが分かります。

松坂さん
「腕の角度を変えることで、ボールの軌道や質は変わりましたか?」
東投手
「並進運動の時間が長くなったことで、球持ちがかなりよくなって、スライダーであったり、いろんな球種の相互作用がすごくよく出た。すべてにおいて、いい方向に向かったと思います」

■先輩・松坂とのスライダー談義も…

そして、インタビューが終わりに近付いた時でした。

東投手
「松坂さん、スライダーどう握ってるんですか?」
松坂さん
「中指」
東投手
「中指で切る感覚ですか?」
松坂さん
「押し込むっていう方が近い。加速しながら曲がって落ちていくようなスライダーをイメージしていたので、その感覚を作るのにスライダーで遠投したり、遠くに強く投げられるような感覚は養えた」
東投手
「遠投って何メートルくらい?」
松坂さん
「50メートル以上は全然いけた」

東投手は、先輩の話に興味津々の様子で、スライダー談義はまだまだ尽きません。

東投手
「僕の昨シーズン一番のスライダーは、クライマックスシリーズでのデビッドソン選手(広島)へのスライダー。ピッチャーからしたら、一番気持ちいい」
松坂さん
「プロの選手で、なかなかそういう機会ってない。振ったら足に当たるみたいな。本当に気持ちがいい。高校時代は『消えたと思った』とか。その言葉聞くと、スライダーピッチャーはうれしいですよね」
東投手
「うれしいですよね」
松坂さん
「なにか目印は?キャッチャーのどこを狙うとか」
東投手
「左ひざです」
松坂さん
「僕も一緒ですね」
東投手
「松坂さんの話を聞いて、一緒の感覚でよかったなって思いました」

(「報道ステーション」2024年3月14日放送分より)

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